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理由もなくInstagramアカウントを削除されたカフェのオーナーが自ら代理人として出廷してMetaに法廷闘争で勝利


近年は飲食店やカフェの宣伝をする上でSNSを活用することの重要性が高まっていますが、何らかの理由でSNSアカウントを削除されてしまうと、店舗の経営に大きな打撃となってしまいます。何の理由もなくInstagramアカウントを削除されてしまったカフェのオーナーが、自ら代理人として法廷に出廷して大企業であるMetaに勝利した事例が、アメリカ・ニューハンプシャー州のローカルメディアであるSeacoastonlineで取り上げられています。

Teatotaller cafe owner wins Instagram case in court
https://www.seacoastonline.com/story/news/2024/01/26/teatotaller-cafe-owner-wins-instagram-case-nh-supreme-court/72345276007/


エメット・ソルダティ氏が2011年にニューハンプシャー州で開店した「Teatotaller」は、紅茶やコーヒー、焼き菓子のおいしさに加えて、クィアにフレンドリーなカフェとして評判でした。ソルダティ氏は当初から、メニューやイベントを宣伝して顧客を発見・獲得する方法としてInstagramやFacebookなどのSNSを活用していたとのこと。

ところが2018年6月、ソルダティ氏は自身のInstagramアカウントが削除されてしまったことに気づきました。最初は技術的な欠陥かと思ったものの、24時間が経過しても何も変わらないことから、ソルダティ氏はFacebook(記事作成時点ではMeta)が誤ってアカウントを削除してしまったのだと確信したそうです。ソルダティ氏は、「私はとても心配しました。もう店が存在しないとか、閉店したとか思われてしまうかもしれません。それに、ショーやイベント、特別企画などのオーディエンスと関わるために計画していたことについて、他のコミュニケーション方法を持っていませんでした」と述べています。


残念ながらInstagramのヘルプサポートとのやり取りがうまく進まなかったため、ソルダティ氏はドーバー地方裁判所にFacebookを相手取って少額訴訟を起こすことに決めました。訴訟を起こせば少なくとも問題がMetaの耳に入り、アカウントを返還するか、損失として請求した数百ドル(数万円)が返ってくると思ったためです。

しかし、Metaはソルダティ氏の申し立てに対して強く反発し、まるで本のような分厚さで「Metaにはソルダティ氏のアカウント削除に関する何の責任もなく、訴訟は却下されるべきである」と反論する文書を提出してきたとのこと。この反応はソルダティ氏にとって予想外なものであり、「その瞬間、私はある種の神経を逆なでされたように感じました」と語るソルダティ氏は、Metaとの全面的な法廷闘争に乗り出しました。Metaが弁護のために複数の法律事務所を雇った一方、ソルダティ氏は自らが代理人として出廷して自らの正当性を主張しました。


ソルダティ氏が最初にドーバー地方裁判所に請求を行った際、訴訟は通信品位法230条に基づいて却下されました。通信品位法230条は、プラットフォーム上のコンテンツの公開や削除に関わる申し立てから身を守るためにプラットフォーム側がよく用いる法令であり、Meta側も「いかなる訴訟も通信品位法230条に基づいて免責される」と主張していました。

ところが、ソルダティ氏がニューハンプシャー州最高裁判所に控訴したところ、「Metaは通信品位法230条に基づく免責を受けない」という判決が下されました。これにより、訴訟はドーバー地方裁判所に差し戻されたとのこと。

ソルダティ氏は、何の説明も警告も行わずにアカウントを削除したことで、Metaは利用規約で定められた契約に違反したと主張。これに対してMetaは、「ソルダティ氏は誤って自分でアカウントを削除した」と主張しましたが、ソルダティ氏はアカウントが削除された当日のスクリーンショットを保存しており、Metaの主張には矛盾があることを指摘しました。

ドーバー地方裁判所は2024年1月19日に、「被告(Meta)はアカウント削除について2つの相反する理由を提供し、削除の明確な理由を特定することができませんでした。本法廷は、原告が自らのアカウントを削除していないことを示す責任を果たしたと判断します」として、Metaが契約違反を犯したとする判決を下しました。

ソルダティ氏は、「2018年に最初の少額訴訟を起こした時、私は20代でしたが、もう今は20代ではありません。当時は頭に髪の毛が生えていましたが、今では生えていません。一体どうしてこんなに時間がかかったのだろう、という感じです」とコメントしています。


結局、MetaはTeatotallerのInstagramアカウントを削除した理由については説明していませんが、ソルダティ氏はアカウント削除に理由はなく、単なるミスだった可能性が高いと考えています。それにもかかわらず、Metaが強硬にソルダティ氏の主張を否定して法廷闘争まで展開したのは、「何の落ち度もないのにアカウントを削除されてしまうことがある」と認めることが、Metaにとっての不利益になるからだろうとソルダティ氏は指摘しています。

ソルダティ氏は、「もしもFacebookが技術的なミスを犯し、一部のユーザーアカウントの完全性を損ねたとすれば、それは信用面でのリスクであり、株主にとってのリスクでもあります」と述べました。

ドーバー地方裁判所は、Metaがソルダティ氏に損害賠償を支払うと共に訴訟費用を負担することを命じましたが、最終的な金額は数百ドル~数千ドル(数万円~数十万円)程度になるだろうとみられています。金額自体は大したものではありませんが、ソルダティ氏は「Metaが通信品位法230条に基づいた免責を受けられなかった」という点が、今後大きな影響を与えることになると考えています。

「結局のところこの件は、Metaが『私たちは免責されているため、あなたたちに請求権はない』と主張し、人々に分厚い文書を投げつける慣行を続けることを防ぐ一例になるでしょう。なぜなら、ニューハンプシャー州最高裁判所とニューハンプシャー州ドーバーの少額訴訟を示して、『裁判官がMetaはテストに合格していないと認めた』と主張できるからです」と、ソルダティ氏は述べました。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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