ハードウェア

電気で音波をコントロールして「0と1」を表現できるチップが開発される


ハーバード大学の研究チームが「チップ上の音波の振幅や周波数を電気で制御する技術」を開発しました。この技術が発展することによって、従来のコンピューターと量子コンピューター双方の進歩に寄与する可能性が期待されています。

Electrical Control of Surface Acoustic Waves
https://doi.org/10.48550/arXiv.2101.01626


Tuning sound waves on chip
https://www.seas.harvard.edu/news/2022/06/tuning-sound-waves-chip

一般的なコンピューターでは電気の流れ方をコントロールして高電圧・低電圧を生み出し、どちらかを「0」もしくは「1」とすることで計算を実行しています。この「電気」の部分を「音波」に置き換えることを目指したハーバード大学の研究チームは、電流を流すことで弾性が変化する物質「ニオブ酸リチウム」を用いてチップを作成しました。これにより、電気的制御によってチップ上の音波の振幅・周波数・位相を調節できるようになったとのこと。


音の進む速さは電気と比べて圧倒的に遅いですが、研究チームによると音波には「ナノスケールの構造に閉じ込めやすく、互いに干渉しにくく、閉鎖的なシステムと強い相互作用を持つ」という利点があるとのこと。このため従来のコンピューターと量子コンピューターの双方で音波を用いたチップが有用に働くことが期待されています。また、研究チームの一員であるLinbo Shao氏は「これまでの音波を用いたシステムは受動的なものでしたが、今回の研究の成果によって能動的な制御が可能となりました。このような制御可能な音波システムはマイクロ波信号処理の開発において多様な機能の実現に寄与します」と述べています。

研究チームは今後も音波を用いたチップの開発に取り組み、複雑で大規模なチップの開発や量子コンピューターとの相互接続システムの構築を目指すと述べています。また、ハーバード大学の技術開発局は音波チップの商業化に取り組むとのことです。

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in ハードウェア, Posted by log1o_hf

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