メモ

Microsoftの最高技術責任者を務めるケヴィン・スコットがRedditに登場し「CTOだけど質問ある?」を実施

by Vetala Hawkins and Microsoft

2022年5月27日、インターネット掲示板Reddit内のテクノロジー系ニュースを扱うコミュニティ「r/technology」に、Microsoftの最高技術責任者(CTO)を務めるケヴィン・スコット氏が登場。Ask Me Anything(AMA)と呼ばれる、いわゆる「〇〇だけど質問ある?」を実施し、ユーザーからの質問に多数回答しました。

I'm Kevin Scott, Chief Technology Officer of Microsoft, author, woodworker, perpetual learner, and podcast host. Ask me anything about AI, software development, or what I think about the future of tech.
https://www.reddit.com/r/technology/comments/uz33f3/im_kevin_scott_chief_technology_officer_of/

スコット氏はGoogleでキャリアを開始した後、ビジネス系SNSのLinkedInでエンジニアリング担当上級副社長に就任。その後Microsoftに移りCTOとテクノロジー&リサーチ担当上級副社長を兼任し、検索と情報抽出に関するいくつかの特許の共同発明、動的バイナリ書き換えに関する文書の執筆などを行いました。


そんなスコット氏に対し、RedditユーザーはAIやWindows 11など、Microsoftが携わる技術系の質問を投げかけました。

Q:
ディープラーニングやAIについて、プライバシー保護を求める一般的な国民感情はどのように解決されるのでしょうか?最近のClearview AIに対する訴訟(顔認識技術開発のClearview AIがイギリス国民の顔画像データを収集したのは違法だとして、プライバシー当局から755万ポンド(約12億円)の罰金を科された件)から分かるように、企業の中には公益に反して行動し、罰金を「事業を行うための費用」だと捉えているところもあるようです。CTOは倫理を維持しつつ競争力をどのように確保するつもりなのでしょうか?

ケヴィン・スコット氏(以下、スコット氏):
私は以前、恩師に「信頼というものは長期にわたる一貫性だ」と教えてもらったことがあります。AIに取り組む人々が一般の人々の信頼を得るためには、自分たちがやっていることに謙虚に取り組み、懸念に耳を傾け、そして最後には人々が関心を寄せる問題を解決するAIシステムや製品を構築しなければならないと考えています。私たちにとって、それはGitHub Copilotのような認知作業を行う人々の生産性を向上させるものを作ることを意味し、AIを「認知作業を行う人々を支援するための一連のツール」として考えることに当たります。これは、私たちが大きなモデルで行っている作業を一般の人々にAPIで利用できるようにすることで、人々が自分にとって重要な問題を解決できるようにすることを意味します。

また、新しい製品やツールを発売する際には、被害を予測し、発売前にその害に対する保護を施し、発売前に発見できなかったAIシステムの「バグ」を迅速に修正する方法を考えるよう、細心の注意を払っています。そして、ミスをしたときにはそれを認め、同じようなミスが起きないようにするための行動をとるように努めています。

Q:
あなたは「AIソフトウェア開発ツールは、私たちが毎日使っている話し言葉をコンピュータが理解できる言語に翻訳し、ソフトウェアを構築できるようにするものだ」と言いました。この機能が近い将来(1~2年後)にどのようなアプリケーションを生み出すのか、最も期待していることは何ですか?

スコット氏:
私はこれらの機能によってもたらされると思われるいくつかの事柄にとても興奮しています。私たちはソフトウェア開発の概念を覆そうとしています。エイダ・ラブレスが世界初のプログラムを書いて以来、プログラミングは問題に対する人間の考えを機械が解決できるような形に変換する方法を見いだす訓練のようなものでした。しかし、Open AIの「Codex」のようなものがあれば、プログラミングはより自然な形になると思います。アプリに何をさせたいかを自然言語で表現し、モデルが出力するものを改良して、問題を解決するものができるまで、繰り返し記述することができるのです。

これは次の3つのことを意味すると思います。1つ目に、GitHub Copilotが示すように、プログラマーとしてより生産的になれるということ。2つ目に、プログラミングがより多くの人にとって身近なものになり、より多様な人々が、より大きな、より広い範囲の問題を解決できるようになるかもしれないということ。そして3つ目に、今まで複雑すぎて他の方法では解決できなかった多くの問題を解決できるようになる可能性もあるということです。

Q:
AIがソフトウェアエンジニアの仕事を奪う可能性についてどう思いますか?

スコット氏:
AIがエンジニアの仕事を奪わないことを望んでいます。ソフトウェアエンジニアリングは大変な仕事です。ソフトウェアの歴史の中で、私たちプログラマーが仕事の複雑さに対処するために、新しい抽象化、ツール、技術を生み出すことに絶えず取り組んできたと私は考えています。開発者向けのAIツールはこの進歩の1つのステップに過ぎないと考えており、私たち全員にとって、より難しく、より複雑な問題に取り組むことができるようになることを意味しています。将来的にソフトウェアが果たす役割を考えると、超強力なAIが登場したとしても、私たち人間が解決できないような問題を抱え続けるだろうと思います。


Q:
ソフトウェア企業のCTOって何してるの?

スコット氏:
私はほとんどの時間を会社の大きなエンジニアリング部門のいずれにも属さない、技術的なことに費やしています。AIはその良い例です。AIは私たちがソフトウェアを構築する際の考え方やMicrosoftのすべてのグループが考えていること、あるいは考えるべきこととして至るところに存在するようになり、私が多くの時間を割く分野の1つとなりました。また、MicrosoftのチームやMicrosoft以外のチームを助けるための、技術プラットフォームに関するあらゆることにも時間をかけています。

Q:
なぜWindows 11が出てきたのでしょう。Windows 10で十分では?

スコット氏:
私たちは常にPC体験をより良いものにしようと考え、さまざまな方法でこれを実現しようとしています。Windows 365 Cloud PCのような方法もその1つです。これは何らかの理由で自分のWindowsパソコンを管理したくない場合、私たちがクラウド上でWindowsパソコンを運用することができるというものです。また、Windows 10のように、定期的なアップデートを行うことでより良い体験を提供できるように努めています。その上で、定期的なアップデートが困難なほど大きな変更が積み重なった場合は、新しいバージョンのオペレーティングシステムを作成し、ユーザーにアップデートする機会を提供します。私たちは変更を加えるたびに人々が何を好み、何を好まないかを学び、その学びを将来の製品改良に生かそうと努めています。

Q:
ソフトウェア開発を学習する人々にどのようなアドバイスをしますか?人々はどのようにして絶えず変化する技術に追いつくのでしょうか?

スコット氏:
私のキャリア、というより人生全般に最もプラスになったことは、好奇心を持ち続けること、そしてその好奇心に甘えてできる限り多くを学びにいくことです。あなたは何歳ですか?私は今50歳で、12歳からプログラミングをしています。プログラミングに関するあらゆることは、その間常に変化し続けていますし、これからもどんどん変化していくと思います。

エンジニアの仕事のひとつは、常に新しいことを学ぶ許可を自分に与え、そのための時間を確保することです。そのためには、良い学習源を見つけることが重要です。私はいつも周りの人から学ぼうとしていますが、質問や助言を求めるときに臆病になったり居心地の悪さを感じたりすることがあります。ただ、自分の知らないことを知っている人は必ずいますし、自分の知識や知恵を他の人と共有することに信じられないほど寛大である人もよくいます。オープンソースコミュニティは読むべき良いコードでいっぱいです。そして最後に、自分が興味のある開発の部分に関する記事や論文をできるだけたくさん読むことです。私は、旅行や休暇に行くとき用の読み物をどっさりと用意しています。新しいことを学ぶことは、私がリラックスできる方法のひとつです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Microsoftが世界トップクラスの言語モデル「GPT-3」の独占的ライセンスを取得 - GIGAZINE

Microsoftが文章生成AI「GPT-3」をビジネスアプリ作成ツールに統合すると発表、文章形式でアプリ作成が可能に - GIGAZINE

Appleの音声アシスタント「Siri」開発責任者がMicrosoftのAI部門へ移籍 - GIGAZINE

AIベンチャー・OpenAIの「GPT-3」がウェイトリストなしで誰でも利用可能に - GIGAZINE

in Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.