23時間断食する「1日1食(OMAD)ダイエット」って一体何?効果はあるのか?について専門家が解説


1日のうち決まった時間の間で食事をする食事法は、カロリー制限に匹敵する効果があるダイエットとして注目を集めています。これをさらに突き詰めたダイエット法として流行している、「1日のうち1回しか食事をしないダイエット」の効果や注意点について、食事療法の専門家がまとめました。

What is the OMAD diet? Is one meal a day actually good for weight loss? And is it safe?
https://theconversation.com/what-is-the-omad-diet-is-one-meal-a-day-actually-good-for-weight-loss-and-is-it-safe-207723


◆そもそもOMADダイエットとは?
オーストラリアのシドニー大学チャールズ・パーキンスセンターで肥満や代謝性疾患について研究しているニック・フラー氏によると、1日1食(One Meal A Day)しか食べないOMADダイエットは、食時の時間を制限する「断続的断食」の一種とのこと。

有名なOMADダイエットの実践者や支持者としては、イギリスのリシ・スナク首相やミュージシャンのブルース・スプリングスティーン氏、ロックバンド・Coldplayのボーカリストであるクリス・マーティン氏などが知られています。

OMADダイエットの基本は、1時間で1日分の食事を食べきり、そのあと23時間断食するというものです。実践しやすいようにルールはシンプルに設計されており、具体的には以下の3点に集約されています。

・標準的なディナープレートに収まる範囲であれば、カロリー制限や栄養ガイドラインに従う必要はなく、何を食べてもOK。
・水、紅茶、コーヒーなどカロリーゼロの飲料はいつでも摂取できる。
・規則正しい食事スケジュールを守り、毎日同じ時間に1回食事をとること。


OMADダイエットを行うと、カロリー不足による体重の減少が見込める上に、断食の時間を長くすることでブドウ糖の代わりに体内に蓄積された脂肪をエネルギーとして燃焼させるケトーシスを起こし、代謝を高めたり健康を促進させるような生理的変化をもたらしたりできると、OMADダイエットの支持者は提唱しています。

◆エビデンスはあるのか?
フラー氏によると、残念ながらOMADダイエットをテーマにした研究はあまり進んでおらず、めぼしい研究としては元から痩せている若者11人がわずか11日間OMADダイエットに取り組んだ2022年の研究しかないとのこと。

BMIが標準値の男性5人と女性6人に、消費カロリーと摂取カロリーが釣り合うようにした食事を1日3回、もしくは1日1回17時から19時の間で摂取してもらったこの研究では、OMADダイエットをしたグループの方がより多く体重が減少し、運動能力も落ちないとの結果が報告されました。


研究の蓄積がまだ少ないため、OMADダイエットに関する主張の多くは断続的断食の研究を根拠としており、断続的断食の方は一定の有効性が示されています。ただし、断続的断食に関する研究の多くは短期的で、大抵は12週間かそれ以下の期間での結果が焦点となるため、長期的な効果についてははっきりしていません。

数少ない長期研究としては、2022年に発表された研究があります。139人の肥満患者を、毎日8時から16時までの制限時間内でカロリー制限食を食べるグループと、カロリー制限だけで時間制限はないグループに分けて12カ月観察した結果、どちらも同様に体重が検証し、体脂肪、血糖値、コレステロール、血圧にも同様の変化が現れることがわかりました。

この研究の詳細は、以下の記事から読むことができます。

食べる時間を制限する「8時間ダイエット」を1年間続けた実験から判明したことは? - GIGAZINE


フラー氏は、「この結果は、断続的断食が長期的な体重減少で優れているということではなく、断続的断食による体重の減少が従来のカロリー制限と同等であるということを示しています」と解説しています。

◆結局OMADダイエットはどう?
フラー氏はOMADダイエットの問題点を3つ挙げています。1つ目は、「栄養不足や健康上の問題が起きる可能性」です。OMADダイエットでは原則として食事内容に制限がなく、また何を食べるべきかについての栄養指導もないため、健康を維持する上で大切な全粒粉炭水化物、野菜、果物、良質な脂肪分、バランスのとれたタンパク質源が不足するおそれがあります。

2つ目は「持続可能性が低い」という点です。OMADダイエットは最初はある程度の効果が出るかもしれませんが、時間がたつにつれて効果は減少していきます。また、23時間も断食するような極端なダイエットは楽しくない上に、食事を通じた人付き合いも諦めなければならないため、社会的な孤立にもつながり、続けるのが困難になります。


3つ目は「その場しのぎでしかない」ことです。他の断続的な断食と同様、OMADダイエットはわかりやすく、始めると結果がすぐ出るという点で魅力的です。しかし、いったん体重が落ちると、体は体重の減少に対抗するための防衛機構を作動させ、すぐに体重を戻そうとしてしまいます。一般的にリバウンドと呼ばれるこの反応は、狩猟採集民だった祖先が、食料不足の時代を生き延びるために身につけた反応なのだそうです。

こうした点から、フラー氏は「よく大げさに宣伝されているのとは裏腹に、OMADダイエットは長続きせず、従来のダイエット法よりも体重を減らしやすいということもありません。このダイエットに挑戦する人は、いつの間にか自分が失った体重を確実に元に戻すための一連の生理的な変化と戦っていることに気づくでしょう」と結論づけました。


フラー氏によると、長期的な減量を成功させるポイントは次の2点だとのこと。

・持続可能かつ管理可能な方法により、小さな単位で体重を落とす。具体的には、目標体重に達するまで減量期と体重維持期を繰り返してくことなど。
・一生続けられるダイエット習慣を確実に身につけるために、少しずつライフスタイルを変えていくこと。

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in サイエンス,   , Posted by log1l_ks

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