イーロン・マスクが「やっぱりTwitterを買収する」との意向を示す

by Steve Jurvetson

一度はTwitterの買収を提案しながらも翻意して買収を取りやめると発表したイーロン・マスク氏が、再び買収する方針を示したことが分かりました。背景にはTwitterとの裁判で敗色が濃厚になったことから、敗訴を避けたいとの思惑があったと指摘されています。

Elon Musk tells Twitter he’ll buy it — if Twitter drops its lawsuit - The Verge
https://www.theverge.com/2022/10/4/23387320/elon-musk-twitter-offer-buy-again

Elon Musk Revives $44 Billion Twitter Bid, Aiming to Avoid Trial (TWTR) - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2022-10-04/musk-proposes-to-proceed-with-twitter-deal-at-54-20-a-share

Elon Musk offers to proceed with Twitter deal
https://www.axios.com/2022/10/04/elon-musk-twitter-settlement

マスク氏は2022年4月に、Twitterに対して普通株式1株につき54.2ドル(約7700円)での買収を提案し、Twitterがこれに応じたことで買収契約が締結されました。しかし、マスク氏は7月になって、Twitterのボットアカウントが同社の開示資料より多いとの疑惑を理由に、買収を取りやめることを発表しました。

自ら提案した買収案を撤回したマスク氏に対し、Twitterは買収契約の履行を求める裁判を起こしています。

Twitterがイーロン・マスクを提訴、買収する約束を果たせと迫る - GIGAZINE

マスク氏対Twitter裁判の審理が予定されている10月17日が迫る中、マスク氏の弁護士からTwitterの法務チームに向けて、当初の予定通り買収を実施するとの書簡が送られていたことが分かりました。2022年10月3日付の書簡には、「訴訟を即時停止することを条件に、当初の提案内容の通り1株当たり54.2ドルでTwitterの買収を進める」との申し出が書かれています。

Twitterは投資家向けアカウントで、マスク氏側から書簡を受け取ったことを明らかにした上で、「当社は1株当たり54.2ドルで取引を完了させる予定です」と述べて、提案に応じる姿勢を示しました。これにより、当初から計画されていた440億ドル(約6兆3300億円)規模の買収が実現する公算が高まりました。

マスク氏が一転してTwitterを買収することを決めたのは、Twitterとの法廷闘争が不利な展開に陥ったからだと報じられています。アメリカ・テュレーン大学のビジネス法学教授であるアン・リプトン氏は「ひとつ驚くべきなのは、マスク氏が取引価格を1ドルも引き下げることができなかったということです」と述べて、裁判におけるTwitterの立場は強かったとの見方を示しました。

また、コロンビア大学の法学教授であるエリック・タリー氏は、もしマスク氏が裁判所から買収を命じられていた場合、マスク氏は利息を支払わなければならない可能性が高かったことを指摘しています。

マスク氏は10月4日のツイートで、「Twitterの買収でエブリシングアプリ『Ｘ』の開発が加速する」とコメントしました。同氏は別の投稿で「Twitterはおそらく『Ｘ』を3～5年早めるでしょう」とも述べており、ロイターはこの「X」の意味について「新アプリ開発を示唆」していると報じています。また、マスク氏がTwitterに送った書簡にも、当事者名として「X Holdings」という持ち株会社の社名が言及されています。