サイエンス

1日徹夜するだけで脳は1~2年分老化したような状態になることが判明


寝る間も惜しんで仕事や勉強、趣味に没頭してしまった経験がある人は多いはず。しかし徹夜をすると、脳が一晩で1~2年分老化したような状態になる可能性が研究によって示されています。

Total sleep deprivation increases brain age prediction reversibly in multi-site samples of young healthy adults | Journal of Neuroscience
https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0790-22.2023

Human brain looks years 'older' after just one night without sleep, small study shows | Live Science
https://www.livescience.com/human-brain-looks-years-older-after-just-one-night-without-sleep-small-study-shows

ライン・フリードリヒ・ヴィルヘルム大学ボンのデビッド・エルメンホルスト氏らの研究チームは、134人の参加者を「徹夜するグループ」「一晩で3時間睡眠のグループ」「5時間睡眠のグループ」「8時間睡眠のグループ」の4グループに分け、脳のMRIを撮影しました。

その後研究チームは、3000人以上のMRI画像を基に学習した機械学習アルゴリズム「brainageR」を使用し、参加者の脳年齢を推測しました。brainageRは、学習したデータを基に脳組織と体液量の観点から、提示された脳MRI画像における脳年齢の推定値を予測するアルゴリズムです。

徹夜した参加者グループの脳年齢は、brainageRによって8時間睡眠のグループよりも平均1~2年老化した状態だと判断されました。また、徹夜したグループが再度十分な睡眠をとったところ、脳の老化は8時間睡眠のグループと変わらない状態に戻リました。


しかし、3時間睡眠や5時間睡眠のグループを8時間睡眠のグループと比較したところ、brainageRによる脳年齢予測に有意差が確認できませんでした。

睡眠不足の人の脳には、体液分布や灰白質の量の変化など、さまざまな変化が起こるとされています。今回の研究チームによる研究結果は、睡眠不足が脳に及ぼす影響に関する従来の研究と一致しているとのこと。

エルメンホルスト氏は「徹夜による脳の老化は実際に老化したわけではなく、brainageRが老化と判断しました」と述べています。さらに「慢性的な睡眠不足の長期的な影響について、今回の研究で明らかにすることはできませんでした」と明かしています。


またエルメンホルスト氏は、「今回の研究における参加者数は134人と比較的小規模でした。今後は夜勤をする人など、慢性的な睡眠不足の人物を対象としてより大規模な研究を行ないたいです」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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