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Spotifyが「Appleの新しいルールはデジタル市場法の順守を装っているが実質的に無視している」と批判


AppleはEUが施行したデジタル市場法(DMA)に対応するため、App Store外でのiOSアプリのサイドローディングを認めるなど、さまざまな変更を発表しています。ところが、音楽サブスクリプションサービスのSpotifyが自社ブログにおいて、「Appleはデジタル市場法を無視している」と批判しました。

Apple’s Proposed Changes Reject the Goals of the DMA — Spotify
https://newsroom.spotify.com/2024-01-26/apples-proposed-changes-reject-the-goals-of-the-dma/


Exclusive: Apple faces 'strong action' if App Store changes fall short, EU's Breton says | Reuters
https://www.reuters.com/technology/apple-faces-strong-action-if-app-store-changes-fall-short-eus-breton-says-2024-01-26/


AppleはEUのデジタル市場法によるゲートキーパー指名を受けたことで、2024年1月25日にEU圏でApp Store外でのiOSアプリ配布とApp Store外部での決済を認めることを発表しました。

Appleがデジタル市場法を受けてEUでのサイドローディングとApp Store外決済を認めるも厳しい条件や新しい手数料が追加される - GIGAZINE


Spotifyは2019年より欧州委員会にAppleへの規制を行うよう求めてきており、デジタル市場法の成立後にはAppleが法律の条文とその思想に従うと考えてきたとのこと。ところが、Appleの設定した新たなルールでは法律の順守を装った新たな税金が課されるだけとなっており、Spotifyはブログにて「Appleの傲慢(ごうまん)さのレベルが新しいレベルに引き上げられた」「全くの茶番劇」と批判しています。

Appleの新たなルールは下記の通り。EU圏のアプリ開発者は、従来のルールか新たなルールのどちらを適用するかを選択可能です。

・ダウンロードに課金
アプリの開発者はAppleに対してiOSアプリのダウンロード回数ごとに0.5ユーロ(約80円)の「Core Technology Fee(CTF:コアテクノロジー料)」という手数料を支払う必要があります。この手数料は1ユーザーあたり1年に1回のみカウントされますが、初回インストール時のほか再インストール時や自動更新を含むアプリのアップデート時にも発生するため毎年継続的に発生します。仮にユーザーがアプリをダウンロードしただけで一度も起動しなかったとしても手数料が発生するとのこと。

Spotifyは「Appleはデジタル商品の購入に対して手数料を請求しているのにどうして追加の手数料が必要なのか?」と批判した上で、Appleのルールは流動的であり今後この手数料が上昇する可能性があることについても警告しました。

・外部の支払い方法を利用しても依然として17%のApp Store使用料を請求される
外部の決済手段を利用することで3%の決済手数料をAppleに支払わずにすみますが、コアテクノロジー料に加えて売上の17%のApp Store使用料が請求されるため、人気のあるアプリの場合はほとんどのケースにおいて以前のルールと同等かそれ以上の料金をAppleに支払うことになってしまいます。

・代替ストアを利用可能
App Storeからの配布をやめて代替ストアを使用した場合にはApp Store使用料を請求されませんが、ここまで削減してもコアテクノロジー料だけでユーザー獲得コストが10倍になる可能性があるとのこと。

コアテクノロジー料の存在によって無料アプリやフリーミアムアプリが存在できなくなる可能性は、他の開発者からも指摘されています。

AppleがiOSアプリに課す1インストール当たり約80円の「コアテクノロジー料」が無料アプリやフリーミアムアプリの開発者を破産させる可能性 - GIGAZINE


Spotifyはブログにて、「実質的に新たなルールの選択をさせないようなルール設定が行われており、デジタル市場法の目標を完全に否定している」とAppleを批判しました。

Appleの新たなルールについてはSpotify以外にもティルブルフ大学法学部の教授であるダミアン・ジェラディン氏による「Appleは真剣にデジタル市場法に対応しておらず、デジタル市場法とアプリ開発者の両方を軽視している」という批判など、さまざまな批判が寄せられています。

こうした状況のなか、欧州委員会委員域内市場・サービス担当のティエリー・ブルトン氏はロイターの取材に対し「提案された解決策が十分でない場合は、ためらいなく強力な措置を講じる」と述べました。

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