メモ

フロリダ州で崩壊したコンドミニアムは2年前に防水不備によるコンクリート劣化が指摘されていた


2021年6月24日(木)深夜、フロリダ州マイアミ近郊のコンドミニアム「シャンプレインタワーズ・サウス」の一部が崩壊する事故が発生しました。崩壊の原因はまだはっきりとわかっていませんが、2018年に行われた構造調査において、防水材をただちに交換しないとコンクリート劣化の範囲が急速に拡大すると指摘が行われていました。

Cracked concrete, standing water days before Florida collapse | Miami Herald
https://www.miamiherald.com/news/local/community/miami-dade/miami-beach/article252421658.html


What caused the Surfside condo collapse in Miami-Dade County? | Live Science
https://www.livescience.com/miami-dade-condo-collapse-subsidence-explained.html

地元紙・マイアミヘラルドは、崩壊が起きる36時間前に現地を訪れたというプールのメンテナンス担当業者から、当時の様子を聞き出しています。業者の出入りは、築40年を迎えたこのコンドミニアムの、数百万ドル(数億円)規模の修繕計画の一部だったとのこと。


業者によると、コンドミニアムのロビーやプールはとてもきれいに清掃が行き届いていたものの、地下階層のひどさは、数十年業界にいても驚くぐらいのものだったとのこと。地下駐車場はあちこちに水たまりができていて、特にプールデッキの真下にあたる駐車番号78のあたりが特に深い水たまりだったそうです。建物を案内してくれたスタッフは「防水の問題だろう」ぐらいに受け止めていたようですが、メンテナンス担当業者は「さすがに異常な水の量で、普通ではないと思った」とコメントしています。

また、同じく地下階層にあるプールの設備室では、天井のコンクリートにひび割れがあったり、鉄筋が腐食したりしていたとのことです。

建物にいろいろな問題があったことは、2018年にこのコンドミニアムの構造調査を行ったモラビト・コンサルタンツの技術者フランク・モラビト氏が指摘しています。

Champlain Towers South Condoinium Structural Field Survey Report MC Job#18217
(PDFファイル)https://www.townofsurfsidefl.gov/docs/default-source/default-document-library/town-clerk-documents/champlain-towers-south-public-records/8777-collins-ave---structural-field-survey-report.pdf


モラビト氏のレポートによれば、一部の住民からハリケーンの際に屋内に浸水があったという苦情があり、調べたところ、バルコニーの引き戸や窓の不適切な防水処理や、シーリング材の劣化を確認。そもそも引き戸自体が適切に設置されておらず、完全に作り直すしかない部屋もあったとのこと。

また、建物外壁の化粧しっくい部分に大きなひび割れがあり、建物内への浸水の原因にはならないものの、再塗装を行うべきであるとモラビト氏は指摘。

プールデッキに関しては、長年の風雨で舗装にひび割れや中程度の損傷があるものの「居住者に危険を及ぼすものではない」ため、ただちに交換する必要はないとされています。

ただ、目地のシーリング材やこのデッキ下部の防水材は耐用年数を超えており「交換の必要あり」に挙げられています。防水材の不具合の影響で、下層のコンクリート構造スラブに大きな構造的ダメージが加わっており、近い将来に防水材を交換しないとコンクリートの劣化範囲が飛躍的に拡大するとモラビト氏は指摘しています。

モラビト氏が報告したコンクリートの劣化の一例。駐車場フロアの柱でひび割れや剥落が発生しています。


同じくモラビト氏が報告した、駐車場フロアで露出している鉄筋。


コンクリートのひび割れ補修のために過去、エポキシ樹脂の注入が行われたものの、それが失敗しており、多くの場所で炭酸カルシウムが溶出してきていることも指摘されています。モラビト氏は「ひび割れや剥落の補修にエポキシ注入は効果がないと確信しています」とコメントしています。


ただし、モラビト氏が指摘したコンクリートの劣化は、建物の築年数から考えると妥当なものだったとマンション協会のケネス・ディレクトール弁護士は反論しています。

このほかに建物崩壊の原因として考えられているのは、駐車場フロアよりさらに下層、基礎のレベルでの腐食や損傷、あるいは2019年に近くで行われた大規模な建設工事で発生した揺れの影響、地盤沈下などです。このうち、地盤沈下に関しては基礎が徐々に沈むことで安定性は損なわれないはずであるとして、他の要因の可能性が高いことが指摘されています。原因はなおも究明中です。

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in メモ, Posted by logc_nt

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