乗り物

自動運転車開発プロジェクトが破綻したAppleがかつて進めていたテスラの買収が失敗した要因とは?

by Automobile Italia

10年以上の長期間にわたりAppleが進めていたとされる独自の自動車開発プロジェクトの「Project Titan(プロジェクト・タイタン)」がキャンセルされたことが報じられています。このプロジェクトにおいてAppleはかつて電気自動車(EV)メーカーであるテスラの買収を検討していましたが、とある理由で買収計画は頓挫しています。

Behind Apple’s Doomed Car Project: False Starts and Wrong Turns - The New York Times
https://www.nytimes.com/2024/02/28/technology/behind-the-apple-car-dead.html

NYT: Apple held talks with Elon Musk about buying Tesla, planned to use Siri instead of a steering wheel for Apple Car - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2024/02/28/apple-car-tesla-siri/


RIP to the Apple Car, we hardly knew ye - The Verge
https://www.theverge.com/24085629/apple-car-dead-project-titan-ev-driverless-robotaxi

2015年頃からAppleが進める独自の自動運転車開発プロジェクトのプロジェクト・タイタンは、自動運転を担うソフトウェアやアルゴリズムの開発、製造コストの削減などに難航した結果、ついに2024年2月、プロジェクト・タイタンがキャンセルされることを最高執行責任者であるジェフ・ウィリアムズ氏とプロジェクト・タイタン担当ヴァイスプレジデントであるケビン・リンチ氏が従業員に対して伝えたことが報じられています。

Appleが自動運転車開発プロジェクトをキャンセルしたとの報道、10年以上の開発に終止符か - GIGAZINE


プロジェクト・タイタンは当初、Appleが将来的なiPhoneの販売数の鈍化を恐れ、当時2兆ドル(約300兆円)もの市場価値があるとされる自動車産業に目を向けて2014年に立ち上げたプロジェクトです。

プロジェクトの立ち上げ以降、Appleは自動運転車の開発を行うために同業他社であるテスラから多数の人員の引き抜きを行いました。

プロジェクト・タイタン発足直前の2013年、テスラは2017年~2019年初頭のモデル3の量産に苦しんでおり、イーロン・マスクCEOはAppleに対して当時の市場価値の約1/10、一株当たり約240ドル(約3万6000円)でのテスラ買収を持ちかけました。

イーロン・マスクが過去にテスラをAppleに売却しようとしたことを明らかに - GIGAZINE


Appleのティム・クックCEOはテスラの売却に向けた会合への出席を拒否したそうですが、テスラの買収に興味がなかったわけではなかったようで、2013年にその後、クック氏はマスク氏に対して「テスラをAppleに売却する」ことを改めて持ちかけたそうです。その際、マスク氏はAppleによる買収に興味を示したものの、クック氏に対して1つの条件を提示。その条件について、海外メディアのウォール・ストリート・ジャーナルの記者であるティム・ヒギンズ氏が執筆した「Power Play」という本に詳細を記しています。


「Power Play」によると、マスク氏はテスラ売却の条件として「自分がCEOに就任すること」を挙げたそうです。これに対してクック氏は、2014年にAppleがBeatsを買収した際、創設者のジミー・アイオヴィン氏がBeatsにとどまったことを例に挙げ、「テスラのCEOとしてとどまるのは当然のことです」とマスク氏に伝えたとのこと。

しかし、マスク氏はクック氏に、「そうではなく、AppleのCEOに就任することが条件です」と述べました。思いがけない条件を突きつけられたクック氏は「ふざけるな!(Fuck you!)」と言い残し電話を切ったとのこと。この1本の電話でAppleによるテスラの買収が頓挫したと、「Power Play」は伝えています。

なお、クック氏とマスク氏はテスラの売却に向けたやり取りが行われた事実を否定しており、クック氏は「マスク氏と直接話したことはありませんが、テスラには大きな称賛と尊敬の念を抱いています」と述べています。

Indeed. Both Cook & I have been clear publicly that we have never spoken or otherwise communicated. I tried to speak to him & he declined.

Nor have I ever expressed any interest in running Apple to anyone. Cook is, all things considered, obviously doing an incredible job.

— Elon Musk (@elonmusk)


海外メディアのニューヨーク・タイムズは「テスラの買収が失敗に終わったことで、他社を買収して自動運転車の開発を進めるよりも、Appleは独自の自動車を開発を行う方が理にかなっていると判断したようです」と述べています。こうしてAppleの自動運転車開発プロジェクトである「プロジェクト・タイタン」が誕生したというわけです。

なお、ニューヨーク・タイムズによると、Appleが開発を進めていたとされる自動運転車にはハンドルが存在せず、その代わりに音声アシスタントのSiriが搭載され、ユーザーがSiriを用いて制御を行うという計画が進められていたとのこと。


また、Appleの自動運転車のデザインについて、「Appleの元デザイナーであるジョナサン・アイブ氏が6つの窓と湾曲した屋根を持つフィアット・600のような自動車のデザインをクック氏に提示した」ことが報告されています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Appleが独自の自動運転車「Apple Car」のテストドライバーチームの規模を拡大していたことが明らかに - GIGAZINE

Appleの自動運転車「Apple Car」の発売が2028年になるとの報道 - GIGAZINE

発表前の段階からApple製の自動車はテスラ車以上に注目を集めている - GIGAZINE

Appleの自動運転車開発について暴露したレポートが公開される - GIGAZINE

Apple Watchの開発に携わった技術担当ヴァイスプレジデントがAppleの自動運転車プロジェクトに加わる - GIGAZINE

in 乗り物, Posted by log1r_ut

You can read the machine translated English article here.