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自動車ディーラーによるぼったくりまがいの価格交渉術を元中古車ディーラーが解説


自動車購入時、ディーラーが顧客から少しでも多くのお金をむしり取るために採用する「ぼったくりまがいの価格交渉術」について、元中古車セールスマンのアラン・ストーン氏が解説しています。

Dealerships Rip You Off With The “Four-Square,” Here’s How To Beat It
https://www.consumerreports.org/consumerist/dealerships-rip-you-off-with-the-four-square-heres-how-to-beat-it/


アメリカでは自動車ディーラーが顧客と商談する際に、4つのボックスで分割された「ワークシート」あるいは「フォースクエア」と呼ばれる紙を利用します。これはディーラーが中古車・新車を問わず顧客と価格交渉する際に利用する紙です。

ワークシートでは4つのボックスの左上に下取り価格、右上に購入価格、左下に頭金、右下に月々の支払額が記されることとなります。


セールスマンは自動車のメーカー・モデル・車両識別番号・顧客情報を書き留め、顧客に対して「双方合意できる数字であれば今日購入できます」と説明します。これは顧客が本当に自動車を購入する準備ができているかどうかを確認するセリフだそうです。この時、実際に自動車を購入する意思のある人は、問題なくワークシートに署名する模様。

顧客と直接コミュニケーションを取るのはセールスマンですが、自動車の価格交渉を行うのは営業マネージャーで、顧客が直接対面しながら価格交渉を行うことはない模様。セールスマンは顧客が購入を検討している自動車の価格を調べ、以下のようにワークシートの空欄を埋めます。


上記の場合、下取り価格は「3000ドル」となっており、合わせて下取りに出された自動車のメーカー名・モデル名・走行距離がザックリと記載されています。顧客がより多くの下取り価格を期待している場合、セールスマンはワークシートの内容をなるべく早口で説明し、素早く次の項目の説明に移行するそうです。

次に説明するのが頭金について。頭金の欄には、購入したその日に顧客が支払う金額が書かれており、最後に月々の支払額が説明されます。


最初にワークシートで提示される数字は、顧客に「月々の支払額」と「頭金」に注目させるためのものであり、ディーラー側が本来求める金額よりも高めに設定されているそうです。ストーン氏は「よほど注意深い人でないと、自動車の販売価格をあまり気にすることはありません。ディーラー側の意図は、顧客が販売価格に気づく前にそのまま支払いまで導くことです」と語りました。

月々の支払額と頭金が不当に高いとイライラする顧客に対して、セールスマンは何も問題がないかのように振る舞い、取引を完了するために署名するよう顧客に求めます。その理由は、「顧客がディーラーがこれまで会ったことがないくらい愚かなカモである可能性があるため」と「署名しないと言うと、顧客は攻撃者のように見えるため」の2つであるとストーン氏は説明しました。

顧客が数字が不服であるためこの価格では自動車を購入しないと判断した場合、セールスマンはどの数字に問題があるのかを顧客に尋ねます。この時、ほとんどの顧客は不当に高く設定されている頭金が問題であると指摘するそうです。その場合、セールスマンは頭金と月々の支払額だけが見えるようにワークシートを半分に折り、頭金を顧客が求める金額に書き直します。そして、「頭金が少なければ少ないほど、月々の支払額が増えます」と語り、顧客が新しく提示した金額を黙認するか、より高い頭金を提示してくれることを期待するそうです。

顧客が「月々の支払額が高すぎる」と言う場合、セールスマンは「うちのマネージャーは今日気が狂っていて、それほど自動車を売ることができていません。しかし、本社から今日中に何台か車を売るよう命じられています。もしもこのくらいの金額で自動車が入手できるなら、今すぐ購入していただけますか?」などと言い、新しい月々の支払額を提示するそうです。

この時点でほとんどの顧客がディーラー側が提示する金額に満足して取引を完了させるそうです。顧客は良い取引ができたと考え、セールスマンが上司のマネージャーを説き伏せるためにどのように会話を始めるのか想像を巡らせるケースがほとんどであるとストーン氏は語りました。なお、こうして出来上がるワークシートが以下で、顧客の支払総額は一切変化しておらず、頭金や月々の支払額(および支払い期間)のみが変化しています。


顧客が下取り価格を高くしてほしいと主張することは大抵の場合は問題にならないそうで、その理由は下取り価格を上げた分だけ自動車の販売価格を上げればいいだけだからだそうです。通常、顧客側はこの価格操作処理に気付かない模様。なお、このセールス手法は「プッシュ・プル・オア・ドラッグ」と呼ばれます。

ストーン氏はこういったディーラーによる価格交渉術について、「表面上は実に地味に見えますが、支払総額を多くさせ、何が起こっているのかを気付かせないようにするため巧みに設計されています。価格交渉時、マネージャーは不必要に大きな文字で数字を書き、スペースが必要だからとワークシートの裏面に数字を書きなぐることで、顧客を疲れさせ、何が起きているのかわかりづらくしていきます」と語りました。


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in メモ, Posted by logu_ii

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