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図書館向けの電子書籍サブスクリプションサービスに陰謀論・性差別・歴史修正主義を扱う本が数多く登録されていたと判明して問題に


デジタルメディアサービスのHooplaはアメリカやカナダの図書館と契約を結び、図書館利用者に電子書籍や映画、オーディオブックへのアクセスを提供しています。しかし、Hooplaが取り扱う電子書籍のラインナップに、極右陰謀論や新型コロナウイルスについてのデマ、LGBTQ+の転換療法やホロコースト否定論などを助長するような書籍が無数に登録されていることが判明し、図書館職員がHooplaに対して業務の透明性を求めていると報じられています。

Ebook Services Are Bringing Unhinged Conspiracy Books into Public Libraries
https://www.vice.com/en/article/93b7je/ebook-services-are-bringing-unhinged-conspiracy-books-into-public-libraries


Hooplaは登録された電子書籍が読み放題となる月額有料のサブスクリプションサービスです。Hooplaはアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの公共図書館に導入されており、図書館の利用者が登録された公共図書館のカードを使うことで電子書籍を借りることができるようになります。

hoopla | streaming audiobooks, music, video & ebooks
https://www.hoopladigital.com/


Hooplaが提供しているサービスは他の電子書籍サービスより比較的安価ですが「電子書籍の定期購読」となっているため、図書館側はHooplaで貸し出される書籍を選ぶことがほとんど不可能となっています。Hooplaのジェフ・ジャンコフスキーCEOによれば、Hooplaに登録されている電子書籍は1万8000社を超える出版社で構成されるネットワークから登録されたもので、人間と機械の両方で精査しているとのこと。

しかし、アメリカ・マサチューセッツ州の図書館職員団体が2022年2月に、ホロコースト否定論や反ユダヤ主義を主張する本がHooplaで多数提供されていると抗議しました。Hooplaはこの抗議を受けて、取り扱う電子書籍から該当するタイトルを削除しました。


IT系ニュースサイトのMotherboardによると、Hooplaで「同性愛」で検索すると、「同性愛は治療可能」と主張する転向療法を扱う書籍が検索結果の上位に多くヒットしたとのこと。ヒットした書籍の一部は「ノンフィクション」のカテゴリに分類されていたそうです。

以下の画像は「Abortion(中絶)」と「Homosexuality(同性愛)」というキーワードで、Hooplaのデータベースで検索を行った結果。赤い丸印がついているのは、宗教関連の自費出版本で「ノンフィクション」に分類されているものです。図書館職員団体のLibrary Futuresは、こうした書籍が公共図書館の電子書籍カタログで検索結果の上位に表示される理由について、Hooplaに問い合わせているとのこと。


以下の「A New Nobility Of Blood And Soil」は白人至上主義の書籍で、図書館職員団体のLibrary Freedom ProjectがHooplaに問い合わせたところ、書籍リストから削除されたそうです。


さらにHooplaで「ワクチン」で検索したところ、新型コロナウイルスに関する陰謀論を扱った書籍が多数表示されたとのこと。


ニューヨーク私立大学法学部のサラ・ラムダン教授は「電子書籍を1冊ずつ購入するよりも、Hooplaのようなサブスクリプションプランを契約する方が安く済みます。図書館は社会にとって非常に重要な施設と見なされていますが、実際は適切な予算が割り当てられていません。これは情報のアウトソーシングが、信頼できる情報源を駆逐している例です」と述べています。

Motherboardがこの問題を取り扱うにあたって取材した図書館職員のほとんどが、本の検閲をするよりもHooplaと話し合う必要があると述べたとのこと。図書館職員団体は、公共図書館にふさわしくない内容の書籍が膨大な量の電子書籍に登録されているかどうかを1冊ずつチェックするのはあまりにもコストがかかりすぎるため、職員が電子書籍をすべてチェックするのではなく、Hooplaなどの電子書籍貸出サービスの透明性と説明責任をもっと強化するべきだと述べています。

HooplaはMotherboardに対して、ホロコースト否定論を唱える書籍についてはプラットフォームからすぐに削除したことを明らかにしました。また、「私たちは、図書館が利用者に幅広いコンテンツへのアクセスを提供し、地域社会のニーズに最も適したコレクションをカスタマイズできるよう支援する役割を真剣に果たしています。また、ポリシーを改善し、図書館が利用者に提供するタイトルを選択できるようにするためのツールをさらに開発しています。さらに私たちは図書館のパートナーがより良いサービスを提供することに常に耳を傾けてきましたし、この重要なトピックについては今後もそうしていきます」と述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1i_yk

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