デザイン

レストランの売上を爆増させるメニュー表の作り方を「メニュー専門デザイナー」が解説


新型コロナウイルス感染症の影響による取り扱いメニューの変更などで、多くの飲食店がメニュー表の作り直しを迫られています。そこで、飲食店のメニュー表のデザインを手がける専門家らが語る「メニューデザインのポイント」を、ビジネス情報を扱うニュースサイトThe Hustleがまとめました。

Meet the "menu engineers" who optimize restaurant revenue
https://thehustle.co/meet-the-menu-engineers-helping-restaurants-retool-during-the-pandemic/

「かつては、メニューのデザイン性は見向きもされませんでした」と語るのは、1968年に設立されたメニュー表専門のコンサルタント事務所Menu Menのオーナーであるミシェル・ベネシュ氏です。2006年に、創業者であり祖父でもあるウォルター・ベイカー氏から会社を引き継いだベネシュ氏は、心理学的な手法をこらしたメニューデザインの開発に注力してきました。


メニューデザインの中で、ベネシュ氏が特に重要視しているポイントの1つが「メニューを読む客の目線の動き」です。ベネシュ氏によると、以下の画像の左側のように2ページのメニューの場合は、客は右上から順に「逆Z字」の順番で目を動かします。一方、1ページのメニューの場合、客はまず上から4分の1ほどの位置を見た後、上から下まで見ていくそうです。この目線の動きを把握することで、「一番目につきやすい場所に利益率が高い料理を記載する」という対策を講じることができます。


ベネシュ氏はほかにも、売り込みたい料理を四角形で囲って注目させる「ボックス」や、最も高い料理のすぐ近くに2番目に高い料理を配置することで、2番目に高い料理をお得だと思わせるというトリックも使用しています。


また、以下のような工夫を盛り込むことで、より利益率を上げることができます。

・利益率が高い料理の説明に「特製」「元祖」「有名」などの言葉を織り交ぜて印象を強くする。
・価格の表記から「$(ドル)」の表記を排除する。ベネシュ氏によると、価格ではなく単なる数字なように見せることで、客はより多くの支出を受け入れるようになるそうです。
・「低価格帯の店なら料理は6種類」「高級レストランなら前菜7種類とメイン10種類」と、メニューに記載する料理の数を特定の数字に絞る。この特定の数字を発見したのは、イギリス・ボーンマス大学のジョン・エドワーズ教授。エドワーズ教授の研究によると、この数字より品目が少ないと「選択の幅が少なすぎる」と客が不満を持ちますが、多いと選択肢が多すぎて混乱してしまうそうです。この特定の数字を、ベネシュ氏は「魔法の数字」と呼んでいます。
・「大きなフォント」と「余白は20%以下」を心掛ける。

The Hustleが取材したもう1人のメニュー専門デザイナーがグレッグ・ラップ氏です。38年間にわたり、数百のレストランメニューを手がけてきたラップ氏は、メニューデザインを主題とする学術分野であるメニュー工学に精通した「メニューエンジニア」と呼ばれています。


そんなラップ氏は、メニューデザインのポイントを「おとり商品を配置してドーパミンを脳にぶちこむこと」だと話しています。

ラップ氏が言う「おとり商品」とは、一見すると大げさだったり、高価すぎてとても手が出せなかったりするものの、見るだけでもワクワクするような目を引く商品のこと。たとえば、ニューヨークの有名なスイーツ店であるSerendipity 3が2017年に発表して話題になった、1000ドル(約10万円)のGolden Opulence Sundaeなどがその例です。

またラップ氏によると、多くのメニューは見やすさと分かりやすさを目指して作られていますが、あえて見づらくする戦略もあるとのこと。例えば、アメリカのチーズケーキ専門店Cheesecake Factoryの12ページにも及ぶメニューは、派手な写真と「フォントの地獄絵図」と形容される見づらい価格表で埋め尽くされています。

by Marcin Wichary

このように、膨大で見づらいメニューに圧倒された客はつい店員に助けを求めます。そこで、店員がすかさず値段が高い商品を勧めることで、売上の向上を図るというのが、このメニューの狙いなのだそうです。

また、近年は紙でできた普通のメニューとは異なり、スマートフォンで読み取るQRコードをメニューの代わりに配置するレストランも登場しているとのこと。いち早くスマートフォンで読むメニューデザインの開発に着手したベネシュ氏によると、紙のメニューではフォントの大きさをそろえるのが原則なのに対し、スマートフォンで読むメニューの場合は強調したい商品のフォントサイズを2ポイント大きくするなど、従来とは違ったデザインが求められるそうです。

新しいメニューデザインへの挑戦について、ベネシュ氏は「私たちは未知の領域にいます。これまでの心理学的なアプローチは、もはや適用されません」と話しました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
歴史ある食文化を持つフランスのレストランで使用されるようになったマークとは? - GIGAZINE

アプリやウェブサイトをデザインする上で最低限押さえるべき4つのポイント - GIGAZINE

食べ物・食材・料理などをモチーフにしたロゴデザイン40種類 - GIGAZINE

Googleの検索結果ページに飲食店のメニューが表示されるようになる - GIGAZINE

Googleが繰り返すデザイン変更からたどり着いた極意「明白こそが至高」について解説 - GIGAZINE

なぜメニュー表示用ボタンの「ハンバーガーアイコン」はダメなのか? - GIGAZINE

あなたをだますウェブサイトのデザイン「ダークパターン」を見分けるために理解しておくべきこと - GIGAZINE

in デザイン,   アート,   , Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.