発酵食品や食物繊維を多めに食べ続けるとストレスが減少するという研究結果


人間の腸内に存在するマイクロバイオームを健全に保つことで、体重の増加や病気、うつ病などの発症を抑制する効果があるという研究結果がこれまでに数多く報告されています。新たな研究により、発酵食品や食物繊維などの「腸に良い食べ物」を食べることは、人間のストレスレベルを下げる効果があることが分かりました。

Feed your microbes to deal with stress: a psychobiotic diet impacts microbial stability and perceived stress in a healthy adult population | Molecular Psychiatry
https://doi.org/10.1038/s41380-022-01817-y

Fermented foods and fibre may lower stress levels – new study
https://theconversation.com/fermented-foods-and-fibre-may-lower-stress-levels-new-study-193238

腸内細菌叢(そう)とも呼ばれることがあるマイクロバイオームは、人間のストレスレベルと大きく関係していることが過去の研究で指摘されています。しかし、マイクロバイオームを変化させる直接の原因である「食事」を変えることがストレスレベルの変化につながるかどうかは、これまで明らかではありませんでした。


そこで、アイルランドの解剖学・神経科学者であるジョン・クライアン氏らは「食事」に焦点を当て、被験者の食生活を変えてストレスレベルを測る実験を行いました。

クライアン氏らは18歳から59歳までの不健康な食事をとりがちな被験者45人を集めて2つのグループに分け、片方には栄養士が考案した料理を食に取り入れるよう指示し、食品についての教育を行い、できる限り徹底した食事管理を行いました。もう片方にはアイルランド政府が推奨する「健康的な食事」をとるよう指示したものの、食に関する情報は最小限しか伝えませんでした。以下がアイルランド政府が推奨する食事群です。


栄養士が考案した料理は、健康を改善する難消化性食品成分「プレバイオティクス」や発酵食品の量が多くなるように作られています。例えばタマネギやネギ、キャベツ、リンゴ、バナナといった野菜や果物、ケフィア、コンブチャといった発酵食品が推奨されており、これにより心の健康が改善することが期待されていました。一方で政府が推奨する食事は野菜や穀物などが推奨されてはいたものの、被験者はある程度自由に選んで食事を採ることができました。

実験の結果、プレバイオティクスなどの食事を4週間続けたグループは、対照群に比べてストレスを感じにくかったと報告していたとのこと。また、睡眠の質はどちらのグループでも改善されたものの、プレバイオティクス食品を摂取している人の方が改善幅が大きかったと報告されたそうです。

クライアン氏は「プレバイオティクス食品はマイクロバイオームの組成と機能に微妙な変化をもたらすだけでしたが、これらの腸内細菌が産生する特定の化学物質のレベルには著しい変化が観察されました。これらの化学物質の中には、精神的な健康と関連するものがあり、食事療法を行った参加者がストレスを感じにくくなったと報告した理由を説明できる可能性があります。今度特にストレスを感じたときは、ランチやディナーに何を食べるか、もっと慎重に考えたほうがいいかもしれません。食物繊維や発酵食品を多く取り入れることで、ストレスが少し軽減されるかもしれません」と述べました。

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