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地図にこっそりと制作者が隠したイラストとは?


店の入れ替わりや新たなマンションの建設、道路の開通などによって町並みは変わり、地図はどんどん書き換えられていきます。スイス連邦地形局(スイストポ)の公式サイトでは、1844年以降の地図を年ごとに見比べて発展や変遷が実感できるのですが、地図としてはありえないイラストが現れたり消えたりする様子も確認することができます。

For Decades, Cartographers Have Been Hiding Covert Illustrations Inside of Switzerland's Official Maps | | Eye on Design
https://eyeondesign.aiga.org/for-decades-cartographers-have-been-hiding-covert-illustrations-inside-of-switzerlands-official-maps/

スイストポが無償公開しているインタラクティブマップは、ドイツ語・フランス語・イタリア語・英語・ロマンシュ語の5言語対応。以下の短縮URLからは英語版が開きます。

Maps of Switzerland - Swiss Confederation - map.geo.admin.ch
https://s.geo.admin.ch/67274e29e4


左側メニューの「swisstopo」の項目の中にある「Journeys through time」を開き、「Journey through time - Maps」をクリック。下の「Map displayed」のところにマップ名が追加されるので、年号をクリックして、見たい年を選べば、1864年から2018年までのスイスの地図が見られます。なお、地図は地域ごと・縮尺ごとに用意されていて、見ていると、数年おきに地図が更新されてきたことがわかります。


この地図を見ていると、実際に隠されていたイラストも見つけることができます。一例として指摘されているのが「横たわった女性の体」です。

スイストポのマップで、上方にある検索ボックスに「Bellikon」と入力し、表示された一覧の中から「Populated Place Bellikon (AG) - Bellikon」をクリック。


すると、ベリコンの町が表示されるはず。表示されているのは2013年制作の「National Maps of Switzerland 1:25’000」で、この町の南に「Sunneberg」という文字があります。当該部分は文字の左下。


ちょっとわかりにくいかもしれませんが、コレ。


2013年版から緑地の縁取りがなくなったのでわかりにくくなっていますが、2007年版以前の「National Maps of Switzerland 1:25’000」だとこのように、縁取りにより、膝を曲げた女性の体のように見えるのがわかります。


1940年制作の「Topographic Atlas of Switzerland 1:25’000」まで戻ると、ただの川なのですが……


1954年制作の「National Maps of Switzerland 1:25’000」で、川の二股に分かれた部分の描き方が変化し、女性の体に見えるようになっています。


この例は「偶然そう見えるだけでは?」といわれてもしょうがないものですが、明らかに意図的なものもちゃんと存在します。

レマン湖の北西、フランスのオー=ジュラ自然公園の北東部に位置するルモレ湖(Lac de Remoray)。1974年版の「National Maps of Switzerland 1:100’000 」だとこんな感じですが……


1980年版だと、湖の中に魚が描かれています。当然、こんなにもわかりやすいということは見つかりやすいということでもあり、1986年版で消滅しました。


「National Maps of Switzerland 1:100’000」のPiz Tea FondadaPiz Schumbraidaの間には、山に登ろうとするハイカーの姿が描かれています。


1991年版には描かれていないので、「偶然が生み出したもの」ではないのは確か。1997年版に登場して以来、生き残っています。


もちろん、地図の完成前には担当者がチェックしているのですが、地図制作者たちは同僚であるチェック担当を出し抜いてなんとかしてイラストを隠してきたとのこと。バレればクビになってもおかしくないものの、多くの制作者たちは自分の退職に合わせて地図が公開されるように仕組んできたようです。多くのイラストは制作者がいなくなってから見つけられ、既知のイラストのうち半数以上が削除されています。

なお、地図に「正しくない情報」を盛り込むことは、コピー対策として行われる事例があります。


ニューヨーク州ロスコーの近くにある「アグロー」の場合、もともとは著作権保護のためにGeneral Drafting社がでっちあげた名前だったはずなのに、雑貨店を建てた人がGeneral Drafting社の地図を参考にして「アグロー雑貨店」と名前をつけたため本当に存在することになった、というところにまで発展しました。

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by Cosmovisión

ただ、スイスの事例はコピー対策ではなく、精密で精緻な作業を行い続ける職人が集中力を維持するために「日常から抜け出す何か」として行ったジョークではないかと、チューリッヒ工科大学のLorenz Hurni教授は説明しています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by logc_nt

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