サイエンス

天文学者が「存在しないはずの惑星」を発見


これまでの考えでは惑星が存在するはずのない場所に、太陽系外惑星が存在することが明らかになりました。

A close-in giant planet escapes engulfment by its star | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-023-06029-0


Astronomers find a planet that shouldn't exist
https://phys.org/news/2023-06-astronomers-planet-shouldnt.html

Astronomers puzzled by 'planet that shouldn't exist'
https://theconversation.com/astronomers-puzzled-by-planet-that-shouldnt-exist-208649

太陽系外惑星の探索は、天文学において最も急速に成長している分野のひとつで、過去数十年間で人類は5000以上の太陽系外惑星を発見してきました。記事作成時点で、天文学者は銀河系には1つの恒星につき少なくとも1つ以上の惑星が存在していると推定しています。


記事作成時点での天文学における研究活動の多くは、生命が存在できる可能性のある「地球のような惑星」を検出することを目的としています。そして、これらの取り組みは太陽のような恒星を発見することに焦点を当てたものになっているとのこと。その理由は上記の通り、恒星には必ず惑星が存在するとされているためです。実際、これまでに発見されてきた太陽系外惑星の90%以上が恒星の周辺で検出されています。

そんな太陽系外惑星の探索を行ってきた国際的な天文学者チームが、太陽の数十億年後によく似た恒星を調査し、その周辺には本来存在しないはずの惑星が見つかったと科学誌のNatureで報告しています。


人間と同じように星も時間と共に変化します。星が核内の水素をすべて使い果たすと、星が冷えるにつれて核は縮小し、外殻は膨張します。これは赤色巨星と呼ばれる段階で、星の元の大きさの100倍以上に膨張するケースもあるそうです。太陽が赤色巨星となるのは約50億年後とされていますが、これが起こると太陽は水星・金星・地球といった惑星を飲み込むことになると推定されています。

その後、恒星の核がヘリウムの融合を始めるのに十分な温度になると、星は元の大きさの約10倍にまで縮小し、その後数千万年にわたり安定して燃焼を続けることになるそうです。


こぐま座8番星と呼ばれる恒星を周回する太陽系外惑星のひとつが「こぐま座8番星b」です。この惑星は木星とほぼ同じ質量を持ちながら、恒星との距離が地球と太陽の距離の半分しかありません。

NASAの宇宙望遠鏡・TESSを使って収集されたこぐま座8番星に関する最新のデータを分析したところ、赤色巨星であるこぐま座8番星は、すでに核でヘリウムの燃焼を始めていることが明らかになりました。核でヘリウムが燃焼していることは、星の内部の音波を分析する星震学を応用して特定されています。

こぐま座8番星でヘリウムが燃焼しているということは、恒星のサイクルを考慮すると、こぐま座8番星の過去の姿は現在よりも大きなものであったということになります。そして、こぐま座8番星が現在よりも大きな姿であったなら、非常に近くに存在するこぐま座8番星bが飲み込まれてしまうほど大きなサイズであったはずです。

つまり、こぐま座8番星bは「存在しないはずの惑星」であるというわけ。


こぐま座8番星bについて考えられる説のひとつは、「こぐま座8番星がかつては連星であった」というもの。もしも連星であった場合、こぐま座8番星bはこぐま座8番星に飲み込まれずに済んだ可能性があります。


もうひとつの説が、「こぐま座8番星bが比較的最近生まれたばかりの惑星」というもの。つまり、「こぐま座8番星がヘリウムを燃焼し、縮小したのちに誕生したのがこぐま座8番星bである」という説です。


どちらの説が正しいにせよ、ヘリウムを燃焼させている赤色巨星を周回する惑星が存在するという事実は、自然が人類が予期しない方法で惑星を生み出すケースがあるということを示しています。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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