セクハラと性差別問題で揺れるActivision Blizzardが「労働組合つぶし」に定評のある大手法律事務所と契約

by Prachatai

「コール・オブ・デューティ」シリーズや「オーバーウォッチ」シリーズなどの開発会社として知られるActivision Blizzardでは、セクシャル・ハラスメントや差別の問題が浮上しており、従業員から抗議の声が挙がっています。従業員側は労働組合を結成してストライキも辞さない構えを見せていますが、企業側が「労働組合つぶし」で数々の戦績を重ねてきた法律事務所・WilmerHaleを雇用したと報じられています。

Activision Blizzard Hires Notorious Union-Busting Firm WilmerHale — Promethean
https://www.promethean.news/news/activision-hires-notorious-union-busting-firm-wilmerhale

Activision Blizzard Psuedo All-Hands Meeting Seems to Promise More of the Same–Uppercut
https://uppercutcrit.com/activision-blizzard-psuedo-all-hands-meeting-seems-to-promise-more-of-the-same/

Activision Blizzard Hires Amazon Union Busting Firm Mid Lawsuit
https://kotaku.com/activision-blizzard-hires-union-busting-firm-as-workers-1847386654

カリフォルニアの公正雇用住宅局が2年間の調査を行った上で「セクシャル・ハラスメントや賃金格差など、女性従業員に対して不当な扱いが続いている」と、Activision Blizzardを2021年7月20日に訴えました。また、従業員およそ1000人が、セクハラと差別を訴える公開書簡に署名したことが報じられています。

コール オブ デューティを抱えるゲーム会社「Activision Blizzard」がセクハラ・虐待で訴訟へ、約1000人の従業員が署名した公開書簡の内容とは？ - GIGAZINE

さらに、企業側の対応は真摯(しんし)なものではないとして、従業員数十名がカリフォルニア州にあるActivision Blizzardの本社ビル前で7月28日にストライキを決行しました。

これまでアメリカのゲーム業界にはゲーム開発者で構成される労働組合が機能しているケースがほとんどなく、労働搾取が問題視されていました。そして、Activision Blizzardの問題を受けて、ゲーム業界では各方面から労働組合結成の価値と重要性が議論されています。

そんな中、Activision Blizzardが契約したというWilmerHaleはアメリカでも特に権威がある法律事務所の1つ。これまでにも「ホロコーストで利益を得た」と告発されたスイスの銀行や、ナチス時代の強制労働を告発されたドイツ企業などの弁護を担当したことで知られています。

また、WilmerHaleは大企業に雇用されて「労働組合つぶし」を行うことで知られています。例えば、元副司法長官でAmazonの取締役会員でもあるジェイミー・ゴレリック氏はWilmerHaleと契約し、Amazonの労働組合結成を失敗に導いたとされています。

Amazonの労働組合結成を問う投票が「Amazonの大勝」で決着、Amazon初の労組結成は失敗 - GIGAZINE

by Ben Mortimer

ゲーム関連ニュースサイトのKotakuがActivision Blizzardに対して問い合わせたところ、広報担当者は「WilmerHaleは、差別やハラスメント、報復問題に関する方針や手続きを改善し、組織が職場環境を強化することをサポートする経験が豊富です」と回答。また、WilmerHaleからはコメントが得られなかったそうです。