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ワールドカップで中国の国営放送局が観客席をアップで映さない理由とは?


オーストラリアの公共放送局であるオーストラリア放送協会(ABC)の東アジア特派員であるビル・バートルズ氏が、「中国の国営放送ではワールドカップで観客席が映されていない」と指摘しています。

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バートルズ氏は「中国の国営放送ではワールドカップで観客席が映されていない」というツイートを見かけ、初めはこれが冗談だと思っていたそうですが、オーストラリアの公共放送局であるSBSと、中国の国営放送局である中国中央電視台(CCTV)のスポーツ専門チャンネル・CCTV-5のライブ配信を同時にチェックしたところ、CCTV-5の配信では意図的に観客席が映されていないことを確認しています。

So I thought it was BS that China’s govt broadcaster was censoring shots of fans at the World Cup due to lockdown anger back home. But it’s true.
Here are live feeds from SBS & CCTV (which has a 32 second delay). As ⁦@DreyerChina⁩ explained, CCTV avoids crowd close ups: pic.twitter.com/wWui0cTdkC

— Bill Birtles (@billbirtles)


右側のMacBookで再生されているのがSBSのライブ配信で、映像の右上にあるSBSのロゴからもこれがわかります。視聴しているのは2022年11月28日に行われたFIFAワールドカップカタール2022のグループF・クロアチア対カナダの一戦。クロアチアがカナダに1点先制された前半35分頃の映像です。


クロアチアの背番号9番であるアンドレイ・クラマリッチ選手が同点ゴールを決めます。


同点ゴールの喜びを全身で表現。


その後、歓喜に沸く観客席のクロアチアサポーターが映し出されます。日本のワールドカップの放送でも観客席のサポーターが映し出されているシーンに見覚えがあるという人は多いはず。


一方、左側に置かれたMacBookでは中国のCCTV-5のライブ配信を視聴しており、映像の左上にCCTV-5のロゴがバッチリ見えます。映像はクロアチアの同点ゴールが入る直前からスタート。


同点ゴール


再びクラマリッチ選手のゴールセレブレーション


その後、クロアチア代表のズラトコ・ダリッチ監督が映されました。


さらに、ピッチ上のクロアチア代表選手が喜ぶシーンに切り替わります。


しかし、観客席のアップが映されることなくゴールのリプレイ映像に移行してしまいました。


SBSの方はゴールシーンのリプレイ映像途中で観客席が映し出されます。


一方、CCTV-5の方はいろんな角度からのリプレイ映像が流れるのみ。


その後もピッチ上の選手や監督を映すのみで、観客席が映し出されることはありませんでした。


以下は同じクロアチア対カナダの試合の、カナダの先制ゴールシーンをSBSとCCTV-5で比較した動画。SBSは観客席を映していますが、CCTV-5はほとんど観客席を映していません。しかし、動画の1分31秒あたりでカメラのスイッチミスなのか一瞬だけカナダのサポーターが歓喜に沸く観客席が映され、1秒ほどで別アングルの映像に切り替えられるシーンを確認できます。

Here’s the Canadian goal from the same match. The int’l feed everyone else gets shows fans close up. CCTV switches out those shots with feeds of coaches or wide shots. Watched 2 games - very obvious. It’s imperfect though - one cheering fans shot snuck through in the replay: pic.twitter.com/yo7oVUJ2nU

— Bill Birtles (@billbirtles)


バートルズ氏は「中国の国営放送局であるCCTVは『観客席のクローズアップを検閲しているわけではありません。なぜなら、いくつかの観客席のアップ映像が放送されてしまっており、CCTVは別のカメラの映像を選択しているだけだからです』といつも通りの主張をするでしょうが、それは非常に明確です。北京にいる友人は『特に変わったことはない』と言っていたけれど……」とツイートしています。

So the usual suspects will claim that China’s govt TV CCTV isn’t censoring crowd close ups because a few shots do get through… or they choose to use different shots ????… but it is very clear. Although a mate in Beijing told me he hadn’t noticed anything unusual ???? pic.twitter.com/IGVfqXwjo0

— Bill Birtles (@billbirtles)


「中国の国営放送ではワールドカップで観客席が映されていない」ことを最初に指摘したのは、中国のスポーツ組織の内部関係者であるというマーク・ドレイヤー氏。ドレイヤー氏は「これは素晴らしいです。中国のファンがカタールでマスクを外しているワールドカップの観客を見て反発を示したため、中国のテレビでは現在試合の観客席を映さず、選手や監督を映しています」とツイートし、CCTVが観客席を映していないのは「中国で実施されているロックダウンに対する反発が強まるため」と説明しています。

This is amazing. Due to the backlash from Chinese fans seeing unmasked crowds in Qatar, Chinese TV is now replacing live crowds shots during games and instead cutting to close-ups of players and coaches. pic.twitter.com/vg0qozUawc

— Mark Dreyer (@DreyerChina)


なお、国際サッカー連盟(FIFA)や、ワールドカップの全試合を生中継しているAbemaが公開しているクロアチア対カナダのハイライト映像は、以下からチェック可能。どちらのハイライト映像でも、観客席をアップで映したシーンがバッチリ確認できます。

クロアチア - カナダ|グループF |2022 FIFAワールドカップ カタール|ハイライト (実況なし)
https://www.fifa.com/fifaplus/ja/watch/BUK0ARozq0AHSKgStt7Xt

FIFAワールドカップカタール2022 - グループステージ 第2戦 - 一瞬の隙を突いて逆転ゴール (スポーツ) | 無料動画・見逃し配信を見るなら | ABEMA
https://abema.tv/video/episode/16-76_s20_p1223

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in 動画, Posted by logu_ii

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