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Facebookは子ども向けInstagram以外にも「子どもを引きつける方法」を編み出そうとしていたことが判明


Facebookは子ども向けのInstagramである「Instagram Kids」の開発を進めていましたが、「若者にとって有害である」とする批判を受けて2021年9月27日に開発停止を発表しました。新たにウォール・ストリート・ジャーナルが入手した複数の内部文書から、Facebookが子どもを引きつけるために行っていた取り組みの一部が明らかになっています。

Facebook’s Effort to Attract Preteens Goes Beyond Instagram Kids, Documents Show - WSJ
https://www.wsj.com/articles/facebook-instagram-kids-tweens-attract-11632849667/

Facebookは2021年3月に、Facebookが13歳未満の子ども向けInstagram(Instagram Kids)を開発していることが明らかになりました。このInstagram Kidsについて、Instagramの広報担当であるステファニー・オトウェイ氏は「子どもたちが安全にサービスを利用できるよう支援したいと考えています」と述べていました。しかし、専門家からは「子どもの安全が懸念される」として批判され、2021年5月には米国州司法長官会議(NAAG)がFacebookに対してInstagram Kidsの開発中止を求める事態に発展していました。

子ども向けInstagramの開発中止を求める声明をアメリカ各州の司法長官が連名で発表 - GIGAZINE


さらに、2021年9月14日にはウォール・ストリート・ジャーナルがFacebookの内部文書を基に「FacebookはInstagramが10代の若者にとって有害であることを認識していた」という内容の記事を公開しました。この報道を受けて、アメリカでは民主党・共和党・超党派を含む議員たちによる調査が始まっています。

上記の報道についてFacebookは2021年9月26日に公式ブログ上で反論を展開し、「孤独や不安などに苦しんでいる10代の少女の多くがInstagramが支えになったと報告している」「ウォール・ストリート・ジャーナルによる報道は悪意の切り抜きである」と主張しました。しかし、翌日の27日には「子ども向けに専用プラットフォームを用意することは正しいことだと信じています」と述べつつも、Instagram Kidsの開発停止を発表しました。

Facebookが「子ども向けInstagram」の開発を凍結 - GIGAZINE


そして、9月28日に公開されたウォール・ストリート・ジャーナルの新たな報道によると、これまでFacebookは10代前半の子どもを「貴重な未開拓のユーザー」とみなし、子どもたちを自社製品に引きつける方法を検討するためのチームを編成していたとのこと。また、Facebookはユーザーを「0~4歳」「5~9歳」「10~12歳」「13~15歳」「16歳以上の未成年」「成人」の6段階の年齢層に分類し、それぞれの年齢層に合わせて製品を調節する必要があると認識していたことも判明しました。

加えて、2018年に作成された内部文書には「スマートフォンやタブレットの普及によって、子どもたちは6歳という若さでインターネットにアクセスしています。私たちはこれを無視することはできません」「子ども向けに設計されたFacebookエクスペリエンスを想像してみてください」と記されていたことから、Facebookが6歳ごろの子どもたちに向けたアプリやサービスの開発を検討したことも明らかになっています。

ピュー研究所が2020年に実施した調査では、9~11歳の子どものうち30%がTikTok、22%がSnapchat、11%がInstagram、6%がFacebookを利用しているとされており、子どもたちの間でFacebookやInstagramの人気が低迷していることが分かっています。Facebookもこの事実を認識しており、アメリカにおける10代の若者によるFacebookの利用が2019年から2020年の間に19%減少し、2023年までに45%減少する可能性があると示す内部文書も存在しているとのこと。ウォール・ストリート・ジャーナルは、「Facebookの内部文書は、TikTokやSnapchatといったライバルとの競争が子ども向け市場を開拓する動機であることを示しています」と指摘しています。


Facebookは6~12歳向けにメッセージアプリ「Messenger Kids」を提供しています。このアプリについてFacebookの内部文書には「Messenger Kidsを利用した子どもたちは、成長した後にFacebookを利用することを期待できる」と記されており、Facebookによる子ども向け製品の開発は将来的なユーザーの獲得を目指して行われていることも判明しています。

Facebookによる子ども向け製品の開発に対して、ウォール・ストリート・ジャーナルは「子どもによるソーシャルメディアサービスの利用は、子どもを危険にさらす可能性があります」と主張しています。実際に、Messenger Kidsは「親が許可したユーザーとしかチャットできない」とされていたにもかかわらず「許可していないユーザーとチャットできる」という欠陥が存在し、子どもが不正なユーザーとチャットしてしまう事態が発生していました。

Facebookのメッセージアプリに構造上の欠陥があり子どもが不正なユーザーとチャットする事態に - GIGAZINE


◆Facebookの反論
Facebookはウォール・ストリート・ジャーナルの記事公開と同日に公式ブログで反論を展開しています。それによると、ユーザーを「0~4歳」「5~9歳」「10~12歳」「13~15歳」「16歳以上の未成年」「成人」の6段階の年齢層に分類しているのは一般的な慣習や専門家の分類に沿っているだけで、Facebookの製品戦略を反映しているわけではないとのこと。また、競合他社も同様に子どもたちを製品に引きつけるための製品開発を進めていると主張し、「Facebookは子どもが安全にアプリを利用できるようにしたいのです」とアピールしています。

Explaining the Research We Do to Support Families - About Facebook
https://about.fb.com/news/2021/09/explaining-research-to-support-families/

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in ネットサービス, Posted by log1o_hf

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