セキュリティ

徴兵逃れをしたいロシア人男性がサイバー犯罪ビジネスのカモになりまくっている


ウクライナに侵攻するも激しい抵抗により戦争が長引いているロシアは2022年9月に、予備役の市民を対象とした部分的な動員を発表しました。2022年8月の時点でロシア側の死傷者数が7万~8万人に達しているとされる過酷な戦場に行くのを免れたいロシアの人々が、偽の懲役免除書類を発行するとうたうサイバー犯罪サービスの被害に遭ったり、技術を駆使して徴兵をすり抜けようと当局との間でいたちごっこを繰り広げたりしていると報じられています。

Сбербанк предупредил о мошенничестве с продажей якобы "белых" военников - РИА Новости, 26.09.2022
https://ria.ru/20220926/voennik-1819522959.html

И сим отечества – Газета Коммерсантъ № 180 (7381) от 29.09.2022
https://www.kommersant.ru/doc/5583320

Russians dodging mobilization behind flourishing scam market
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/russians-dodging-mobilization-behind-flourishing-scam-market/

ウクライナ戦争が始まって以来、ロシアからはIT技術者など知識層の人々が我先にと国外へと脱出していましたが、動員が始まったことで周辺国への逃亡も本格化しており、その様子は「ロシアはおそらく、他国から侵略されたからではなく、他国を侵略したために国民が逃げ出すことになった最初の国でしょう」と評されています。

Probably the first country where people flee not because someone invaded their country but because they invaded other country.#RussiaInvadedUkraine #Russians #RussianMobilization pic.twitter.com/Wd5YkxJjcc

— Jaanika Merilo (@jaanikamerilo)


こうした中、ロシアでは多くの男性が入隊免除の偽造を行う違法なルートを使用したり、身元を偽装するツールを利用して近隣地域へ逃亡したりしています。これについてIT系ニュースサイトのBleepingComputerは、「不正なサービスの売り手にとっては大変に有利な環境が作り出されており、パニックに陥った人々から搾取したい詐欺師にとって絶好の書き入れ時となっています」と指摘しました。


ロシアの通信社であるRIAノーボスチの報道によると、詐欺グループは「兵役不適格証明書を作成し、48時間以内に地域の入隊事務所のデータベースを更新して徴兵担当者が顧客を検索できないようにする」として、パスポートの写しと2万7000ルーブル(約6万7000円)を要求しているとのこと。しかし、実際には金を払った途端に連絡が途絶えて、個人情報がダークウェブで売り払われたり別の詐欺に使われたりすることが多いそうです。

また、サイバーインテリジェンス企業のKELAも、ダークウェブ上で偽の文書作成サービスを提供するとしているサイバー犯罪フォーラムの投稿を多数発見したと報告しました。KELAが共有した投稿のスクリーンショットでは、「HIVや肝炎の感染証明書」「徴兵が延期される職業探し」「ロシアからの出国支援」などが宣伝されています。

New services appeared on cybercrime forums, following #Russia’s military #draft. Users can:
- Check if they are banned from crossing the border
- Buy a certificate about having HIV, hepatitis, etc.
- Find a job enabling to postpone the draft
- Find assistance in leaving Russia pic.twitter.com/YcHtEbsBZy

— KELA (@Intel_by_KELA)


ロシアでは、違法なサイバー犯罪サービスだけでなく「灰色のSIMカード」と呼ばれる、本人確認や通信事業社との契約が不要なSIMカードの需要も急増しています。これは、国の徴兵官がSIMカードを頼りに徴兵できそうな若者を追跡し、国境で待ち構えている可能性があるのが理由とのこと。

足が付かないSIMカードが出回るようになったことで、ロシアの国境警備隊はSIMカードではなく端末固有の識別子であるIMEIを使った追跡に切り替えていますが、IMEIを違法に書き換える専用ツールも登場するなど、IT技術を駆使してロシアから逃げだそうとしている若者と徴兵官の知恵比べはいたちごっこの様相を呈しています。

こうした点から、ロシアのデジタル権利保護団体・Roskomsvobodaはロシアからの逃亡者に対し、国境では使い捨ての予備端末を提示し、出国できたらすぐに新しい端末を購入することを推奨しました。

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in ネットサービス,   セキュリティ, Posted by log1l_ks

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