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中国からのアクセスを防止したと主張するTikTokの試みは成就しておらずユーザーのIPアドレスなどが中国親会社と共有されているとの指摘


TikTokは「アメリカのデータはアメリカの拠点で管理し、中国に拠点を置く親会社ByteDanceからはアクセスできないようにしている」と主張しています。ところが、ウォール・ストリート・ジャーナルの調査によって、依然としてアメリカのデータが中国本社と共有されている実態が明らかになりました。

TikTok Struggles to Protect U.S. Data From Its China Parent  - WSJ
https://www.wsj.com/tech/tiktok-pledged-to-protect-u-s-data-1-5-billion-later-its-still-struggling-cbccf203

TikTok's Pricey Plan to Wall Off Americans' Data Isn't Going Well - The Messenger
https://themessenger.com/tech/tiktok-project-texas-american-data

Some IRS employees still access TikTok despite ban on government devices | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/01/30/some-irs-employees-still-access-tiktok-despite-ban-on-government-devices/

TikTok tests a feature that automatically links products to videos
https://mobilesyrup.com/2024/01/30/tiktok-tests-a-feature-that-automatically-links-products-to-videos/

TikTokは「アメリカ人のデータを中国側が閲覧できる状態にあるのでは」というアメリカ政府の疑いを晴らすため、15億ドル(約2000億円)以上をかけてデータ流出阻止のための取り組みを実施しています。この取り組みは「プロジェクト・テキサス」と名付けられたチームを中心に行われているのですが、ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に応じた現社員と元社員、そして内部文書から、プロジェクトがうまくいっておらず、ユーザーのメールアドレスやIPアドレスなどが流出している可能性が指摘されています。


情報によると、プロジェクト・テキサスには2000人以上が配属されているものの、会社からのPC支給が遅れていたり、毎日見直す必要がある大量のデータやコードをさばききるだけの人員が不足していたりするなど、多くの問題が発生しているとのこと。また、ByteDanceの管理職がプロジェクト・テキサスの従業員に対して「ByteDanceの従業員とユーザーデータを共有せよ」と指示することもあったとされています。


一部の地方当局は政府職員のデバイスからTikTokをアンインストールするよう命じており、ホワイトハウスも連邦政府のデバイスからこのアプリを削除しようとしていますが、その取り組みはうまくいっていません。

特にアメリカ内国歳入庁(IRS)の一部の職員が政府端末でTikTokを使用していることが発覚してからは、税制・IRS監視小委員会の上院議員らによりその正当性が問い詰められる事態に発展しています。


監察部門の調査によると、IRSの犯罪調査部門の職員はPCとモバイル端末の両方でTikTokにアクセスできる状態にあり、実に2800台のモバイルデバイスがTikTokにアクセス可能であることが判明したとのこと。IRSは「職員のTikTokへのアクセスは特に禁止していない」「TikTokはサードパーティのソフトウェアを介してのみ実行されているため現状は問題ない」と説明。さらに、「従業員のアクセスを完全に遮断する計画を打ち出すべき」との指摘にも「その必要はない」と反論しています。

海外メディアのTechCrunchは「今回の事例はTikTok禁止令がいかに強制力のないものであるかを示しており、すべてのアメリカ人を対象に禁止令を施行したらどうなるのかを予見させるようなものだ」と批判しました。


アメリカから排斥されかかっているTikTokは主流の短編動画配信サービスと並行して「アプリ内ショッピング」の拡張実験を行っており、AIを使って動画内のオブジェクトを識別し、既存のショッピングサービス「TikTok Shop」から類似商品を提案するような機能を試して売上拡大を目指しているとのこと。Bloombergによると、TikTokはTikTok Shopにおける売上をアメリカだけで175億ドル(約2兆5800億円)に到達させることを目指しており、AIを活用した新機能は野心的な目標達成の一助となる可能性があるそうです。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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