メモ

2020年生まれの子どもは1960年生まれに比べて「4倍の異常気象」を経験するという研究結果


人生は日常の連続ですが、その日常は戦争などの世界情勢やテクノロジーに応じて世代ごとに大きく異なります。近年叫ばれる地球温暖化について、「近年生まれた子どもは60年前の子どもに比べて約4倍の異常気象を経験する」という研究結果が発表されました。

Intergenerational inequities in exposure to climate extremes
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abi7339

CLIMATE CRISIS – Children face life with far more heatwaves, floods, droughts and wildfires than grandparents | Save the Children International
https://www.savethechildren.net/news/climate-crisis-%E2%80%93-children-face-life-far-more-heatwaves-floods-droughts-and-wildfires

Children Born Today Are in For a Life Full of Natural Disasters, Unless We Act Now
https://www.sciencealert.com/children-today-will-experience-up-to-7-times-more-climate-disasters-than-their-grandparents

「子どもが経験する量」という観点から異常気象の増加を説明する研究を発表したのは、子どもの支援を掲げるNGO団体のセーブ・ザ・チルドレンとベルギー・ブリュッセル自由大学の共同研究チームです。研究チームは、パリ協定に基づく気温上昇を前提とした6種の異常気象予測データと人口増加・平均寿命などの世界人口の予測データをもとに「人生で遭遇する異常気象の回数」を算定。その結果、2020年に生まれた子どもは祖父母世代にあたる1960年代生まれの人々に比べ、それぞれの異常気象の経験回数が、山火事は2倍、干ばつは2.6倍、不作は2.8倍、河川洪水は2.8倍、熱波は6.8倍になるという結果が得られました。

一部の国では異常気象に遭遇する回数が特に多く、アフガニスタンの子どもは年長者に比べて熱波の経験回数が最大18倍、マリでは不作の経験回数が最大10倍になる可能性があるそうで、セーブ・ザ・チルドレンは「低・中所得国や恵まれない地域に住む子どもたちは、水系感染症や飢餓、栄養失調などのリスクがすでに非常に高いというだけでなく、洪水やサイクロンなどの異常気象によるリスクが非常に高い家屋に居住しており、異常気象の増加によって最も大きい被害を受けることになります」と説明しています。


今回の研究結果は海面上昇による沿岸洪水のような発生までに時間がかかる災害や気候変動がさらに悪化するという可能性は考慮の対象外としている上に、1年間に同じ気候災害に複数回さらされた場合でも1回とカウントしており、「過小評価した値」とのこと。セーブ・ザ・チルドレンは現状の気候変動対策について、「子どもにとって容認できない影響を与えるだろう」と述べています。

パリ協定の合意内容に基づいた場合には、産業革命期から2100年にかけて2.6~3.1度の気温上昇が生じると推定されていました。セーブ・ザ・チルドレンは今回の研究結果に基づき、この2.6~3.1度という気温上昇を「1.5度以下」に引き下げるべきだと主張。気温上昇が1.5度以下ならば子どもが経験する異常気象の回数を大幅に減らせると説明しました。

セーブ・ザ・チルドレン・インターナショナルのインガー・アッシングCEOは「低・中所得国や恵まれない地域の子どもたちが最も深刻な影響を受けるでしょうが、気候変動による深刻な影響を受けるという点は他の地域の子どもたちも変わりません。アメリカやカナダでの熱波、オーストラリアでの山火事、ヨーロッパや中国での洪水、アフガニスタンやマダガスカル、ソマリアなどで食糧危機を引き起こしている複数の干ばつなど、安全な場所はどこにもないことが明らかになっています。早急な対策を講じなければ、私たちは子どもに致命的な未来を引き渡すことになるでしょう」とコメントし、気候変動対策の重要性を強調しました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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