サイエンス

着用者が新型コロナに感染しているかどうかがその場ですぐにわかるマスクが開発される


マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の共同研究チームが、装着して90分以内に「着用者が新型コロナウイルスに感染しているかどうか」を判定するマスクを開発したと発表しました。

Wearable materials with embedded synthetic biology sensors for biomolecule detection | Nature Biotechnology
https://www.nature.com/articles/s41587-021-00950-3


New face mask prototype can detect Covid-19 infection | MIT News | Massachusetts Institute of Technology
https://news.mit.edu/2021/face-mask-covid-19-detection-0628

実際に開発されたマスクの写真が以下。マスクの外側に検出器がついており、内側に検出結果を示す紙がついています。使用者のプライバシー保護のため、結果は外からは見えないようになっています。検出器には小さな水の入ったカプセルが取り付けられています。


「SHERLOCK」と名付けられたこの検出器は、RNAやDNAなど特定の標的分子に反応する合成遺伝子ネットワークを作るために必要なタンパク質や核酸を紙に埋め込むことで、エボラウイルスジカウイルスなどを診断できるようにしたもの。SHERLOCKは凍結乾燥されており、水分に反応することで活性化し、RNAやDNAなどの標的分子と反応するようになっています。


2020年初頭に新型コロナウイルスが全世界で流行し始めたのを見て、研究チームはすぐに新型コロナウイルスのRNAを標的分子とするSHERLOCKを作成し、樹脂製のパーツで覆ってマスクにとりつけました。検査時にボタンを押すと、カプセルに入った水でSHERLOCKが活性化し、呼気に含まれるウイルスを90分以内に検出するという仕組みです。

研究チームの一員で、ハーバード大学・ウィス研究所の研究員であるPeter Nguyen氏は「この検査は、高感度PCR検査と同程度に高い感度を誇りますが、新型コロナウイルス感染症の迅速な分析に使用される抗原検査と同じくらいに結果が速く出るのが特徴です」と述べています。


SHERLOCKは、新型コロナウイルスやエボラウイルスの他にも、インフルエンザウイルスや有機リン系神経ガスの検出も可能。研究チームは、この検出器をマスクだけではなく、白衣などの衣服にも組み込むことが可能で、さまざまな病原体の脅威にさらされている医療従事者をモニタリングするための新しい方法になると論じています。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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