レビュー

自分の持つ全カードをフルに使いまくるデッキビルディングゲーム「ファントムローズ2 サファイア」プレイレビュー、ストーリーもシステムも全要素がブラッシュアップされ激烈強化


デッキ構築&ローグライクというもはや定番と言えるゲームシステムながら、なんと戦闘で使用するカードはすべて「非ランダム」、つまりデッキに入れたカードの中から自由に選んで使用できるという特殊なシステムを採用したゲームが「ファントムローズ2 サファイア」です。このゲームがどんなものなのか、実際に遊んで確かめてみました。

ファントムローズ2 サファイア | Game | PLAYISM公式サイト
https://playism.com/game/phantom-rose-2-sapphire/

「ファントムローズ2 サファイア」は、記憶をなくした少女「アリア」が記憶を取り戻すべく、「ファントム」という邪悪な生きものが存在している魔法学園をさまようというストーリー。合間合間にボイスなしの小話が挟まります。


これが進行マップ。


今いる青いピンの位置から、途中で分岐するルートを経由し、右端の階段マークまでを目指します。


これがバトル画面。プレイヤーは画面下部に表示されているデッキからカードを選び、画面中央にある枠にカードをはめる必要があります。


4つの枠にはめられたカードは左から順番にプレイされます。すでに枠にはめられているカードは敵であるファントムのカードです。


デッキのうち、上半分にあるのは攻撃カード、下半分にあるのは魔法カード。カードの下に書かれている数字は攻撃力や獲得バリア量などを示しています。どのカードをどこにはめるのかは自由ですが、必ず全ての空き枠を埋めなければなりません。


というわけで1枚はめてみました。この「スライス」というカードは「攻撃し、このカードのフィールド上の順番+6のダメージを与える」というもの。フィールド上の順番とは枠に振られている順番のことで、左から1、2、3、4となります。これを踏まえると、スライスを3番の枠にはめると3+6=9のダメージを相手に与えられるということが理解できます。


続いて1番の枠に魔法カードの「いばらバリア」を配置。これは、バリアを獲得すると同時に、攻撃を受けた際に相手へ4ダメージを与えるというバフを獲得するカードです。


最終的な配置はこんな感じ。「バトル」をクリックすると、自分がバリアを張り、相手が攻撃し、自分が攻撃し、相手がバリアを張るという順番でカードがプレイされます。


カード配置&バトルの様子を動画化しました。

デッキ構築型ローグライクゲーム「ファントムローズ2 サファイア」のバトルの基本的な仕組み「4つの枠に敵と自分がカードを2枚ずつ配置する」「カードは左からプレイされる」 - YouTube


今回は3枚目のカードがプレイされた時点で敵を倒すことができました。


バトル終了後は報酬として新たなカードがもらえます。


さらに「サファイア」もゲット。これは後ほどショップなどで使用可能。


報酬受領後、ルートを進みます。


次はまたしてもファントムとの戦闘。ここで「ファントムローズ2 サファイア」の重要な概念「クールダウン」が登場します。


カードにはそれぞれ「レベル」が設定されています。レベルはカードの強さを表すと同時に、そのカードが次に使用できるまでにかかるターン(フェーズ)数を表していて、例えば以下の「LV5」のカードは一度使うと5ターンの間使うことができなくなります。これがクールダウンです。


以下の通り、1戦目で使用した「スライス」と「いばらバリア」はクールダウン中。先ほどは「いばらバリア」の使用前に戦闘が終わったはずですが、それでも使用したとしてカウントされる模様です。クールダウン中のカードはアイコンの上に残りターン数が数字が表示されるのでわかりやすい。


ついつい強いカードばかり使ってしまいそうになりますが、強いカードはそれだけクールダウンも長いので、どうやってカードを効率よく使っていくかという戦略を考えるのが大切です。


続いてはイベントマスです。


ファントムを怖がっている様子の人物と出会います。やけに軽装ですが大丈夫なのでしょうか。どうやらアイテムを販売してくれるようです。


確率で相手にデバフを与えるカードの成功率を上げるアイテムや、戦闘中に使用できるポーションのようなアイテムを、先ほど受け取ったサファイアで購入することができます。


購入したアイテムは左下のスロットに配置されます。現状スロットは7個しかなく、これが上限値。後で増やせます。


続いてのルート分岐は「キャンプでHPを回復する」か「敵と戦う」の3択。もうひとつ「話す」という選択肢がありますが、これは現行のストーリーをクリアした後に解放されると書かれていました。つまり、このゲームは周回を前提に作られているということです。


今回はバトルを選択。ここで初めて「バフ」を持つ敵と出会いました。画面中央を見ると、自分と敵それぞれに「上」「下」の矢印が付いているのがわかります。キャラクターにバフが付くと上矢印の部分に、デバフが付くと下矢印の部分に、それぞれの効果の持続ターン数が表示されます。


今回敵に付いていたバフは「被ダメージを減らす」というものでした。これらのバフ・デバフは常にひとつしか付与されず、新たな種類のバフ・デバフが付与された場合、既存の効果は取り除かれます。同一種類の場合は数値が加算される場合もあり、その場合はカードに説明が書いてあります。


被ダメージ減をものともせず攻撃。


HPを削りきれず、バトルはフェーズ2へ持ち越されました。フェーズ2へ移行してもターンが進んだだけでやることは同じなのですが、この「フェーズ」については、「フェーズ1に使用しないとHPが減る」「フェーズ数×2のダメージを与える」というカードがあったりするので、意外と無視できない情報です。


もうひとつ目に付いたのが「バリアが持ち越されている」という点。「Slay the Spire」で言う「バリケード」が常に適用されている状態で、「ファントムローズ2 サファイア」ではターンが進んでもバリア値が減りません。これは自分のバリアでも同じ。


初期デッキに「ヒール」のカードがあるというのもポイントで、何も考えずに攻撃をしまくっても一応後からカバーすることが可能です。ヒールのクールダウンは2ターンです。


とはいえ後先を考えずに攻撃をすると、以下のように攻撃カードがすべてクールダウン状態になってしまうことも。こうなってしまうと、「あと2ダメージで倒せるのに」と歯がゆい思いをしながら守りに徹するしかありません。相手はこのターン攻撃しないのに。


ところがどっこい、ここで魔法カードにも「バリアの数だけ相手のHPを減らす」という魔法カード「バースト」があることに気づきました。


このターン、敵はバリアを2獲得することが決まっています。


ということは、相手がバリアを獲得した後に「バースト」を使うように配置すると……


敵は死にます。


このように、足し算引き算の計算を正確に行うことで効率的に戦闘を進めることが可能。カードは200種類以上あってどれもとにかく細かい効果が書いてあるので、最初はどのカードが何の作用をもたらすのかを理解するのに一苦労しますが、ピッタリ状況にマッチするカードを使えたときはちょっとした満足感を覚えられます。


次は休憩マス。


ここではサファイアを消費してHPを回復し、さらにカードの分解も行うことができます。


一般的なデッキビルディングゲームは、デッキ内のカードの中から数枚をランダムに引いていくというシステム上、デッキ内のカードを極力減らして強いカードを引く確率を上げる「圧縮」という戦略が非常に強力です。しかし、「ファントムローズ2 サファイア」はそもそもデッキのカードの中から好きなカードを自由に選べるため、圧縮はあまり意味がありません。では何のために分解というシステムが存在するのかというと、このゲームには「カード収納上限」という制限があるためです。

収納上限は以下画面の右端に表示されていて、現状は13枚が上限。戦闘が終わるたびにカードを獲得したり、ショップでカードを買ったりして上限を超えてしまったカードは、キャンプを踏んだ時点で制限値内に収める必要があるのです。カードの分解はタダで、さらに分解するとサファイアに変換されるという、一見すると割と良心的なシステム。


もうひとつ一般的なデッキビルディングゲームと違うなと感じたのは、ストーリーにかなりの重点を置いているという点。イベントマスやボスマスを踏むたびにショートストーリーが挟まれ、そもそもアリアは何者で、なぜこんな所にいるのかといった情報がだんだんと明らかになっています。


会話の選択肢をプレイヤーが選ぶタイミングも訪れます。


最初のボスまで倒すことができたので、雑魚敵も含んだ戦闘シーンをまとめて動画化しました。

デッキ構築型ローグライクゲーム「ファントムローズ2 サファイア」のバトルシーンはこんな感じ - YouTube


最初のストーリーのラスボスを倒すといったん攻略完了で、タイトル画面に戻されます。クリアしたことでストーリーが変化し、ほかにも「強敵が登場する」などの制約や縛りなどより難しくなる要素と同時に、永続バフである「刻印」という要素なども順番に解放され、さらに組み合わせていくといろいろできるようになっていきます。


刻印は、次のストーリープレイ時に「強くてニューゲーム」をするための永続バフ。ストーリーをクリアしたことで手に入れたポイントで獲得でき、デッキの上限を増やしたり、今まではクリア報酬として必ずデッキに入れなければならなかったカードをスキップしたりする効果をいくつか選んで付けることができます。


より難しくなるストーリー「ゴールド」以降では以下のような難易度アップ要素「試練」が追加されます


最初はこんな感じで、敵の強さアップとHP回復コストアップ


さらに進むと「天候」などいろいろな要素も追加されていき、主人公の前に立ちはだかります。


「暑い」だと1マス進む度にHPが1減っていきます、ヤバすぎる。


もうひとつ解放されたのが「メイジ」という新たなロール。先ほどのプレイ時とはまったく異なるデッキが用意され、さらにメイジ専用のシステム「アルカナ」も登場します。


アルカナは攻撃カードをプレイするのに必要なポイント。初期値は6です。


1番目の枠に攻撃カードを配置するためにはアルカナを1、3番目なら3消費する必要があります。


魔法カードの配置、あるいはフェーズの終了で1増えます。


「アルカナ+8のダメージを与える」というカードのようにアルカナの数値に依存したカードがあるため、ただでさえ複雑なゲームがもっともっと複雑になりました。


「ファントムローズ2 サファイア」には、ソーシャルゲームのように用意された課題をこなす「チャレンジ」「ミッション」も存在。例えば「バトル中にレベル5のカードを使う」というチャレンジなどがあり、これらをクリアすると「ソウルローズ」をゲットできます。


ソウルローズはアイテムの所持上限を上げたりするのに使えます。


また、設定画面には「ミッションを固定する」という項目が存在します。


この設定をオンにしておくことでストーリープレイ中に常にミッション・チャレンジが表示されるので、即座に「受け取る」をしつつ、現時点で何をクリアすればいいのかがわかるようになります。


ストーリープレイをいったん停止してホーム画面に戻ることで、受け取った報酬をすぐさま消費して反映させられるという自由度もあります。


さらに、チャレンジをクリアするとボーナスも取得できます。チャレンジ3つで1セットとなっており、一定数のセットをクリアしていくと即座にボーナスがもらえます。


こんな感じ。さらに「もう1個開ける」で追加のボーナスゲットも可能。


さらにスキンゲット。


また、マイルームからも「チャレンジ」でいろいろな実績を解放することで、同様にもらえます。


幻想的な見た目とは相反するように現実的で正確な計算が求められるカードゲーム「ファントムローズ2 サファイア」はSteamにて税込1980円で販売中。2024年1月5日まではSteamウィンターセールで税込1584円に値引きされています。カードゲームの「ダメージ計算」要素が大好きな人はぜひ遊んでみてください。

Steam で 20% オフ:ファントムローズ2 サファイア
https://store.steampowered.com/app/1964200/_/?l=japanese


また、2024年1月8日23時59分まで応募を受け付けている以下のプレゼント企画でもゲームコードを景品として用意しています。

GIGAZINE冬のプレゼント大放出企画「アンケートに答えて全部持っていってください!」 - GIGAZINE


おまけ:自腹で買ってやり込んでる編集長からの攻略のヒント集

◆戦略の軸になるカードいろいろ
・「ゼロ距離回避」はバフ加算ができる
例えば、バリアが十分にある状態なので「ゼロ距離回避」が不要であったとしても、「出血」などのバフ効果時間を延ばすため、まず「ゼロ距離回避」してから連続でバフを自分に与えることで、通常よりも長いターンのバフを生み出すことができる。1枚のカードで複数の使い方ができるので、強制的に圧縮のかかる本ゲームではかなり有効。他にも同様の「Aにも使える、Bにも使える」というカードがあるので、「カード圧縮でうまく回せなくなって破綻するよー!」という場合は、複数の使い方ができるカードを軸に戦略を組み直すと難易度が下がるよ!


・「ブラッドシャワー」で敵をデバフ
バリアも突破して強制的に出血にできるため、敵がデバフであれば強力な効果を持つ攻撃カードとの組み合わせが抜群。


◆クールダウン時間減らし系を入れるとくるくる回せる
このゲームは手持ちの全カードが好きな順で使えるが「クールダウン」していると使えない。つまりいかにしてクールダウンを短くするのかというのが最も重要になるので、「レベルの低いカードから高いカードまでまんべんなく入れる」というオーソドックスな戦略以外に、「クールダウン時間を短くする」という戦略が組めるカードをいっぱい入れるという手もかなり有効。


カードだけでなく、「ハトのバッジ」のように、フェーズ終了時にまったく攻撃できずガード一辺倒だった場合に全カードのクールダウンがさらに減るというのを入れるのもかなりアリ。


中でも特にオススメがレベル7「スターシールド」、フェーズ1という縛りがあるものの、全カードのクールダウンは強すぎ。


レベル3「憤慨」もお手軽な良カード。レベル3なのでこのカード自体のクールダウンが短いためです。


これらのクールダウン系を揃えていくと攻撃力の強いカードを使いまくることになり、必然的に敵を撃破するまでのフェーズ数も短くなるため、3フェーズ以内に敵を倒すと全カードのクールダウンが1減る「破れた呪文書」がものすごく発動しまくります。


「俊敏のヒール」もフェーズ1で使用するカードのクールダウンを2減らすので戦略の幅が広がります


そしてとどめがこのぶっ壊れアイテム「マナポーション」、全カードのクールダウンをリセット


◆敵のバフを減らす
難易度を上げて進めていくととにかく「敵のバフがきつすぎる」となっていくため、敵のバフ時間を減らすのもかなり有効。特にレベル7「イージスピアス」は相手のバフ時間を減らす、フィールド上の順番の分だけバリアを増やす、しかも攻撃力は9、という感じで極めて強力。1枚あるだけでかなりラクできてオトク。


◆レヴェリーの売ってるカードは戦略の軸になるカードのヒント
普通のローズではなく、特別なローズで購入できるレヴェリーのカード、一見すると「レベルの高いカードなのだな~」という感じですが、基本的に「この1枚と何か別のカード達を組み合わせることで1つの戦略になる」という軸のカードが多め。現時点で持っているデッキ内のカードとの組み合わせを考えて「これでならいけそう」という組み合わせができるのであれば即買いすべき。特にレヴェリーとのその難易度での初回遭遇時、最初の4枚で良いのが見当たらない場合、左下の「引き直す」を押すべき。とにかく最初の時点で「良い感じの組み合わせ」を作っているかどうかが非常に重要。


例えばレベル7「エナジーストライク」はボス戦で必殺の一撃をたたき込めるので超便利。ボス戦は必然的に長期化する傾向にあるため、フェーズが進みまくっていくに従い、無条件でどんどん強くなっていくこのカードは非常に優秀。バリア系をガン積みするのが好きであればフェーズを重ねることになるのでお役立ち。


◆積極的に生徒を救出
途中で女の子の顔アイコンがある場合、普段より強い敵と戦うことになるものの、クリア後にHP10回復と同時にカード2枚、そしてアイテムがもらえます。


もらえるカードも割と強力


こんな感じでいろいろもらえます


◆デッキ上限を上げまくる
ゴールド以上の難易度で出てくる「ヴァローラの祝福」では「デッキアップ」が可能。デッキ上限の枚数を1増やせます。


生徒を救出したときなどにゲットできる「カードケース」もデッキのカード上限を1増やせるので必須。


◆XPブースターと持ち物上限は最優先で解放
何度も何度もプレイすることになるので一番最初に「XPブースター」、それから「持ち物上限解放」が良い感じ。


永続的に増えるので戦闘がかなりラクになります


ちゃんと何かする旅に細かくこういうイラストが挿入されるのもこのゲームの良いところ


◆持っているとかなり助かるアイテム
・エステルファンクラブの会員証
エステルはアイテムを4個まで交換可能。なので、持っているアイテム4個をとにかく交換。


すると全ファントムのHPを10%下げるというとんでもないアイテムゲット。ラスボスにも有効なので、問答無用で最初から一撃入れているようなもの。1フェーズ分オトクになったようなものなので激烈に効きます。


似たような効果だと「ヴァローラの祝福」にある「神聖なオーラ」も最大HPを2減らしてくれるので、この会員証と合わせると良い感じになります。


◆レベル2のカードは捨てるな
基本的に「圧縮」よりもどんどんカードを積んでいく「タワー」型の戦略が有効であるため。初期に持っているレベル2のカードが有効な場面が非常に多いです。

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