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脳トレの効果が研究者に認められにくい理由とは?


簡単な問題を繰り返すことで脳の前頭前野を鍛える「脳トレーニング」は、テレビゲームやスマートフォンアプリなどによって世間に広く浸透しています。脳トレーニングはIQアップなど「有益な効果がある」と主張する研究者がいる一方で、「意味が無い」と否定する研究者も多く存在します。このような対立が生まれている理由について、カリフォルニア大学の教育・認知科学教授であるスザンヌ・M・ジャギ氏が解説しています。

Does 'Brain Training' Actually Work? - Scientific American
https://www.scientificamerican.com/article/does-brain-training-actually-work/

ジャギ氏は過去に、脳をトレーニングすることでIQテストで好成績を修めることができるという研究結果を発表していますが、結果を疑問視する研究者も多くいたとのこと。一部の研究者は脳トレーニングに懐疑的な意見を持ち、実際に「脳トレーニングに効果はない」という研究結果を示している研究者も多く存在します。2016年には「脳トレーニングの効果はプラシーボによるものである」という研究結果も示されました。

脳トレーニングによる能力アップは「プラシーボ効果」によって生みだされていたことが証明される - GIGAZINE

By Neil Conway

ジャギ氏によると、脳トレーニングの効果について意見が対立する理由は「脳トレーニングでどのくらい能力が向上したか」を測定する効果的な共通の手法が無く、脳のプロセスが真に改善されていことを示すことは難しいためであるとのこと。正当な評価手段がないことから、「脳トレーニングに効果があったのか?」を正確に測れていない可能性があるとジャギ氏は指摘しています。

ジャギ氏は「トレーニングによって本当に脳の機能が改善されれば、認知障害を持つ人々などを助けることができる可能性があります。脳トレーニングは大きな可能性を秘めているのです」とコメントしており、ジャギ氏自身は脳トレーニングの有効性を肯定するための研究を推進しています。ジャギ氏は「脳トレーニングは有効である」と証明するためには「誰を被験者にするか」も考慮すべきであると主張。

例えば、スポーツ選手を対象におこなった脳トレーニングでは、視覚機能に有益な効果がみられたという研究結果があります。また、ジャギ氏によると未査定であるものの短期記憶の脳トレーニングが若い世代に効果的であるという研究もあるそうで、「脳トレーニングはすべての人に同じような効果をもたらすわけではない」とジャギ氏は主張しています。


脳トレーニングの効果を明確に実証するためには、何万人もを対象にした実験が必要であるとジャギ氏は述べています。実際に、ジャギ氏らの研究チームはアメリカ国立衛生研究所から資金提供を受け、約3万人の被験者を対象に脳の作業記憶をトレーニングする複数のアプローチを比較する研究を計画しています。この研究では、トレーニング成果を評価するために共通の評価基準を使用し、個人差に焦点を当てて結果の比較を行うとのこと。

「多くの参加者を集め、どんなトレーニングがどのように個人と関係しているかを評価することによってのみ、脳トレーニングに関する論争にはっきりと対処することができます。この研究が成功すれば、『個人の最適な脳トレーニング方法』『各脳トレーニングの恩恵を得やすい個人の特徴』などを明らかにすることができるでしょう」とジャギ氏は語っています。

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in Posted by darkhorse_log

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