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G7がAI開発における安全性を高めるため開発企業向けの行動規範を公表へ、本格的な規制整備までのつなぎとして機能か


日本、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリアによって構成されるG7が、先進的な人工知能(AI)システムを開発する企業向けの行動規範を作成しており、合意間近にあるとロイターが報じました。

Exclusive: G7 to agree AI code of conduct for companies | Reuters
https://www.reuters.com/technology/g7-agree-ai-code-conduct-companies-g7-document-2023-10-29/


G7 to agree AI code of conduct for companies - Software - iTnews
https://www.itnews.com.au/news/g7-to-agree-ai-code-of-conduct-for-companies-601810

2023年5月、日本の広島で行われたG7広島サミットの中で、G7とEUの首脳陣が生成AIについて議論する「広島AIプロセス」を立ち上げました。広島AIプロセスは急速な発展と普及が国際社会全体にとっての重要な課題となりつつある生成AIについて議論するためのものです。

G7は広島AIプロセスを通じ、プライバシーの懸念やセキュリティリスクに対してAI開発者はどのようにAIを管理するべきかを定めるための行動規範を作成しており、この策定中の行動規範が間もなく合意に至ることが、G7の文書から明らかになっています。

この文書によると、G7は11項目の行動規範を策定しており、「安全、安心、信頼できるAIを世界に普及させるために、基礎モデルや生成AIシステムを含む最先端のAIシステムを開発する組織による行動に対して、自主的な指針を提供する」ものになるとのこと。行動規範を策定する理由について、G7は「AI技術がもたらす利益を享受しながら、リスクと課題に対処することを支援するため」と説明しています。


G7によるAI行動規範では、AI開発企業に対してAI製品のライフサイクル全体にわたってリスクを特定・評価・軽減するための適切な対策を講じることや、AI製品が市場に投入された後も不正使用インシデントの対策などに取り組むことを求めています。また、AI開発企業はAI製品の能力・限界・使用・誤用に関する報告書を作成し、強固なセキュリティ管理に投資する必要もあるそうです。

なお、EUは独自のAI法によってAI規制の最前線に立っている一方で、日本・アメリカ・東南アジア諸国などは経済成長を促進するために、EU圏ほどの規制は行わないというアプローチを採用しています。

2023年10月初めに日本の京都で開催されたインターネット・ガバナンス・フォーラム京都2023に出席した欧州委員会のヴェラ・ジュローヴァ・デジタル部長は、G7によるAI行動規範について「安全性を確保するための強力な基盤であり、規制が整備されるまでのつなぎとして機能する」と説明しました。


なお、2023年10月27日にはアメリカのジョー・バイデン大統領が、AIテクノロジーに関する新たなルールを策定するための大統領令に署名する予定であることも報じられています。

Biden to Require AI Tools Pass Test Before US Officials Buy Them - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-10-27/biden-to-require-ai-tools-pass-test-before-us-officials-buy-them


Biden to sign executive order expanding capabilities for government to monitor AI risks | The Hill
https://thehill.com/homenews/administration/4280975-biden-sign-executive-order-expanding-government-capabilities-monitor-ai-risks/

この大統領令は早ければ30日にも発令される予定で、アメリカにおける医療・教育・貿易・住宅などさまざまなカテゴリでのAI利用方法が変わる可能性があると指摘されています。このAI規制大統領令には「AIには期待と危険の両方における並外れた可能性があります。責任あるAIの使用は、緊急の課題を解決し、我々の世界をより豊かで生産性が高く、革新的で安全なものにする可能性を秘めています。同時に、無責任な使用は詐欺・差別・偏見・偽情報などの社会的被害を悪化させる可能性もあります」と記されているそうで、G7によるAI行動規範と合わせてアメリカ国内でのAI規制を進めるためのものになると思われます。

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in ソフトウェア, Posted by logu_ii

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