ハードウェア

メーカーによる部品のペアリングを禁止して「修理する権利」を補強する法律にオレゴン州知事が署名


2024年3月11日にアメリカ・オレゴン州の下院議会を通過した法案「SB1596」に、オレゴン州知事のティナ・コテック氏が2024年3月27日に署名しました。この法案は、「修理する権利」を認めるもので、交換したパーツを正常動作させるにあたってメーカー側ソフトウェアの承認を必要とする「パーツペアリング」を禁止しています。

Governor Kotek signs the Right to Repair Act into law
https://pirg.org/updates/governor-kotek-signs-the-right-to-repair-act-into-law/


Statement: Oregon governor signs strongest Right to Repair law to date
https://pirg.org/media-center/oregon-gov-signs-right-to-repair/

Oregon’s governor signs right-to-repair law that bans ‘parts pairing’ - The Verge
https://www.theverge.com/2024/3/27/24097042/right-to-repair-law-oregon-sb1596-parts-pairing-tina-kotek-signed

Oregon signs its right-to-repair bill into law
https://appleinsider.com/articles/24/03/27/despite-apple-pushback-oregon-has-passed-its-right-to-repair-bill-banning-parts-pairing

今回コテック氏が署名した修理権法案には、以下の内容が含まれています。

・消費者や第三者の修理者が「公正かつ妥当な条件」で入手できる部品・工具・修理マニュアルを、家電メーカーが提供すること。
・企業がメーカー部品の「機能以外の代替品」となるサードパーティー製部品をブロックすることの禁止。また、また、消費者がサードパーティー製部品を取り付けた際に、メーカーが性能発揮を阻害したり「誤解を招く警告や通知」を送信することを禁止。
・2027年7月1日以降、違反者には1日あたり最大1000ドル(約14万8000円)の罰金が科せられます。この法案は、2015年7月1日以降に製造された家庭用電子機器、または2021年7月1日以降に製造された携帯電話に適用されます。

この法案はディスプレイやバッテリーなどの特定のコンポーネントを、それらが取り付けられていたデバイスと一致させる「パーツペアリング」を明確に禁止したアメリカ初の法案で、2025年1月1日以降に製造されたガジェットから適用されます。


これまで「パーツペアリング」によって、必然的にデバイスの修理にはメーカーの純正パーツを使用しなければなりませんでした。そのため、消費者が自力で修理したりサードパーティー業者に修理を頼んだりする選択肢が閉ざされ、閉鎖的なエコシステムになっているという批判が出ていました。

こうした状況を受けてオレゴン州では「パーツペアリング」の禁止を盛り込んだ修理権法案の策定が進められ、2024年2月に同州の上院を25対5の賛成多数で通過。3月11日には下院でも42対13の賛成多数で可決されました。

「修理する権利」を認める法案がアメリカ・オレゴン州で可決、サードパーティー部品の利用を認める広範な内容でAppleなどのメーカー側は「セキュリティ上のリスクを伴う」と危惧 - GIGAZINE


消費者保護などの問題に取り組む非営利団体のPublic Interest Research Group(PIRG)で修理権キャンペーンのシニアディレクターを務めるネイサン・プロクター氏は「今回コテック州知事が署名した修理権法案は、使い捨ての現状を打開し、デバイスの寿命を伸ばすことが可能です」「この法案に署名し、オレゴン州の消費者にこれらの法律の恩恵をもたらすことを決定してくれたコテック州知事に感謝しています」と述べています。

一方でパーツペアリングを導入しているAppleは「顔認証や指紋認証ユニットなどの生体認証要素に対し、サードパーティー製の交換部品の適用を認めることで、セキュリティ上の懸念が増加する可能性があります」と指摘しています。


オレゴン州環境局長のセレステ・マイフレン・スワンゴ氏は「ジャニーン・ソルマン上院議員やコートニー・ネロン下院議員、その他多くの議員や支持者、そして声を上げてくれた何千人もの人々の懸命な努力のおかげで、オレゴン州は修理権法に関する新たな道を切り開いています」と語りました。

なお、PIRGによると今回のオレゴン州での修理権法は2025年1月1日から施行されるとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Googleが「修理する権利」を公式に認める、オレゴン州で議論が続く修理権法案の支持を表明 - GIGAZINE

「修理する権利」を認める法律にカリフォルニア州知事が署名し2024年7月1日からカリフォルニア州で施行 - GIGAZINE

スマホから冷蔵庫まで幅広い製品で「修理する権利」を認める法律がミネソタ州で2024年7月1日から施行されることに - GIGAZINE

iPhoneやMacBookを自分で修理できるApple公式サービスが更新され「修理後のAppleへの連絡」が不要に - GIGAZINE

Appleが「修理する権利」の支持へ方針転換、ただし条件付き - GIGAZINE

in モバイル,   ハードウェア, Posted by log1r_ut

You can read the machine translated English article here.