サイエンス

1日たった50段の階段を上るだけで心臓病のリスクを20%も減らすことができる


運動をすればさまざまな病気のリスクが下がることは理解していても、日常生活に運動を取り入れるのは困難なものです。ところが新たな研究では、1日たった50段の階段を上るだけで心臓病のリスクが20%減少することが示されました。

Daily stair climbing, disease susceptibility, and risk of atherosclerotic cardiovascular disease: A prospective cohort study - Atherosclerosis
https://www.atherosclerosis-journal.com/article/S0021-9150(23)05221-8/fulltext


Walking more than five flights of stairs a day can cut risk of heart disease by 20%, study says | Tulane News
https://news.tulane.edu/pr/walking-more-five-flights-stairs-day-can-cut-risk-heart-disease-20-study-says

Want to Cut Heart Disease Risk? Here's How Many Flights of Stairs to Climb Daily : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/want-to-cut-heart-disease-risk-heres-how-many-flights-of-stairs-to-climb-daily

「階段の上り下り」は日常的に多くの人が行っている運動であり、忙しくて運動する時間がないという人や、運動用の道具を購入する経済的余裕がない人でも手軽に実践することができます。そこで中国・アメリカ・イギリスの国際的な研究チームは、階段の上り下りとアテローム性動脈硬化性心血管性疾患(atherosclerotic cardiovascular disease:ASCVD)のリスクがどう関連するのかを調べました。

アテローム性動脈硬化症は動脈硬化の一般的な形態であり、冠動脈疾患虚血性脳卒中など、多くの人々の死因となっている疾患を引き起こします。こうしたアテローム性動脈硬化症に関連する心血管疾患のことを、研究チームはASCVDと定義しています。


研究では、イギリスの大規模バイオバンクであるUKバイオバンクに含まれる成人45万8860人のデータを分析し、家族の病歴や遺伝的な危険因子、高血圧の有無、喫煙歴といった要因に基づいて被験者の心血管性疾患への感受性を評価しました。また、「階段の上り下り」を含む生活習慣についても、中央値で12.5年にわたり継続的に調査したとのことです。追跡期間中に合計3万9043人がASCVDを発症し、その内訳は重複ありで冠動脈疾患が3万718人、虚血性脳卒中が1万512人だったと報告されています。

分析の結果、毎日少なくとも50段(約5階分)以上階段を上り下りすると、ASCVDのリスクが20%低下することがわかりました。特に、心血管性疾患の感受性が低い人ほど、階段を上ることによるリスク低下が大きかったとのことです。


また、追跡期間中に階段を上る習慣をなくした人は、最初から階段を上る習慣がなかった人よりもASCVDになるリスクが32%高かったことも報告されました。

論文の共著者でテュレーン大学医学部教授のLu Qi氏は、「短時間で高強度の階段昇降をすることは、現在推奨されている身体活動量を達成できない人々にとって、心肺フィットネスと脂質プロファイルを改善する時間効率の良い方法です。今回の研究は、一般集団におけるアテローム性動脈硬化性心血管性疾患の一次予防法としての、階段昇降の潜在的な利点を強調するものです」と述べました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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