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過去・現在・未来に起きるあらゆる出来事はすべてあらかじめ決まっているのか?


未来に起こることは現在何が行われるかによって決まるかのように思えますが、過去・現在・未来に起こる出来事はすべてあらかじめ決まっているという考えも存在します。そんな過去・現在・未来に関する時間の概念について、チャンネル登録者数2180万人のサイエンス系YouTubeチャンネル・Kurzgesagtが解説しています。

Did The Future Already Happen? - The Paradox of Time - YouTube


子どもが紙に絵を描くように宇宙が存在すると想像してみてください。それぞれの絵はある瞬間に宇宙で起こるすべてのことを表しているとします。


「人が生まれる」「銀河文明が拡大する」「バスに乗り遅れる」など、あらゆる場所、あらゆるタイミングで起こる出来事が描かれています。


過去・現在・未来のあらゆる瞬間をひとまとめにすると、映画のようなものが出来上がります。


過去は以前起こったことで、今はもう干渉のしようがありません。未来はまだこれからやってくることであるため、まだ何が起こるかは不明です。これが一般的な時間の感じ方であるはず。


しかし、もしも時間という概念が前述のものとは全く異なるものだとしたらどうでしょう。過去・現在・未来のあらゆる瞬間は、宇宙という名の子どもが描いた絵であり、この絵はすでに描き終わっているとします。


もしそうだとすれば、宇宙のすべての歴史はひとつのブロックにまとめられていると考えることができます。これまで存在した、あるいはこれから起こるすべての瞬間が決まっているというわけです。


しかし、このブロックの中では、過去も現在も未来も等しく現実であり、同時に存在しているということになります。そのため「これは間違っている」と感じる人も多いかと思います。私たちが現実だと認識するのは、今起きていることだけだからです。


しかし、相対性理論では過去・現在・未来がすべて同時に存在せざるを得ません。それは相対性理論では時間と空間は分離しているのではなく、ひとつのつながった時空であるとされているためです。


時間の流れは人によって異なり、空間の中での相対的な動き方によって時間の進み方は異なるということになります。


ある人が「今」と認識するのは、時空という名のブロックを特定のアングルでカットした際の断面に過ぎず、別の人の「今」(断面)とは微妙に異なるというわけ。


つまり、あなたが「今」だと思っているのはあなたの「今」に過ぎず、宇宙にはさまざまな「今」があり、そのすべてが等しく実在しているということです。これは普遍的な過去や未来が存在しないことを意味します。


例えば、100万光年先に3隻のエイリアンの宇宙船が存在するとします。


そのうちのひとつ(宇宙船1)は地球に対して相対的に動くことなく宇宙空間を漂っているとします。


その場合、地球と宇宙船1は同じ「今」を体験することになります。時間と空間を超越して会話することができる魔法のような通信手段が存在するなら、お互い同じ今(2024年)を体験することとなります。


2隻目の宇宙船(宇宙船2)は、人間のロケットの約3倍の速さ(秒速30km)で地球から遠ざかっているとします。


地球の存在する時空と、宇宙船2の存在する時空は異なります。そのため、宇宙船2の「今」と地球の「今」は異なることとなります。


魔法のような通信手段があって通信することに成功した場合、宇宙船2は1924年の地球と通信することになってしまうわけです。


3隻目の宇宙船(宇宙船3)は、地球に向かって近づくように移動しているとします。


この場合、魔法の通信手段で宇宙船Cから地球に連絡を入れると、宇宙船Cは2124年の未来の地球と通信することになります。


つまり、3隻の宇宙船にはそれぞれ異なる「今」があるわけです。


宇宙のすべての観測者の視点が等しく有効であるなら、あなたの過去・現在・未来はすべて同時に存在しているということになります。なぜなら、異なるエイリアンにとって、それらはすべて同時に起こり得るものだからです。


そのため、過去・現在・未来の区別は存在しないも同義であるとKurzgesagtは指摘しています。宇宙は映画のように時間と共に変化するものではなく、過去・現在・未来がすべて共存し、実在する静止したブロックのようなものであるとKurzgesagtは説明しています。


観測可能な宇宙の外にある銀河系について考えてみます。たとえそこに行くことができず、見ることができなくても、それは現実に存在します。


これは未来についても同じことが言えます。


「宇宙では物事は起こりません。宇宙はただ『ある』のみで、氷の塊のようにこれから起こることすべてがすでに決定しています」とKurzgesagtは説明しています。


それでは未来に起こることはすべてすでに決まっているのでしょうか。すべての時間が共存し、等しく実在するのであれば、未来はすでに決まっているようなものです。しかし、あなたがすべての可能性を経験するわけではありません。つまり、自分の決断で未来を形作ることができるわけです。


バスに乗り遅れないように、「YouTubeを再生するのを止める」と決めるのは、まさにあなたの意志次第です。


量子物理学によれば、量子は本質的にランダムです。


例えば、放射性原子があったとして、それが崩壊するのは次の瞬間かもしれないし、100万年後かもしれません。明日崩壊する確率を計算することはできても、崩壊するかどうかを確実に言い当てることは不可能です。


しかし、量子は世界を変えることができます。ある原子が崩壊した際、近くの哺乳類に遺伝子変異を起こすとします。この場合、突然変異から何世代も時間が経過して意味不明なアヒルと哺乳類の奇妙な生命体を作り出す可能性もありますが、同時に原子が崩壊せず奇妙な生命体が生まれないという可能性も存在することになります。


つまり、量子が本質的にランダムなのであれば、未来が定まることはないということになるわけです。


あなたや宇宙人、原子といった個々の物体にとって、過去・現在・未来は常に明確に定義されています。例えば生命体の場合、死は常に誕生の後に起こるはずです。


生とし生けるものは、すべて誕生と死の間に存在しているはずです。そのため、少なくともあなたにとっての「今」は完全に理にかなったものであるはず。


宇宙の裏側に行ったり、おかしな方法を使ったりして「今」が何を意味するのかを探るような奇妙なことを行わなければ、物事は秩序だった素敵なものに見え始め、個々の「今」が明確に存在するように見えるはずです。


しかし、現在は無数の「今」をつなぎ合わせて作られたものであり、それぞれが宇宙の誰か、または何かによって経験された、それぞれが等しく現実的で妥当なものであるはずです。つまり、すべての観測者がそれぞれの役割を果たすことで、宇宙の「今」が定義されることになります。


放射性原子が崩壊し、新種の哺乳類が誕生し、人々がバスに乗り遅れる。新しいことが起こり、不確かなことが確かなことになると、境界線は移動し、宇宙に新しい時間が生まれます。すでに確定している未来が起こるのではなく、さまざまな「今」に連鎖して新しい「未来」が起こると考えるのが自然かもしれません。


ただし、真実は誰にもわかりません。今回学んだのはあくまで時間を表現する可能性についてで、科学者の中には「今」という概念は自分の近くにしかなく、宇宙全体では意味をなさないと考える人もいます。また、時間という概念自体が存在しないと考える人もいます。


他にも、時間は存在するものの、それは宇宙の基本的な特徴ではないと考える人もいます。「時間は個々の分子の運動から熱が生まれたり、生命が生まれたりするように、現実のより深いレベルから生まれるものなのかもしれません」とKurzgesagtは締めくくっています。

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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