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中国の半導体製造業が資金不足により苦境に立たされている


香港の日刊英字紙South China Morning Postが、「中国の半導体製造業が資金不足に直面し、複数の半導体製造工場建設プロジェクトが頓挫しつつある」として、中国における半導体製造事業の苦境について解説しています。

China’s semiconductor drive stalls in Wuhan, exposing gap in hi-tech production capabilities | South China Morning Post
https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3099100/chinas-semiconductor-drive-stalls-wuhan-exposing-gap-hi-tech

中国・武漢にある半導体ファウンドリであるWuhan Hongxin Semiconductor Manufacturing(HSMC)の半導体製造工場の建造プロジェクトがスタートしたのは2018年のこと。このプロジェクトは、同社が受けた200億ドルの投資の中でも、最重要として位置づけられていた一大プロジェクトでした。しかし、建設から約2年が経過した2020年7月、このプロジェクトに対して2900万ドル(約31億円)を出資した武漢市の東西湖区地方政府は「HSMCの半導体製造工場は部分的に完成したものの、資金不足により失速した」「建設を継続するための準備が不十分であり、同社は中央政府の補助金申請ができない」と報告。この報告は後に削除されています。

South China Morning Postによると、HSMCと工場製造を請け負った建設業者は多額の負債を抱えているとのこと。HSMCの半導体製造工場の様子については、「クレーン車数台と建設作業員のための寮、空中に突き出た鉄骨を残すだけで、建設が進んでいる様子はほぼ見られない」と記されています。

By Wuhan Hongxin Semiconductor Manufacturing

South China Morning Postの取材に対して、HSMCの最高経営責任者であるChiang Shang氏は「財務上の問題については把握していなかった」「政府の報告は私が把握していない情報ばかりだったが、私には財務に関する責任はない」とコメントしました。

半導体事業について苦戦している中国企業はHSMCだけではありません。2020年初頭にはアメリカのファウンドリ大手であるGlobalFoundriesと成都市地方政府が1億ドル(約110億円)を費やして同市に建設した半導体工場も、約2年間の休業の末の操業停止が決定。2020年7月には、中国政府から30億ドル(約3200億円)規模の投資を受けて南京市に建設されたTacoma Nanjing Semiconductor Technologyの半導体工場が投資誘致に失敗して倒産しています。

By Wuhan Hongxin Semiconductor Manufacturing

以上のような中国の半導体製造の苦戦について、South China Morning Postは「激化する技術戦争により、アメリカの半導体技術から切り離された中国は西洋技術への依存を振り払う努力を倍増させているものの、その取り組みはほとんど成功していない」と記しています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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