Googleが機械学習プラットフォーム「Vertex AI」のアップグレードを発表、生成AIを用いたアプリケーション構築がより手軽に

Googleが現地時間2023年8月29日、AI開発・運用を簡単に行える機械学習プラットフォーム「Vertex AI」の対応モデル増加や、企業によるジェネレーティブAIを用いたアプリ構築を支援するための機能追加を発表しました。

Vertex AI Next 2023 announcements | Google Cloud Blog
https://cloud.google.com/blog/products/ai-machine-learning/vertex-ai-next-2023-announcements/

Googleは年次開発者向けイベント「Google Cloud Next'23」の中で、基盤モデルと企業データとの連携、カスタマイズなどを行うことが可能なVertex AIの機能拡張を行うことを発表しました。

Vertex AIにおいてジェネレーティブAIモデルのカタログ機能を担う「Model Garden」では、今回の機能拡張によってオープンソースの大規模言語モデル「Falcon」やMetaの「Llama 2」、コーディング支援AI「Code Llama」、AnthropicのチャットAI「Claude 2」などのサポートが追加されます。

今回のサポート追加によって、Vertex AIは合計100以上のジェネレーティブAIモデルをサポートすることになります。Google Cloudは「Vertex AIをオープンなエコシステムにする」ことを強調しており、ジェネレーティブAIに用いられる主要な基盤モデルの数々をサポートすることで、ユーザーや企業は開発したい個々のアプリケーションの用途に合わせて最適な基盤モデルを選択して、Vertex AIという単一の基盤上で開発を進めることが可能です。

また、Googleは新たにVertex AIの拡張機能「Vertex AI Extensions」を発表。Vertex AI Extensionsを導入することで、API経由で顧客自身で構築した拡張機能やGoogleが提供する拡張機能、サードパーティの企業が開発・提供する拡張機能を自身が開発を進めるジェネレーティブAIなどに手軽に導入できるようになります。Googleは「Vertex AI Extensionsの使用例は事実上無限です」と述べつつ、使用例として開発した拡張機能を導入して社内のコードベースを取り込み、企業が直面しているセキュリティ上の脅威をリアルタイムで検出することができる仕組みを紹介しています。

さらにGoogleは大規模言語モデル「PaLM 2」やPaLM 2の派生言語モデル「Codey」、画像生成AI「Imagen」のアップグレードを発表しました。

大規模言語モデルのPaLM 2では、日本語を含む38の言語に対応し、コンテキストウィンドウが3万2000トークンに拡大されました。今回のアップグレードによって、独自の企業データや研究論文、書籍をはじめとする大量の情報をAIに読み込ませることができるようになっただけでなく、従来よりも高品質な回答が得られるようになったとのこと。

コード生成を行うCodeyでは、主要な開発言語において、生成されるコードの品質が最大25％向上したとのこと。

画像生成AIのImagenでは、生成された画像に電子透かしを入れるツール「SynthID」が発表されたほか、複数の画像をアップロードし、同様の画像を生成するよう指示することが可能になりました。さらに、画像の生成後、「水彩画風にして」などの画像編集もできるようになりました。

Googleが「画像生成AIで生成した画像」に電子透かしを入れてフェイクの拡散を防止するツール「SynthID」を発表 - GIGAZINE