最高の気候変動対策は「植物由来の肉」とのレポート、投資効率はなんとゼロエミッション車の11倍


「気候変動対策への投資」と言うと、ソーラーパネルや風力発電といった再生可能エネルギーの開発に関する技術や、二酸化炭素を排出しない核融合発電などの最先端技術を思い浮かべる人は多いはず。新たに発表された調査報告により、動物由来の素材を使わずに生産された代替肉への投資が、他の分野のテクノロジーへの投資に比べて圧倒的に効果的であることが示されました。

Food for Thought: The Untapped Climate Opportunity in Alternative Proteins | BCG
https://www.bcg.com/publications/2022/combating-climate-crisis-with-alternative-protein

Plant-based meat by far the best climate investment, report finds | Food | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2022/jul/07/plant-based-meat-by-far-the-best-climate-investment-report-finds

Plant-based meat by far the best climate investment, report finds
https://www.tech-paper.com/2022/07/plant-based-meat-by-far-best-climate.html

食肉の生産は二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを大量に発生させることから、家畜の肉を代替肉に切り替えることで二酸化炭素排出量を80%削減できると言われており、環境意識の高まりを受けてバーガーキングマクドナルドが次々と植物由来の肉を使った製品の販売に乗り出しています。

食肉を培養肉や合成肉に切り替えると二酸化炭素排出量を80%削減できる - GIGAZINE


コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は2022年7月8日に発表したレポートの中で、こうした食肉や乳製品の代替製品への投資額1ドル当たりの温室効果ガス削減量は、リサイクルされた産業廃棄物などからセメントを作るグリーンセメント技術の3倍、省エネを念頭に置いて建設されるグリーンビルの7倍、EV車などのゼロエミッション車の11倍に達すると報告しました。


この差は、従来の肉や乳製品の生産と植物の生育とでは温室効果ガスの排出量が大きく異なることに由来しています。例えば、豆腐と比較すると牛肉は6~30倍もの温室効果ガスを出しているとのこと。

こうした点から、BCGのパートナー兼アソシエートディレクターのMalte Clausen氏は、「私たちは代替タンパク質を『未開拓の気候チャンス』と呼んでいます。急速に発展しつつあるにもかかわらず、電気自動車や風力発電、ソーラーパネルのような投資が行われていないからです。自分の投資が及ぼす影響を気にかけている投資家にとって、この分野は絶対に外せないところでしょう」と話しました。

代替肉はメーカーや投資家だけでなく、消費者からも支持されています。BCGによると、発酵食品や培養した細胞などから作られた肉も含めた代替タンパク質への支出は、2019年の10億ドル(約1360億円)から2021年には50億ドル(約6830億円)に増加したと推定されているとのこと。さらに、全タンパク質消費量に対する代替製品の割合も2020年の2%から2035年までに11%へと成長すると見積もられているほか、規制当局や投資家の支援があれば22%に達すると予想されています。


また、環境意識の高まりにより航空機の利用を控える「フライトシェイム」という言葉が生まれていますが、飛行機の利用を減らしたり住宅を環境に優しいものに改修したりといった気候変動対策は生活や家計にとって大きな負担となります。こうした解決策に比べると、代替タンパク質への切り替えは経済的なトレードオフが少なくて済むのも特徴だと、BCGは指摘しました。事実、代替タンパク質を食卓に取り入れている消費者の30%が、「気候変動にプラスなのが主な理由」と答えているとのこと。

Clausen氏は、「植物由来の肉への切り替えは、食糧危機の緩和にも役立ちます。作物を人間が直接食べるので、牛や豚や鶏といったいわば『中間業者』を排除することにつながり、全体として必要な作物の量が少なくなるからです」と話しました。

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in サイエンス,   , Posted by log1l_ks

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