サイエンス

ダイエットをする時は「急激な減量」と「緩やかな減量」のどちらが良いのか?


ダイエットを行う際には、できるだけ早くに結果を出して体重を減らしたいと考える人も多いはず。しかし専門家によると、リバウンドを避け健康的なダイエットに取り組む際には、急激な減量ではなく緩やかな減量を行うべきだと考えられています。

Is it true the faster you lose weight the quicker it comes back? Here's what we know about slow and fast weight loss
https://theconversation.com/is-it-true-the-faster-you-lose-weight-the-quicker-it-comes-back-heres-what-we-know-about-slow-and-fast-weight-loss-198301


複数の専門家によると、「緩やかな減量」の定義は、週に500g~1kgの減量だとされています。一方で「急激な減量」の定義は週に1kg以上の減量を数週間にわたって続けることです。

ある研究では、200人を対象に体重の15%を「12週間で急激に減量するグループ」と「36週間で緩やかに減量するグループ」の比較が行われました。

急激な減量を行うグループは、シェイクや栄養補助食品、スープなどを中心とした1日3度の飲食を行いました。一方で緩やかな減量を行うグループは、1日の摂取目安カロリーから500カロリー少なく食べることだけが指示され、さらに1日に1~2回シェイクや栄養補助食品などの飲食が許可されました。

体重の12.5%以上を減量することに成功したのは、急激な減量を実施したグループは約81%、緩やかな減量を実施したグループは約50%でした。また、12.5%以上の減量に成功した被験者には、約2.75年にわたり体重を維持するための食事が提供されました。


最初の実験が行われてから3年後、体重の推移を確認すると、急激な減量、緩やかな減量を行ったどちらのグループも約76%が実施前の体重に戻っていたことが明らかとなり、減量法に関わらず効果は持続しにくいことが判明しました。

また、急激な減量を行ったグループと緩やかな減量を行ったグループを比較した結果、体重に伴って失われた筋肉量に差は見られなかった一方、緩やかな減量のグループは急激な減量を行ったグループよりも脂肪量がより多く減少していることが明らかになりました。さらに、急激な体重減少は骨密度の減少が約2倍になっていることが判明し、骨粗しょう症のリスクが上昇していることが報告されています。

これまでの研究で「高タンパク質の食事を重視」や「炭水化物を減らす」「低脂肪の食事を重視」といったさまざまなアプローチを取っても、同様の減量結果が生じることが報告されています。また、定期的な断食など、食事によるカロリーを控えるダイエットのやり方について、期待するような効果が得られないことが示されています。


一気に体重を減少させると、安静時の基礎代謝が低下します。基礎代謝の高さは体重の減少に不可欠とされていますが、一度低下した基礎代謝はダイエット前の体重に戻ったとしても元のレベルには回復しないとされています。一方で緩やかな減量を行うことで、安静時の基礎代謝を維持しながらダイエットに取り組むことが可能です。

また、食事制限にはビタミン欠乏症のリスクや免疫機能の低下、倦怠(けんたい)感、骨密度の低下などにつながる副作用があり、栄養失調に陥る可能性が指摘されています。

多くの急激な減量では、長期的な健康にとって必要な食品を制限または排除しています。急激なダイエットでは、炭水化物が禁止されることが多いですが、炭水化物は体にとって必要不可欠な栄養源であり、病気の予防に役立つとされています。また、栄養補給の手段としてサプリメントを摂取しても、体重を長期的に維持することは困難であることが指摘されています。


シドニー大学のニック・フラー氏はダイエットの成功に必要なこととして「科学的な証拠に基づくダイエットプログラムを行う」「資格を持った医療の専門家の監督下でダイエットを行う」「食事や運動、睡眠などのライフスタイルは一気に変えるのではなく、徐々に変えていって、一生続く健康的な習慣の形成を心掛ける」ことを推奨しています。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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