ハードウェア

光学式マウスを改造してウェブカメラにする方法


光学式マウスを裏返すと、赤や青のライトが点灯しています。このライトは、マウスの動きを認識するセンサーの役割がありますが、そのセンサーを応用してマウスを改造することで、マウスで写真や映像を撮影できるウェブカメラに変身させたムービーが公開されています。

I Hacked a Mouse into a Camera! - YouTube


ムービーでは、まずLogicoolマウスを分解しています。上下のカバーを取るにはネジを外す必要がありましたが、その中の回路基板は簡単なクリップでとめられているのみで、意外と楽にセンサーまでアクセスすることができたとのこと。


センサーには小さなカバーがかぶさっており、これを外すことで中を確認できます。


以下は、カバーを外して露出したセンサー部分を顕微鏡で拡大して見た様子。左側の白っぽい長方形のエリアが制御回路で、ワイヤ・ボンディングによって接続されています。右側の網状のように見えるのが、光を電気信号に変えるフォトダイオードアレイ


センサーは、以下のようなプレキシガラスのディスクの上に取り付けられていました。ディスクにはマウスがドラッグされている面にLEDからの光を向けるプリズムが含まれています。そして、小さなレンズがフォトダイオードアレイに映した像を投影します。


マウスの回路に直接アクセスするために、ムービーではオシロスコープを用いて電圧の変化を確認しています。オシロスコープの計測結果により、マウスのセンサーが「マウスの動きを捉えて、それを内部に伝える」という動作をどのような信号を与えることで実行可能かを知ることができました。


オシロスコープの計測結果をもとに、回路同士の信号をそろえるためのクロック信号を制御するピンと、データを送受信するピンにアクセスするべくはんだ付けを行います。


そして、マイコンボードに回路を接続。


これにより、マウスのセンサーがどのような図を受け取って送信しているのか、視覚化できるようになりました。最終的な目標は、マウスセンサーのフォトダイオードアレイが受け取った信号を、ウェブ上に用意したキャンバスに映すことでウェブカメラのようにするという形です。理論上は、センサーの制御回路に任意の値を書き込むことで、センサーが画像をキャプチャしてデータを送信します。


試しに、マウスを20ユーロ札の上に置いて小さく動かしてみました。すると、距離が近すぎるためモザイク状の像ではありますが、ウェブ上のキャンバスでもピクセルが動いていることがわかります。ムービーによると、この時の解像度は18ピクセル×18ピクセルだそうです。


解像度が低すぎて認識できなかった画像を、OpenCVの画像補完処理にかけたところ、20ユーロ札の左上にあるEUの旗に含まれた小さな星を認識できるようになりました。しかし、現状だとマウスを使った「顕微鏡」という感じで、「カメラ」と呼ぶには撮影できる範囲が小さすぎます。


そこで、回路基板に新たなモジュールを追加。


その後、プレキシガラスのディスクを変更します。通常のマウスは、テーブルやマウスパッドに焦点を合わせるように、かなり近い位置に焦点が合うよう設計されています。そのため、カメラのように遠くにある物体を捉える形に改造する必要があります。


さまざまなレンズを検討した結果、Raspberry Piカメラ用の広角レンズに決定。


マウスのセンサー基板にレンズを取り付けた様子が以下。


完成したマウスカメラで最初に撮影してみたところ、「人が手を振っている」というシルエットはわかるものの、やはり解像度がかなり低く、モザイク状になってしまいます。うまく焦点を合わせることが難しいこともあり、より認識しやすい画像にするためには、撮影した映像を画像補完する必要があります。


そこで、3Dプリンターを用いて、レンズの焦点を安定させるためのフォーカシングレンズアセンブリを設計。


作成したアセンブリはプレキシガラスのディスクと置き換えることで、安定性が向上します。


全てのパーツが完成したので、改造した基板やアセンブリなどをすべてマウスの中に戻していきます。


最後に、マウスの光学式センサー部分にレンズを取り付けて完成。


マウスカメラを固定して、レゴの人形を映してみた様子が以下。モノクロでかなりぼやけた映像ではありますが、当初に比べるとはっきりとした映像になりました。センサーの読み取り速度は1秒あたり約3フレームで、これ以上高くするとビットエラーが発生するため、投稿サイト向けのムービーの撮影などには使えないとのこと。


より単純な「いいねマーク」を映してみたところ、画像補完なしでもはっきりと形がわかるようになりました。

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1e_dh

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