サイエンス

筋トレの時にはタンパク質を取れば取るほど筋肉の成長が促される可能性


ヴァーヘニンゲン大学などの研究チームが、タンパク質を摂取すればするほど運動後の筋タンパク質合成の効率が高まることを報告しています。

The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans - PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38118410/


A New Study Challenges Conventional Wisdom on Protein Consumption - Trail Runner Magazine
https://www.trailrunnermag.com/nutrition/a-new-study-challenges-conventional-wisdom-on-protein-consumption/

これまでの研究では、健康な若者の場合、運動後の筋タンパク質合成効率を最大化するためには、20~25gのタンパク質を摂取するだけで十分で、それ以上のタンパク質を摂取しても合成効率は向上せず、余分なアミノ酸は酸化してしまうと考えられてきました。そのため、1食につき20~25gのタンパク質を摂取することが推奨されていました。


しかし、研究チームは、ヘビが1度エサを食べると10日間かけて消化やタンパク質合成を行うことを例に出し、「人間の食事摂取パターンに基づけば確かに理にかなっていますが、大量の食物を摂取することが少ない自然界の多くの動物の食習慣とは相いれないように思います」と指摘。

研究チームによると、これまでの研究は被験者に45gのタンパク質を摂取し、6時間経過後のタンパク質合成具合を確認するだけにとどまっていたとのこと。しかし、45gという量では、筋タンパク質合成に関する問題を解決するには不足しているとされています。

そこで研究チームは、36人の男性被験者に対し自転車を5分間こぐトレーニングを課した後、レッグプレスやレッグエクステンション、ラットプルダウン、チェストプレスをそれぞれ10回ずつ、合計4セット行わせました。運動の際には、研究チームから被験者に対し励ましの言葉がかけられたそうです。


また、被験者は3つのグループに分けられ、プラセボ、乳タンパク質25g、乳タンパク質100gのいずれかが与えられました。さらに研究チームは被験者1人1人からトレーニング後12時間で13回の血液採取と4回の筋生検を行いました。

実験の結果、100gの乳タンパク質を摂取したグループは、25g摂取したグループよりも筋タンパク質合成が12時間で約30%増加したことが判明しました。また、トレーニングを行って4~12時間の期間では、筋タンパク質合成の効率が約40%まで向上したことが報告されています。

研究チームは「今回の実験から得られたデータは、非常に大量のタンパク質を摂取しても効果的に利用されることを示しています。また、完全にタンパク質が消化され、アミノ酸が体内の組織に取り込まれるには、従来の想定よりも長い時間が必要であるという私たちの仮説を裏付けてくれました」と述べました。

また、研究チームのヨーン・トロンメレン氏は「アミノ酸の酸化速度は、全身のタンパク質合成速度の増加には遠く及びませんでした」と報告。さらに「従来の食事ガイドラインは、筋タンパク質合成をサポートするために、毎日のタンパク質摂取量を食事ごとに分割することが推奨されています。これらのガイドラインは、筋タンパク質合成反応が可能なタンパク質には上限があり、合成は短い時間で行われるという考えに基づいています」と指摘しています。


結論として研究チームは「筋肉の成長をさらに促すためには、柔軟な摂食パターンを取ることが重要です」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1r_ut

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