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「Safariの日付を選ぶ仕組み」がカスタマーサポートに寄せられる苦情の3分の1を生み出していたという報告


Appleが開発するウェブブラウザのSafariは、iPhoneやiPad、Macなどで使用されている標準的なブラウザです。ところが、効果的な高血圧薬を推奨する遺伝子検査のスタートアップ・Geneticureの創設者であるロバート・トーマス氏が、「Safariの日付を選ぶ仕組み」によって高齢のユーザーが戸惑ってしまい、Geneticureのカスタマーサポートに寄せられる苦情の3分の1を生み出していたと報告しています。

Safari's date-picker is the cause of 1/3 of our customer support issues · GitHub
https://gist.github.com/RobertAKARobin/850a408e04d5414e67d308a2b5847378

Geneticureは遺伝子検査テクノロジーを用いることで、「そのユーザーにとってどの高血圧薬が最も効果的なのか」を診断するというサービスです。医療上の理由から、Geneticureを利用するユーザーは生年月日を入力する必要がありますが、この日付選択システムにおいて問題が生じていたとのこと。

以下の画像は、ブラウザで<input type="date">を使用して日付選択フォームを設置した際にSafariで表示される画面です。上部に「December 2022」のように年月が表示され、その下に日付が並んだカレンダー形式となっており、ユーザーはカレンダーの中から適切な日付を選択する仕組みとなっています。


一見すると特に問題はないように思えますが、「これは生年月日の入力フォームである」「Geneticureは高血圧薬を服用している60代以上のユーザーが多い」という点を考慮すると、問題が浮かび上がってきます。まず、デフォルトの年月が最新の「2022年12月」となっている時点で、60歳以上のユーザーは少なくとも60年分時間を巻き戻さなくてはなりません。しかし、右上の矢印アイコンをタップして1カ月ずつ巻き戻そうとすると、60年戻るには720回もタップする必要があります。


また、スマートフォンやタブレットの操作に慣れているユーザーであれば、「左上の『December 2022』をタップすれば年月選択フォームが表示されるだろう」と直感的にわかりますが、高齢でモバイルブラウザに慣れていないユーザーがこれを見つけるのは想像以上にハードルが高いとのこと。

さらにトーマス氏は、「December 2022」をタップして表示される以下の年月選択フォームにも問題があると指摘。トーマス氏によると、「年月は選べるのに日付は選べない」「直感に反して月と年が別々に動く」「ローラー形式で上下にスワイプする形式に、デジタルネイティブでない世代は慣れていない」といった理由から、この形式の年月選択フォームをうまく扱えない高齢者は多いそうです。


以上の問題により、iPhoneやiPadからGeneticureを使おうとしたユーザーからの苦情が、カスタマーサポートに寄せられる問い合わせの3分の1を占めていました。問題を認識したトーマス氏は、PythonのWebアプリケーションフレームワークであるDjangoのフィールドとウィジェットを「驚くほどの時間」をかけて調整し、以下のように「MM(月)」「DD(日)」「YYYY(年)」を別々に手動入力するフォームを作成しました。この修正についてトーマス氏は、「凝った作りではありませんが機能します。実際のところ、凝った作りではないから機能するのです」と述べています。


その後、GitHubに寄せられたコメントを参考にして、トーマス氏は以下のように「Month(月)」だけをドロップダウン形式で選択し、年と日付は手動入力するフォームに修正しました。月はたった12個しか選択肢がない上に、多くの人は月を数字ではなく「January~December(1月~12月)」の12個の項目として捉えているため、手動入力ではなくドロップダウンにすることは合理的だと判断したとのことです。


トーマス氏は、個人的にはiOSのUIが気になることはないものの、高齢者にとっては細かい操作が困難になる場合があると指摘。Geneticureのような中小企業は、この問題によって多額のコスト損失を被る立場ではないものの、標準的なウェブブラウザでユーザビリティをテストすることは重要だと述べました。

ソーシャルニュースサイトのHacker Newsでもこの件が話題となっており、あるユーザーは「(ブラウザの日付選択に不満を持っているのは)私だけではありませんでした。日付のテキスト入力を許可しないすべての日付選択システムはばかげています」とコメント。また、高齢の両親と義母がいるという59歳のエンジニアは、「私はいたるところにひどいUIがあることに気づかされました。スマートフォンやウェブベースで提供されている、政府・銀行・ショッピングやその他のサービスとのやり取りを含む基本的なタスクを実行するサービスは、文字通り70歳以上の人々の多くが使用できません。彼らが1990年代からPCを使っていてもです」と述べています

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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