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AIが書いて他人名義で販売される「ゴミ本」に沈黙していたAmazonが作家組合の訴えに応じて重い腰を上げる


AmazonではAIによって書かれた本が無関係の著者の名義で販売されている事例が報告されており、Amazonはそれに対し「作者名に関する商標登録がないと本の削除対応はできない」とかたくなな姿勢をとっていました。しかし、被害に遭った作者がSNSに状況を訴え、それに全米作家協会が支援を始めた結果、Amazonが対応に動き出したことが報じられています。

Amazon Reverses Course on ‘Garbage Books’ After Public Uproar - Decrypt
https://decrypt.co/151780/amazon-authors-writers-fake-books-trademark


出版業界で25年の経験がありコンサルタントも務めるジェーン・フリードマン氏は、自分が無関係にもかかわらず、自分の名前が著者として表記されている本がAmazonに複数並んでいると2023年8月に告発しています。フリードマン氏がそのような読者をだまして作者に不利益を与える本を「ゴミ本」と呼んで強く非難した結果、数時間後にAmazonが運営している書籍のレビューサイト「Goodreads」から該当するゴミ本のタイトルが削除されました。一方で、Amazonにも訴えを行った結果、「あなたの主張に関連する商標登録番号があればお知らせください」とのみ返答があり、書籍は削除されず販売されたままとなっていました。

AIが書いた本がAmazonで他人名義で販売されているという報告、名前が使われた著者は「これなら自分の本が海賊版で出回った方がマシ」と訴え - GIGAZINE


しかし、フリードマン氏が告発をした翌日、Amazonでフリードマン氏の名前をかたる「ゴミ本」のいくつかが削除され始めました。フリードマン氏は「この削除対応には、執筆および出版コミュニティにおける私の知名度と評判が少なからず影響していると確信しています」とコメントしています。

また同じ日に、全米作家協会がフリードマン氏に対し「著作権組合のメンバーとして、私たちはあなたを代表して訴えを起こすことができます。それらの本は商品の形態及び外観の模倣防止を定めた『ランハム法』の侵害として削除されるべきです。それを伝えるために、私たちは(作者の代わりに)Amazonの経営幹部に連絡を取ります」とフリードマン氏の訴えを全面的に支持する姿勢を表明。


フリードマン氏の告発を受けて、テクノロジー系メディアのDecryptと全米作家協会の共同声明が発表されました。声明では「私たちは過去にも同様の問題に関してAmazonと協力しており、テクノロジーの発展にインターフェースやサポートの対応が間に合うように、話し合いを続けていきます。依然として自身のブランドから利益を得ようとする書籍が確認された場合、Amazonのサポートを通じて報告することをお勧めします」と述べています。


Decryptの取材に対し、Amazonの広報担当を務めるアシュリー・バニセク氏は電子メールで「Amazonには、どの書籍を出品できるかを規定する明確なコンテンツガイドラインがあり、懸念が生じた場合には直ちにあらゆる書籍を調査します。私たちは著者からのフィードバックを歓迎し、著者と直接協力して著者が提起した問題に対処し、間違いがあった場合は修正します」とAmazonの姿勢について説明しました。

Amazonは実際に、2023年9月には全米作家協会などからの要望を受けて、電子書籍や紙の書籍を自費出版できるサービス「Kindle ダイレクト・パブリッシング(KDP)」のコンテンツガイドラインを更新し、AI生成コンテンツを含む書籍を出版する場合は申告するように求める条項を追加しています。

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ただし、Amazonから「ゴミ本」が全て削除されたわけではありません。作家で詩人のハッティ・ジーン・ヘイズ氏も「ゴミ本」の被害に遭っており、ヘイズ氏の名前を著者名として利用した成人向けの書籍を販売された上に、物語の中でヘイズ氏の家族の名前が使われていたと報告しています。


フリードマン氏は、告発の翌日朝の時点で「私が告発した『ゴミ本』はAmazonから削除されていました」と報告しつつ、すぐにまた同じ被害が発生する疑いを語っています。また合わせて、「私は十分な影響力を持っていたため、迅速な対応を受けることができましたが、そうではない著者が被害に遭っていた場合は、重大な危険信号を立てることができないのではないでしょうか」と懸念を述べています。


全米作家協会の広報担当者は「あからさまな著作権侵害でない場合、特に商標などで法的根拠が明確にされていない場合は、Amazonの通常ルートで解決するのが難しい場合があります。Amazonは今後、著者が問題を解決しやすいように、対応を改善していく必要があります」と見解を述べ、AIによる本や詐欺的な本の被害にあう作家のサポートをする姿勢を示しています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by log1e_dh

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