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専門家と自信満々の素人を見分けるための5つのポイント


2019年に人類が初めて遭遇した感染症である新型コロナウイルス感染症のパンデミックでは、医療や疫学の専門家がさまざまな事実を考慮した上で「分からない」と結論したかと思えば、専門家でもないコメンテーターが物知り顔で間違った知識を披露する様子がよく見られました。このように、さまざまな人が発信する情報に触れる機会が増える中で重要な「専門家と自信満々で話しているだけの人を見分ける方法」を、本物の専門家が解説しています。

Five ways to tell if someone is an expert, or just confident – from an actual expert
https://theconversation.com/five-ways-to-tell-if-someone-is-an-expert-or-just-confident-from-an-actual-expert-188244

人間が自分の知識や自信をどのように表現するのかについて、20年以上にわたって研究してきたというイギリス・バンガー大学の言語学者のソーラ・テンブリンク氏によると、専門知識を表現する方法は自信を表現する方法と非常によく似ているとのこと。そのため、専門的な知識を持ってなくても、確信に満ちた言葉を発することは比較的容易なのだそうです。


そこでテンブリンク氏は、「デマが広がりやすい世の中では、本物の専門知識が重要になります」と述べて、専門家とそうでない人の言葉を吟味する上で重要なポイントを、次の5つにまとめました。

◆1:その人の来歴は専門的か?
アカデミックな世界では、その人がどれくらい専門知識を持っているのかはこれまでの実績や経歴などの客観的な尺度で特定することができるとのこと。こうした専門家と初心者の違いは、複雑な事実の認識と分類がしっかりできるかどうかや、記憶力の差となって現れてきます。

もちろん、目の前で話している人が意外な場所で専門的な知識を身につけてきた可能性もありますが、その人の来歴とその人が語っている専門知識との間に関連性がない場合、よく知りもしない話題について得意になっているだけであることがほとんどです。そのため、日常生活においても、その人の背景を知ることがその人の発言を正しく受け止める上で役に立つと、テンブリンク氏はアドバイスしました。


◆2:その人は聞き上手か?
人にはそれぞれのコミュニケーションスタイルがあり、積極的に話して会話を支配しようとする人もいれば、相手の話をよく聞いて十分な根拠がある場合のみ意見や見解を述べる人もいます。

どのようなスタイルでコミュニケーションを取るかは専門家にとって重要で、例えば医療現場では話すことより聞くことを優先する方が、医師と看護師の連携が向上し、患者への質の高いヘルスケアにつながるとのこと。


こうした点からテンブリンク氏は、「時には静かに耳を傾けることも大切です。そういう人は、ひっきりなしにまくし立てる人よりも多くの価値をもたらしてくれるかもしれません」と述べました。

◆3:その人は深く掘り下げているか?
テンブリンク氏は、「極論を言うのは簡単です。専門家は詳細な情報を持っていてそれを提供することもできますが、知識が浅い人は表面的なレベルにとどまらざるを得ません」と述べて、専門家は物事について踏み込んだ話をすることができると指摘しました。


浅薄な知識しか持たない人は、しばしば詳細な説明ができないまま同じメッセージを繰り返します。ここで問題となるのが、人間は同じことを繰り返し聞くと、そのうちそれを信じてしまう傾向にあるということです。

新型コロナウイルス感染症に関するフェイクニュースをテーマにした2021年の研究でも、よく知られている情報を繰り返した場合より、未知の情報を繰り返した場合の方が人々はその情報を信じやすいことが確認されました。これにより、パンデミックに関する正確な情報よりも偽情報を繰り返した方がはるかに大きな影響を及ぼすという、両者の非対称性が示されたと研究者は述べています。

◆4:それは断言してもいいことなのか?
自分の目で見ていないことや科学的な実験で再現できないこと、過去や未来の出来事にはある程度の不確実性が伴います。専門家は確実性には限界があることを十分に認識しているので、必要に応じて「~かもしれない」や「~の可能性がある」といった言葉を使って、不確実だということを表現します。

この時、「それはよく分かっていません」と「私はよく分かっていません」の間にある決定的な違いに注意が必要だと、テンブリンク氏は強調しています。なぜなら、専門家はある事柄について分かっていることは知り尽くしているのに対して、素人は入手可能な事実を知らないだけだからです。


◆5:柔軟な情報提供かできるか?
テンブリンク氏は専門家と素人の違いについて、「道順を熟知している人とGoogleマップの自動ルート案内」を例にとって説明しました。ある道のりについて知り尽くしている人は、迷いやすいところは詳細に教えたり、逆に教わる人が既に知っている道のことは省略したりできますが、ナビゲーションアプリにはそれができません。

同様に、真の専門家は自分の専門分野についての概念や専門用語を柔軟かつ簡単に使いこなしたり、聞き手のニーズに合わせて対応を変えたりできますが、専門家でない人にはそれができないとのことです。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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