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ついに出るApple初のゴーグル型空間コンピューティングデバイス「Vision Pro」開封&海外レビューまとめ


Apple初となるVR/MRヘッドセット「Apple Vision Pro」が、まずはアメリカで2024年2月2日に登場します。3499ドル(約51万6000円)という価格でありながら、20万台が予約開始直後に完売するほどの注目を集めているApple Vision Proをさっそく開封する様子が、YouTuberのMarques Brownlee氏によってムービーで公開されています。

Apple Vision Pro Unboxing! - YouTube


Apple Vision Proの化粧箱はこんな感じ。


箱を開けると、Apple Vision Proの本体が登場。


その下にはApple製品おなじみの「Designed by Apple in California」というコピーが書かれた紙のケース。


このケースに収まっているのはライトシールクッション。


ライトシールはApple Vision Proのゴーグル部分に装着するスペーサーで、その接顔部分のクッションは2種類の厚さが用意されています。


ライトシールクッションの上には説明書など。


説明書には使い方やセットアップ方法がイラスト入りで掲載されています。


Apple Vision Proのバッテリー。


バッテリー容量は3166mAhで、iPhone 15よりも少ないのですが、重量はかなりある様子。Brownlee氏は「なんでこれほど重いのかはわからない」とコメントしました。


そして充電アダプタとUSB-Cケーブル。充電アダプタの出力は30Wです。


マイクロファイバーの布。Apple純正の布として話題になったポリッシングクロスと同様のものであるようです。


Apple Vision Proの本体ゴーグル部分にはカバーがかけられており、カバーをはずすとガラス製のフロントパネルが見えます。


付属の布はこのフロントパネルをふくためのもの。


ライトシールは注文時にサイズを選べるようになっています。


側面にあるダイヤルを回してヘッドバンドを締めて本体を頭に固定するのですが、重心がゴーグル部分に偏るので、全体的に前方に重さがかかるイメージだとのこと。


そして、Apple Vision Proを持ち運ぶためのケースがこんな感じ。クッション内蔵でしっかりした作りになっているとのこと。


IT系ニュースサイトのThe VergeはApple Vision Proについて、かなり詳細な先行レビューをまとめています。The VergeはApple Vision Proのいいところとして「これまでで最高のパススルーを備えたディスプレイ」「手と視線のトラッキング」「Appleのエコシステムとのシームレスな連携」「空間コンピューティングでのウィンドウの配置」を、悪いところとして「高すぎる価格」「パススルーがぼやける場合がある」「トラッキングの一貫性のなさ」「ペルソナの不気味さ」を挙げています。

Apple Vision Pro review: magic, until it’s not - YouTube


Apple Vision Proの重量は、約515gのMeta Quest 3よりも大幅に重いとのこと。バッテリーは外付けですが、Apple Vision Proは装着しながら動き回ることを想定していないので、約350gあるバッテリーをつけることにそれほど問題は感じないとしています。


Apple Vision ProはMacやiPhoneと接続しなくても動作するスタンドアローン型のヘッドセットデバイスです。そのため、動作に必要なハードウェアはすべてゴーグル部分に内蔵されており、重心が顔にかかってしまうとのこと。The Vergeはこの重量バランスはスタンドアローン型であることとトレードオフだと述べていますが、「Apple Vision Proを数日間使っていると、このトレードオフに価値はあるのかという一連の疑問がわいてきました」とコメントしています。


Apple Vision ProにはM2プロセッサと空間コンピューティング用に開発されたR1プロセッサが搭載されており、それらの熱を排するためのファンが2基搭載されています。The Vergeによると、使用中にファンの音は気にならなかったそうですが、熱を感じることはあったそうです。

スピーカーはヘッドバンドにつながる側面のアームに内蔵されていますが、開放型なので音漏れが気になる、とThe Verge。ただし、AirPods Proを使うことで低遅延・ロスレス48kHzのアダプティブオーディオでサウンドを楽しむことが可能です。

パススルーはゴーグル部分のフロントパネルに内蔵されているカメラで写した映像がディスプレイに表示される機能ですが、遅延はわずか12ミリ秒しかなく、映像も非常に安定しており、パススルーの品質には問題がなく、The Vergeは「これまで一般の人が体験できるものの中で最も鮮明なパススルーです」と評価。ただし、あくまでもパススルーなので、モーションブラーやノイズが出てしまうそうです。また、Apple Vision Proの水平視野についてAppleは正確な数値を明らかにしていませんが、The Vergeによれば水平視野角110°のMeta Quest 3よりも確実に狭かったとのこと。


Apple Vision Proでは手と視線の動きを追跡するトラッキングで操作が可能ですが、精度はかなり高く、「まるで超能力のように感じた」とThe Vergeは述べています。ただし、視線トラッキングの採用によって、「自分がコントロールしたいものを見なければならない」というのは作業においてかなり気が散る要素であるとコメントしています。

The Vergeは、目の前の空間にウィンドウを配置して作業を行う空間コンピューティングを高く評価していますが、大量のウィンドウが空間中に存在するものの、それらを管理する機能がないため、改善の余地があるとしています。

また、自分の顔を読み込んでアバター化する「ペルソナ」については不気味だとして、The Vergeは否定的な評価を下しています。


The Vergeは「Apple Vision Proは驚くべき製品です。これは、信じられないほどのディスプレイとパススルーエンジニアリングから、エコシステム全体を利用してシームレスに便利にすること、さらには外部バッテリーの状況全体をほとんど無視させることまで、Appleだけが本当に作ることができる第1世代のデバイスです」と述べ、Appleの挑戦的姿勢を評価しました。

しかし、Apple Vision Proの核となるアイデアのいくつかが中途半端になってしまっていると指摘。さらに「Apple Vision Proの体験は非常に孤独な体験です。あなたはそこにいても、他の人は参加できません。Apple Vision Proをしばらく使用した後、私はティム・クックが長年言っていることに同意するようになりました。ヘッドセットは本質的に孤立しているということです。Apple Vision Proで仕事はしたくありません。私は他の人と一緒に仕事をしていて、むしろ他の人と一緒にここにいたいと思っています」と語り、他者とのコミュニケーションが求められる場には合わないと論じました。


ハードウェア関連ニュースサイトのTom's GuideはApple Vision Proについて、「近未来的な視線と手の動きを追跡するインターフェイス、息をのむような3D映像、感動的なARアプリケーションを提供する、本当に素晴らしい製品」と述べ、5段階中4という評価を下しています。Tom's Guideは、実際にApple Vision Proでメインインターフェースを操作する様子を以下のムービーで公開。セットアップは非常に簡単で、操作自体は手で行うので直感的ですぐに慣れたとのこと。

Apple Vision Pro: Main interface and scrolling - YouTube


また、Tom's Guideはさまざまなコンテンツについてもレビューしています。特にゲームについては、キラーコンテンツこそないものの、ハンドトラッキングで操作できるARゲームは新感覚だと評価しており、iPad向けのゲームを大画面でプレイできるのもApple Vision Proの体験とマッチしているとコメント。

Apple Vision Proには、使用中にフロントパネルに使用者の目を映し出す「EyeSight」という機能が搭載されています。部屋に他人が入ってきた時にEyeSightが起動すると、使用者の視界には光のちらつきが一瞬映るとのこと。そして、相手と会話を開始すると自分の視界に相手の顔が入ってくるそうです。Tom's Guideは「微妙な効果で見た目はやや不気味ですが、効果はあります。しかし、それでもヘッドセットを一時的に外すことに代わりはありません」と述べており、EyeSightの効果を認めながらも、結局Apple Vision Proを外した方がスムーズであるとしています。

EyeSightで他人と会話する時にApple Vision Proのフロントパネルとディスプレイに表示される画面がどう変化するのかについては、IT系ニュースサイトのCreativeStrategiesが公開している以下のムービーで、1分54秒あたりから確認できます。

My Experience with Apple Vision Pro - YouTube


Tom's Guideは「Apple Vision Proはその価格のせいで敬遠されがちですが、実際に装着してすべての機能を試してみると、初代iPhone以来最も革新的なApple製品であると主張します」と述べています。Apple Vision Proに対応したアプリが少なく、ソフトウェア面でまだ初期段階にあることは認めながらも、Apple Vision Proのトラッキングや空間ビデオ体験は比類のないものだと評価し、Apple Vision Proは間違いなく革新的な製品ではあるものの、「現在進行中の革新である」と論じています。

経済メディアのCNBCは、Apple Vision Proの体験についておおむね高い評価を下していますが、やはり一部のアプリが対応していないことが残念だと述べています。特に、パスワード管理アプリである1Passwordが対応していないため、一部のアプリにログインするのがやや面倒だったとのこと。また、一部のiPadアプリはApple Vision Pro上では動作せず、動作してもバグが発生することもあったそうです。これについては今後開発者による最適化が望まれます。

CNBCは、Apple Vision Proで得られる体験はここ数年で最もエキサイティングだとしつつも、やはりApple Vision Proの3499ドルという価格が高すぎるとコメント。2000ドル(約29万5000円)近くであれば選択肢としてはアリではあるものの、それまではニッチな製品になるかもしれないと述べています。

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in ソフトウェア,   ハードウェア,   動画, Posted by log1i_yk

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