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相手を自分の顧客にするための対話を成功させる40のヒント


どんなに優れた技術でアプリや製品を開発しても、それを使ってくれる人を見つけなければ収益化することは難しいもの。BtoBの製品開発において、見込み顧客に売り込みを行う段階になった時に使える「顧客開発インタビューのヒント」40個を、顧客開発サービスを提供するSKMurphyのショーン・マーフィー氏がまとめています。

40 Tips for B2B Customer Development Interviews - SKMurphy, Inc.
https://www.skmurphy.com/blog/2020/01/30/40-tips-for-b2b-customer-development-interviews/

・顧客との対話で行うこと
◆1:事前に3~5つの質問を用意する
顧客開発のインタビューにかかる時間は、数分で済むケースから1時間かかるケースまであります。話の最中に質問を重ねていくことは問題ありませんが、前もって話したいことを3~5点準備し、「質問の骨子」を持って臨みます。


◆2:「過去の行動」と「実際のできごと」に焦点を合わせる
架空の問題、潜在的な問題、将来の問題など、さまざまな問題が想定できますが、顧客のニーズに合わせるためには「過去の行動」と「実際のできごと」に焦点を合わせるべきとのこと。顧客は「現実の問題を解決すること」に対してお金を払うためです。

◆3:具体的な数値や客観的な基準を使用する
可能な限り、形容詞に数字を入れたり、範囲を指定したりすること。見込み客が「商品の購入」を決断するための選択基準を作る必要があります。

◆4:「変化」について掘り下げる
ビジネスには多くの問題があり、企業は問題解決のためにお金を払います。顧客の企業の何が問題なのか、取り入れるべきトレンドは何か、問題を軽くするものは何かなど、「変化」をもたらす要素について掘り下げます。

◆5:顧客の望みを完全に理解するまで可能な解決策について話さない
相手の状況・ニーズ・課題について自信を持って話すことができるようになるまで、「解決策について話したい」という誘惑に抵抗してください。

◆6:図面を持参する
誤解を防ぐために、1~2枚の用紙に準備したことを説明する図面を持っていきます。

◆7:相手にペンを渡す
向かい合うのではなく、90度の角度に座り、顧客が紙に書き込める状態で説明を行います。相手にペンを渡すことで考えを表現するための手段を与えることができ、スケッチにより状況が時間とともにどう変化するのかや、相互に影響するものごとの関係を理解しやすくなり、話し合いが活気づきます。


◆8:まず「事実」、その後に「意見」を聞く
事実は客観的に検証が可能で、意見は問題へのニーズや洞察を与えることができ、いずれも重要な要素です。しかし、意見から話し始めると事実にたどり着かない可能性があるので、まず「事実」から話し始めることが重要とのこと。

◆9:ドキュメントやデータの共有を求める
顧客は「当たり前」と考えている重要な内容について話さない可能性があるため、ドキュメントを求め、その内容と顧客の説明にある「隔たり」がないか確認します。この隔たりによってごまかしが明らかになる可能性があるほか、相手の物事への解釈が読み取れるようになることも考えられます。

◆10:自分や他企業の経験について話さない
相手の話に聞き覚えがあっても、決して自分や他企業の話に置き換えないこと。顧客開発のインタビューでは「聞き手」であることが求められますが、経験を話す誘惑にのってしまうと、「聞き手」から「話し手」にシフトし、見込み客の目線を失う危険性があります。また自分の話が相手の言いたいことと一致していない場合、相手は「自分に同意していない」と見なすことも考えられます。

◆11:新機能を求められたら「3分テスト」を行う
見込み顧客に新機能を求められたら、その機能を書きとめて、「あなたの要望を理解しているか確認するために、2つ聞かせてください。あなたがその機能を使用すると決めた3分前に、あなたは何をしていましたか?そしてその後3分間、何をしていましたか?」と聞いてください。これにより問題の発生頻度を特定し、問題についての理解を深めることが可能です。

◆12:顧客開発インタビューにおいて重要な6つのこと
製品と市場を適合性させ、新しい見込み客を引きつけるために重視すべきことは以下の通り。

1.顧客に自分の言葉で問題を説明してもらうこと
2.現行の仕事のプロセスやワークフローを自分自身の言葉で説明してもらうこと
3.問題解決を行う上での制約を明らかにすること
4.相手が達成したい「将来の状態」を相手がどのように話すかに注意すること
5.問題解決のために実施したこれまでの方法とそれに満足しなかった理由を聞くこと
6.相手のメリットと得られる結果を評価するための指標

・一般的な顧客開発インタビューのヒント
◆13:2人で臨む
2人体制で臨めば、「質問する人」「注意深く聞く人」で役割を分けることができます。また2人が自分のメモを比較することができるので、より相手への見方を深めることができます。


◆14:とにかく聞くこと
話をすればするほど、耳を傾けなくなります。とにかく見込み客の視点や、抱える問題点、ニーズが何かという情報を収集してください。

◆15:メモをとること
録音ではなくメモを取ることにより自分に集中を余儀なくさせ、また相手にも「聞いている」ということを伝えます。

◆16:友好的でリラックスした態度を維持すること
うまくアイデアを提示できないとイライラすることがあるかもしれませんが、深呼吸して笑顔を作りましょう。見込み客に解決策のアイデアを提示することよりも、「ニーズを理解しようとしている」という態度の方が有用です。また電話越しの場合でも笑顔は伝わるので、笑顔を浮かべることを忘れずに。

◆17:インタビューではなく対話と捉える
自分が質問をしていなければ相手の自分語りを聞いているに過ぎず、相手が質問しなければ尋問になります。互いの好奇心によって進んで行く、「対話」が成立するインタビューを目指します。

◆18:全ての人を潜在的な顧客として扱うこと
人は会話の詳細を忘れても、相手が自分にどのような印象を与えたかということは覚えているもの。常に丁寧に会話を終了させることで、相手の状況や意見がかわった時にもう一度アプローチできるようにします。


◆19:相手があまりにも好意的である時には注意する
相手が自分の言うことにあまりにも同意を示すとき、それは「早く話し合いを終わらせたい」という合図である可能性があります。相手がどうフォローアップしてくるかで、相手の意図を推しはかってください。

◆20:簡単に要約してから終わる
会話からわかったことを2~3点にまとめ、場合によってはいくつかの質問でフォローアップできるかどうかを尋ねます。要約することで相手から追加情報や意見を得る可能性が増え、また自分が何か重要な間違いを犯した時に相手が即座に指摘するチャンスを与えることができます。

◆21:相手の歓迎の枠を踏み越えない
長くいすぎないことで、再び会うチャンスがやってきます。会話の要約から感謝のあいさつまでは2~3分で行い、その後1~2日の間により詳細な要約を送ることで、次に会う機会を得てください。

◆22:会話を続ける余地を残す
話し合いを1回限りの機会だと思わないこと。最初の話し合いは長期的なビジネスの始まりとなる可能性があるため、相手を「二度と会わない人」として扱うことで、見込み客の可能性を除外しないようにします。

・顧客開発インタビューを行うために準備すべきこと
◆23:ビジネス関係の基礎を学ぶこと
相手の話に矛盾があると感じた時は、それを拒否するのではなく、「それについてもっと聞かせてください」と言うなど、好奇心と感謝をもって会話に臨むことが大切です。相手が自分の期待に添わない慣行やプロセスを説明する時には、「正当な理由があるはず」と考えて掘り下げます。

相手と自分との矛盾を発見することに尻込みしていては、相手に近づく方法を学ぶことはできません。対話の内容が「自分の仮定を確認すること」に終始していては相手の時間を無駄にします。また見込み客は他の潜在的顧客とのつながりがある可能性があるので、あなたが相手にとった間違った行動は、他の顧客にも伝わることが考えられます。

◆24:驚く覚悟をする
これはつまり、自分の仮定が間違っていた時の影響を事前調査し、新しい洞察やアイデアを受け入れ、別の角度から顧客の問題やニーズを検討する準備をするということ。「自分が会話する人の中で最も賢い」と仮定すると、学びを得られません。


◆25:見込み客の選択基準と問題の定義には可能な限り数字を使用する
「中小企業」という言葉は避けて収益・人員・取引率といった言葉を用いてください。このとき、大きな市場でビジネスをしたいという誘惑があるかもしれませんが、狭い範囲、迅速に行動できるところから始めます。

◆26:相手がターゲット顧客であることを確認する
誰が自分のターゲット顧客であるかを明確にして、相手と主題が一致していることを確認してください。潜在的な顧客でない人々との会話から顧客のニーズについての結論を出すことは、大きな誤解を招く危険性があるとのこと。

◆27:メンタルモデルは重要
頭の中にある「ああなったらこうなる」という行動のイメージをメンタルモデルと言いますが、見込み客のメンタルモデルや前提条件を理解することは非常に重要。このため、問題やニーズを説明するために使われるキーワードやフレーズを先に把握しておきましょう。

◆28:サービス開始時の価格と基本計画
相手はおしゃべりがしたいわけでも調査がしたいわけでもなく、問題を解決できる方法を探しています。少しでも見込み客の気持ちが傾いた時に示せるサービスの詳細は準備しておくべき。

◆29:相手に「これまでに学んだ重要な発見」を求められた時のために準備する
アーリーアダプターを探している場合は、自分の開発プロセスにおける重要な発見を相手と共有する準備をしておくこと。情報を秘匿したり、「全ての発見は最終レポートでお送ります」と言うと、アーリーアダプターの希望を失することになりかねません。また情報を提供しておけば、フィードバックを求める口実にもなります。

◆30:1分を節約するために1時間かける
勉強が不十分だとわかる質問をすると、相手が「時間を無駄にされた」と感じます。3~6分の間に信頼関係を確立し、6~8分の間には要点に達する必要があります。しっかり勉強をすることで30分、1時間と会話が続き、相手は多くの質問を発するようになるとのこと。


◆31:インタビューの前にチェックするべき5つの情報源
上記のように事前に勉強することは非常に重要であることから、インタビューに臨む前に5つをチェックすることが推奨されています。

1.見込み客のウェブサイト
2.最低2年分の相手企業の報道記事
3.会話する相手や、その相手と同様の肩書きを持つ人、あるいは同じ部門の人のLinkedInプロフィール
4.業界に関するオンラインフォーラムの投稿
5.相手のソーシャルメディアアカウント

◆32:起業家精神を持つ
相手に会う理由はスタートアップを維持し、実行可能なビジネスを拡大する製品を作ることだと自覚します。

◆33:プランBを持つ
製品のコンセプトは実行不可能かもしれませんが、会社の初期段階では製品そのものよりも開発チームの力が重要です。プランAが失敗した時にはプランB、プランCの可能性を探ってください。

◆34:見込み客の言葉を使う
質問するにせよ、答えるにせよ、見込み客が使用する言葉と同じものを使う必要があります。会話は常に相手の視線に立って行われることが重要であり、相手が「この人は分野の外の人物だ」と考えてしまうと、信頼関係の構築が難しくなります。

・顧客開発インタビューを行った後にすべきこと
◆35:インタビューを行った日に報告する
話し合いの概要はその日のうちにパートナーに報告すること。一方で、最終的な概要はいったん眠って1晩置いてから作成します。


◆36:フォローアップメールを送る
相手に自分が聞いたことの詳細の要約を送り、相手にそれを批評できるようにします。特に、内省するタイプの人は自分の考えを書面で共有することを望むとのこと。

◆37:問題を抱える人は部分的な解決を受け入れる
完璧な解決を求める人に自分を合わせないでください。見込み客のいきすぎた要望を追いかけるとスタートアップを殺すデススパイラルに入ることがあります。部分的な解決ではなく完璧な解決だけを求めるということは、ある意味で「現状維持で構わない」と言っていることと同じです。

◆38:調査結果を分析する
ジャーナリストのように「物語」を使って相手のニーズを理解し、探偵のように問題の根本的な原因を明らかにし、科学者のようにデータを収集し、会計士のようにコストと投資収益率を考え、経済学者のようにトレンドを探ります。基本的な起業家精神と共に、これら複数の異なる視点が必要とのこと。

◆39:「会話の質」と「学んだこと」の2つで評価を行う
「会話の質」に対する評価は自分の技術に対する評価であり、「学んだこと」への評価は顧客のニーズに対する理解度を測定します。インタビューの手法が甘いと、一部のチームメンバーが重要な情報を見落としたり、潜在的な顧客を見落としたりする可能性があるため、チーム全員で評価することが重要です。

◆40:フォローアップメールへの返信がない時は修正が必要な時
対話が成功した感覚があったにも関わらずメールの返信がなかった場合は、ボイスメールを送ってみるのも1つの手。それでも返信がない時は、対話が相手のニーズに沿うものではなかったか、相手を不快にさせた可能性があると考えます。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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