「ヴィーガンや菜食主義者は肉を食べる人より健康で長生き?」を栄養の専門家が解説


肉や乳製品の生産には多くの温室効果ガスの排出が伴うことなどから、気候変動の観点から菜食主義への注目が集まっていますが、健康やダイエットを理由に野菜中心の食生活を取り入れる人もいます。そんな野菜中心の食事が寿命にもたらす影響についてこれまで分かっている研究結果や、菜食主義を食生活に採用するかどうか検討している人にとって重要な情報を、栄養学の専門家がまとめました。

Do vegans live longer than meat-eaters? | Live Science
https://www.livescience.com/do-vegans-live-longer

アメリカの医療機関が組織するネットワーク・ChristianaCareの登録栄養士でプログラムマネージャーのブルック・ジェイコブ氏は、「ヴィーガン食は心臓病、2型糖尿病、一部のがん、肥満に関する複数の慢性的な健康問題のリスク低減に関連しています。このように、ヴィーガン食を続けることは慢性疾患の発生を抑制することにつながるため、ヴィーガンの方が長生きするという可能性があるのは驚くべきことではありません。しかし、ヴィーガンがヴィーガンではない人より長生きすると結論付けるには、もっと多くの研究が必要です」と話しました。

これまでの研究では、野菜中心の食事は健康や寿命にポジティブな影響を与えることが示唆されています。例えば、査読付の医学誌・JAMA Internal Medicine Journalで2014年に発表された論文によると、ベジタリアンの食事をしている人は全体的な死亡リスクが9%低く、心臓病やがん、腎臓病などのリスクも非菜食主義者より低かったとのこと。その一方で、また別の研究では「菜食主義者は特定の慢性疾患の発症率が低いものの、それが死亡率に影響を与えるかどうかには結論が出ていない」としています。


はっきりとした証明はされていないものの、「野菜中心の食事をしている人の方が慢性疾患の発症率や死亡リスクが低い」という研究結果が報告されているのは確かです。その背景には、そもそも菜食主義を取り入れる人は健康志向であることが多いため、菜食主義だけでなくほかの健康的な生活習慣を実践している可能性があると考えられています。菜食主義以外に健康に影響を与える習慣として代表的なものとしては、加工食品を控えること、運動をよくすること、水分を十分にとることといったものが挙げられます。

このように健康や病気、寿命には食事以外にも非常に多くの要素が関係してくるため、肉を食べるかどうかの長期的な影響を証明するにはもっと多くの研究が必要だというのが専門家の見解です。例えば、タンパク質の必要性をめぐる議論でも、肉を食べる人は菜食主義者よりも精神的に健康だという研究結果もあれば、必須アミノ酸の摂取を制限することで肥満などのリスクを下げることができるという研究もあります。

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こうした数々の研究が発表される中でも共通しているのが、さまざまな栄養をバランスよく適度に摂取することの重要性です。このことからジェイコブ氏は、健康面から野菜中心の食生活を検討している人に向けて「全ての食事療法に言えることですが、摂取する食品のバリエーションを増やすのが大切です。野菜、果物、全粒穀物、豆類、ナッツ類など、多様な食材を使ったビーガン食は最適な栄養状態を保つのに役立ちます。また、食事に適切なサプリメントを足すことを検討し、食べない食品に応じて鉄分、カルシウム、ビタミンB12、ビタミンDなどの必要量を満たすようにすることも賢い選択です」とアドバイスしました。

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in , Posted by log1l_ks

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