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ロシア最大のセキュリティ企業CEOが反逆罪で逮捕される、本人は容疑を否定

by ITU Pictures

数年にわたって何百もの海賊版サイトと犯罪組織の関連性を調査していたサイバーセキュリティ企業・Group-IBのイーリャ・サチコフCEOが「国外の諜報組織にデータを渡した」として、反逆罪の疑いでロシア当局に逮捕されました。Group-IBはサチコフCEOは無実であるという声明を発表しています。

Group-IB confident in the innocence of Ilya Sachkov. Co-founder Dmitry Volkov to assume leadership of the company – Global Cyber Security Company – Group-IB
https://www.group-ib.com/media/official-statement-sachkov-innocence/


Основатель Group-IB не признает вину в передаче секретных данных иностранной разведке - Происшествия - ТАСС
https://tass.ru/proisshestviya/12533055


Песков счел, что арест основателя Group-IB не повлияет на деловой климат в РФ
https://www.interfax.ru/russia/794266


CEO of Major Anti-Piracy Company Arrested in Russia For High Treason * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/ceo-of-major-anti-piracy-company-arrested-in-russia-for-high-treason-210929/


Group-IB website was defaced before CEO's treason arrest • The Register
https://www.theregister.com/2021/09/29/group_ib_ceo_arrested_treason_claims_russia/

ロシア当局は、2021年9月27日にGroup-IB本社を捜索し、28日にサチコフCEOを逮捕しました。裁判所の命令によって、サチコフCEOは最低でも2カ月間は拘束される見込み。もし裁判によって反逆罪が認められた場合、最長で20年の懲役刑が科されることとなります。


ロシアの国営通信社であるタス通信によれば、サチコフCEOは反逆罪の容疑を否定し、「海外の諜報機関に協力してロシアの利益に風評被害や国家的損害を与えたこと」も否認しているとのこと。なお、サチコフCEOに対する起訴状は「機密」のラベルがついているため、詳細は明らかになっていないそうです。

Group-IBは公式サイトに発表した声明で「サチコフCEOは無実であり、彼の仕事は完全なものであると自信を持っています」と述べ、サチコフCEOが拘束されても共同創設者であるドミトリ・ヴォルコフ氏がCEOの代理を務め、会社は通常通りに営業を続けると発表しました。

Group-IB уверена в невиновности Ильи Сачкова. Руководство компанией возьмет на себя сооснователь — Дмитрий Волков https://t.co/CzGqHajCL7

— Group-IB (@GroupIB)


サチコフCEOはGroup-IBのCEOと並行してロシアのバウマン工科大学の准教授を務めており、2016年にアメリカの経済誌・フォーブスに「注目すべき30歳以下の若者30人」に選ばれたこともある人物。過去には優れた起業家として、ウラジーミル・プーチン大統領から表彰されたこともあります。

here's Sachkov meeting with Putin in 2019, as part of a Kremlin awards ceremony honoring small business entrepreneurs. pic.twitter.com/QaQD3YZHH0

— Mike Eckel (@Mike_Eckel)


サチコフCEOが創設したGroup-IBはロシアで設立され、記事作成時点ではシンガポールに法的拠点を置くサイバーセキュリティ企業です。Group-IBはこれまでロシアにおける著作権侵害に関する調査を積極的に行っており、2019年にGroupIBは、違法な海賊版ストリーミングサイトに数万の映画やテレビ番組を提供する巨大な海賊版コンテンツデリバリネットワーク(CDN)についての報告書を発表しました。この報告書を基に、アメリカの映画業界団体であるモーション・ピクチャー・アソシエーションは該当する海賊版CDNに対して法的処置を取っています。

また、サイバーセキュリティ企業として世界中の法執行機関と契約し、オンライン犯罪の調査も行っていました。サイバーセキュリティ関連のシンクタンクであるGlobal Commission on the Stability of Cyberspaceに掲載されたサチコフCEOのプロフィールによれば、「ロシアと政府機関によるサイバー犯罪の分野で注目を集めた調査の80%以上に関わっている」とのこと。


ロシアの非政府系通信社であるインテルファクス通信は、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官による「今回の逮捕は我が国のビジネスや投資環境とは関係がありません。サチコフCEOの容疑は経済に関するものではなく、国家への反逆罪です」というコメントを報じています。一方で起業家の権利保護を担当するボリス・ティトフ大統領委員は「サチコフCEOの逮捕はIT分野への投資にきわめて悪い影響を与える」と懸念を表明しました。

また、サチコフCEOとビジネスの付き合いがあったという関係者は匿名で「サチコフCEOはサイバーセキュリティ業界に身を置いていたため、常に法的にグレーな立ち位置にありました。もしかすると、サチコフCEOは一線を越えたか、あるいは誰かの利益を損ねるようなことをしてしまったのかもしれません」と語り、サチコフCEOが虎の尾を踏んでしまった可能性を示唆しました。

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in メモ,   セキュリティ, Posted by log1i_yk

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