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なぜ綿は「強さと柔軟性」といった相反する特徴を持つのか?その仕組みをアニメで解説するとこうなる

by Christopher_Boswell

綿は人類にとってなくてはならない存在で、その柔軟性と耐久性の高さから、衣料や家具、おむつ、お札など、あらゆるものに使われています。なぜ綿は人類に多様される「優れた素材」なのか、その秘密を教育系YouTubeチャンネルの「TED-Ed」がアニメーションでわかりやすく解説しています。

Why is cotton in everything? - Michael R. Stiff - YouTube


何百年も前に、ペルーのインカ帝国では敵の攻撃から身を守る、柔軟性があり防御力が高い素材「綿」が使われていました。


綿を使った防御のよろいに鉄や鋼の固さはありません。その代わり、しっかりと編まれた綿のキルトは外からの力を表面の広い範囲に分散させ、可動性を制限することなく戦士たちの体を守りました。


「強さと柔軟性」「柔らかさと丈夫さ」といった綿が持つ相反する特徴は、綿繊維の目に見えない複雑な特性に由来します。


綿繊維は綿の花の奥深くから生まれます。


1つの綿の種は1万6000本もの繊維に覆われており、これが膨張することでさやから現れます。


そして、綿繊維1本1本は、それがどれほど長く伸びるかに関わらず、全て1つの細胞から作られます。


この細胞は何層もの細胞壁を持ちます。このうち「一次細胞壁」と呼ばれるものは1つの方向に細胞を成長させることで、細胞を細長い形にします。


一次細胞壁の成長は16日間続き、その後、「細胞壁を強くする」という次の段階に入ります。


この「強化」はセルロースという炭水化物によって行われます。強化の段階で細胞壁の構成要素のうち34%はセルロースになるとのこと。


細胞壁が強化されると繊維の成長が制限されることになります。


このため、成長の早い段階で細胞壁が強化されると繊維は短くなり、最終的により粗く弱い生地ができあがってしまいます。


しかし、逆に細胞壁の強化が遅すぎると繊維が弱くなってしまい、繊維を編んだ時に生地の形を保てなくなります。


このような綿の科学を踏まえて適切な気温・水・肥料・光を与え、害虫駆除を行えば、綿繊維は全長3.6センチ、幅25マイクロメートルにまで成長します。


長くしっかりした繊維は、短くもろい繊維に比べ、よく絡みまとまります。


このため、糸としてより強くなり、優れた生地を作ることが可能です。優れた綿繊維は布として使われるほか……


アメリカのお札でも使われています。1ドル札の75%は綿でできているそうです。


一次細胞壁に続き、二次細胞壁の成長も綿にとっては大切。二次細胞壁の成長もまたセルロースによるもので、最終的な繊維の重さのうちセルロースは90%を占めるまでになります。


セルロースが堆積するほど、二次細胞壁の密度が上がります。二次細胞壁の強さによって、最終的な素材の耐久性が変わります。


洋服の場合は何年も着たり洗ったりを繰り返すので、二次細胞壁の密度を高くする必要があるわけです。


一方で、素材の柔らかさは一次細胞壁の成長によって決まる「繊維の長さ」に左右されます。


成長が始まってから50日後、繊維は完全に成長しきり、細胞の中の「生きていた物質」は死んでセルロースだけが残ります。


そして、綿繊維を包む乾いたさやにひびが入り……


さやがはじけることでふわふわの綿繊維が現れるわけです。


綿繊維の1本1本は人間の髪の毛より細いものですが、これを糸状にして編むことによって、衣服からコーヒーフィルター、おむつなど、数多くのアイテムが生まれます。


今日の科学技術を用いて科学者が綿繊維の成長を最適化することで、今後、より柔らかく、強く、耐久性があるものになると考えられています。

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in 生き物,   動画, Posted by darkhorse_log

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