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ロボットが彫刻家の仕事を99%まで代行することが現実のものに


イタリア・トスカーナ州のカッラーラは大理石の生産地として古来から知られており、特に名産品である「カッラーラ・ビアンコ」と呼ばれる白大理石は古代ローマの時代から彫刻に使われています。そんなカッラーラ・ビアンコの原石から超人的な精度で像を彫刻するロボットが登場して話題になっています。

‘We Don’t Need Another Michelangelo’: In Italy, It’s Robots’ Turn to Sculpt - The New York Times
https://www.nytimes.com/2021/07/11/world/europe/carrara-italy-robot-sculptures.html

Could robots do the work of master marble sculptors? This one is "99%" there, according to its creator. - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/robots-marble-sculpture-carrara-italy-robotics-art/

ABB2を開発した企業・Robotorの創設者であるジャコモ・マッサーリ氏によると、人間だと制作に数カ月はかかるであろう彫刻をロボットならたった数日で彫ってしまうとのこと。マッサーリ氏は「ロボットは休日も取らないし、寝もしません。ロボットは無駄を省くことができます」と述べています。


全高約4mのロボットがどんな感じで大理石を彫っていくのかは、以下のムービーの2分40秒から見るとよくわかります。

HSD & Robotor - YouTube


ロボットは固定された台座に取り付けられたアームが本体で、全身が亜鉛合金製。彫刻に使われるドリルにはダイヤモンドコーティングが施されています。


アームは複数の関節で自由自在に動き、360度どの方向からも大理石を削ることができます。


ドリルが回転すると同時にアームから水が噴射され、ゴリゴリと大理石を削ることができます。


あらかじめコンピューターで作成した3Dモデルを読み込ませ、ロボットは大理石を削ってその3Dモデルと同じ像を大理石から削り出します。削った大理石の表面には、まるで3Dプリンターで印刷したような層が生まれています。


この層の段差を人間の手で削っていきます。ロボットだけで彫刻を完成させることはできず、最後に必ず人の手を加えることになります。


マッサーリ氏によれば、3Dモデルを制作するソフトウェアとそれを現実のものにするロボット技術で彫刻することに対して、「そんなものは芸術ではない」という意見もあるとのこと。マッサーリ氏は「手仕事を忘れてしまう危険性はありますし、そのノウハウや知識はずっと残ってほしいですね」と述べる一方で、「古い芸術家は、自分たちがハンマーとノミで彫刻を彫っているという考えに永遠にしがみついているのです。笑っちゃいますよ」「ロボット技術は人間の仕事を奪うのではなく、それを改善するだけです」とコメントしています。

さらにマッサーリ氏は「ロボットは単体だと完璧な仕事をこなすことはできません。ロボットがこなす仕事はおそらく全体の99%ほどです。しかし、作品の違いを生み出すのは、やはり人間の手によるものです。最後の1%がとても重要なのです」と語りました。

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in ハードウェア,   動画,   アート, Posted by log1i_yk

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