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「Destiny 2」の開発元が著作権侵害通知を悪用する荒らしを特定し数億円規模の訴訟を起こす


基本プレイ無料のアクションMMO「Destiny 2」の開発元であるBungieは、コンテンツクリエイターが投稿するDestiny 2関連動画に対して無差別に行われる大量の著作権侵害通知(DMCA通知)に悩まされていました。Bungieはこの虚偽のDMCA通知を送信していた人物を特定し、10億円規模の損害賠償を求めています。

Digital Trails: How Bungie Identified a Mass Sender of Fake DMCA Notices * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/digital-trails-how-bungie-identified-a-mass-sender-of-fake-dmca-notices-220624/

2022年初頭、YouTubeに投稿されているDestiny 2関連動画に対して著作権を侵害していることを指摘する「DMCA通知」を送信する何者かが現れ、Destiny 2のファンコミュニティは混乱に陥りました。これにより、DMCA通知を受け取った動画はYouTube上から削除される羽目に。


BungieはユーザーがDestiny 2関連のコンテンツをYouTube上にアップロードすることを許可しているため、ユーザー間では「Bungieが何かしらの理由でコンテンツ削除に走らなければいけなくなったのでは」という声も上がっていたそうです。しかし、Bungieは独自の調査を行った結果、DMCA通知はすべて虚偽のもの、つまりは嫌がらせであったことを特定します。

その後、2022年3月下旬に入ってBungieはワシントンの裁判所で訴訟を起こすという異例の措置を取りました。この結果、2つのGmailアカウントがBungieの著作権侵害対策パートナーであるCSCになりすましていたことが判明します。この2つのGmailアカウントは偽のDMCA通知をYouTubeに送信するために使用されていた模様。Bungieは訴訟の中で、偽のDMCA通知に関する損害賠償に加えて、著作権侵害、事業の名誉毀損、契約違反、消費者保護法違反などに関する追加の請求も行っています。

しかし、犯人の身元が不明であったためこの訴訟の進展はほとんどありませんでした。そんな状況の中、2022年6月第4週にBungieが裁判所に提出した修正訴状では、ついに被告人の名前が挙げられています。この中で、BungieはどのようにしてDMCA通知を悪用した人物を特定したのかについても説明しています。


Bungieは当初、Googleに偽のDMCA通知を送信する人物の情報を提出するよう求めていましたが、Googleは「Bungieの著作権を侵害している人物」に関する情報は提供するとしながらも、虚偽である可能性のあるDMCA通知を送信してくるユーザーの情報については提供を拒否してきたそうです。

しかし、Googleは2022年6月10日になってついに偽のDMCA通知を送信してきた2つのGmailアカウントに関する「重要な情報」をBungie側に提出しています。GoogleがBungieに提供したのは、2つのアカウントを介して送信されたDMCA通知のリスト、アカウント間で行われたすべての通信内容のコピー、アカウントにアクセスするために使用されたIPアドレスのログなどです。

この情報から、Bungieは2つのGmailアカウントがアメリカ・カリフォルニア州ロックリンの住宅用にインターネットサービスを提供しているインターネットサービスプロバイダーのConsolidated Communicationsを利用していたことを特定。さらに、3月22日付けのログから「片方のGmailアカウントからユーザーがログアウトした1秒後にもう片方のアカウントにユーザーがログインしていたこと」を特定し、2つのアカウントが同一人物により運用されているのではと推測しています。

また、Googleから提供されたIPアドレス情報は、Bungieの著作権侵害対策ベンダーであるCSCに不正なメールを送信するためにも使用されていたことが明らかになっています。加えて、虚偽のDMCA通知を送信していたGmailアカウントのひとつは、パッケージ版の「Destiny 2:漆黒の女王」を購入していたことも判明。このパッケージ版はロックリンのとある住所に配送されていたそうです。このパッケージ版にはボーナスのダウンロードリンクが付属しており、このリンクは購入者宛てにメールで送信されます。このリンクをクリックした受信者のIPアドレスが、虚偽のDMCA通知を送信したユーザーのIPアドレスと合致していた模様。なお、このリンクをクリックしたのは「[email protected]」という別のGmailアカウントでした。


これとは別に、「Lord Nazo」というYouTuberがCSCからDMCA通知を受け、自身の投稿した動画を削除されるという事態が発生します。これに激怒したLord Nazoは、「自身の動画はフェアユースの範囲内である」と主張。このLord Nazoによる異議申し立てには「[email protected]」というメールアドレスが含まれており、住所はカリフォルニア州ロックリンと記載されていました。さらに、本名として「Nick Minor」と記されていたそうです。

このLord Nazoは、2021年12月にCSCからDMCA通知を受けていたアカウントであることが判明。さらに、Lord NazoがDMCA通知を受けた動画を削除した2022年1月25日に、虚偽のDMCA通知を送信するのに使われたGmailアカウントのひとつが作成されていたことも明らかになります。一連の情報からNick Minor氏が虚偽のDMCA通知を行っていた人物であるとBungieは断定し、同氏を修正訴状の被告人としています。

2022年3月に入ってBungieが偽のDMCA通知を行った人物に対して訴訟を提起したというニュースが報じられた後、Nick Minor氏はVPNを使ってGmailアカウントにアクセスするようになったそうで、まさに時すでに遅しだった模様。

なお、Bungieは訴訟の中でNick Minor氏に少なくとも765万ドル(約10億円)の損害賠償を求めています。

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in ゲーム, Posted by logu_ii

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