ソフトウェア

全ての政府機関に最高AI責任者&AIガバナンス委員会を設けAI使用に関するリスクをまとめた年次報告書を作成するとアメリカ政府が発表


現地時間の2024年3月28日、アメリカ政府が公共サービスにおけるAIの使用が安全であることを保証するために、すべての政府機関に対して「使用するあらゆるAIシステムを監督する最高責任者を置くこと」を義務付けました。

FACT SHEET: Vice President Harris Announces OMB Policy to Advance Governance, Innovation, and Risk Management in Federal Agencies’ Use of Artificial Intelligence | The White House
https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2024/03/28/fact-sheet-vice-president-harris-announces-omb-policy-to-advance-governance-innovation-and-risk-management-in-federal-agencies-use-of-artificial-intelligence/


The Future of AI in Government - YouTube


Every US federal agency must hire a chief AI officer - The Verge
https://www.theverge.com/2024/3/28/24114105/federal-agencies-ai-responsible-guidance-omb-caio

Biden orders every US agency to appoint a chief AI officer | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2024/03/why-every-federal-agency-must-now-appoint-a-chief-ai-officer/

カマラ・ハリス副大統領は記者団とのブリーフィングで、行政管理予算局(OMB)の新しいガイダンスを(PDFファイル)発表し、OMBを含む全ての連邦政府機関はAIガバナンス委員会を設立し、政府機関内でのAIの使用方法を調整する必要があると述べました。

また、ハリス副大統領は全ての連邦政府機関に対し、使用する全てのAIシステムとそれらに関連するリスク、およびそのリスクを軽減する方法を示した年次報告書をOMBに提出することを求めています。


ハリス副大統領は記者団に対し「アメリカ政府は、全ての連邦政府機関に、その機関が使用する全てのAIテクノロジーを監督できる経験や専門知識を兼ね備えた最高AI責任者を任命するように命じました。これはAIが責任を持って使用されるようにするためであり、AIの採用と使用を監督する特別な任務を担う上級リーダーが政府全体に必要であるためです」と語っています。

今回の命令発表の前後から、司法省を含む一部の政府機関はすでに最高AI責任者を任命しています。一方で、記事作成時点で最高AI責任者の任命を行っていない政府機関は、2024年3月28日の発表から60日以内に最高AI責任者を任命する必要があります。また、すでに最高AI責任者に任命されている職員が機関内でのAI利用を調整するために必要な権限を持っていない場合、追加の権限を付与するか、別の最高AI責任者を任命する必要があります。


最高AI責任者に任命された場合、AIイニシアチブのシニアアドバイザーとしてその機関によるAIの使用を監視します。OMBは「AIの使用が安全保障やセキュリティ、公民権、市民的権利、プライバシー民主的価値、人権、機会均等、労働者の福利厚生、重要なリソースとサービスへのアクセス、政府機関の信頼と信用、市場での競争にどう影響を与えているか、リスク評価を実施する必要があります」との具体例を挙げています。

加えて、アメリカ政府は各連邦政府機関が導入するAIが「アルゴリズムによる差別のリスクを軽減し、政府がAIをどのように使用しているかについての透明性を国民に示すに値する」セーフガードを満たしているか確認するように求めています。また、アメリカ政府は「政府機関がAIに対する保護措置を導入できない場合、その理由が安全性や人権に関わるリスクが高まる、または重要な業務に障害が発生するなどの正当な理由でない場合、AIシステムの使用を中止させる可能性があります」と規定しました。

さらに、アメリカ政府が示したガイダンスでは、連邦政府機関が所有するAIモデルやコード、データは政府の運営にリスクをもたらさない限り、一般に公開する必要があると記されています。


公民権団体のブレナン・センターは今回の命令について「人種のプロファイリングや不当逮捕、大量監視につながるAIアプリケーションに対する重要な防御システムとして機能するでしょう。しかし、AIシステム使用の中止に関する規定はあまりに曖昧で、市民の自由と権利の保護に口先だけの対応をしているにすぎません」と批判しています。

一方で公民権団体のCivilRightsは「私たちは、政府機関によるAIへの取り組みの監視を続け、積極的に協力します。また、AI技術の使用が公民権侵害ではなく社会的利益となるよう、商用利用のための強力なガードレールを提供する、権利に基づいた法案の可決に向けて連邦議会と協力していきます。私たちは、国民全ての公民権と基本的自由を保護および拡大できる政策の策定を楽しみにしています」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
国連がAIに関する初の世界決議を全会一致で採択、個人情報の保護・AIのリスク監視など - GIGAZINE

G7がAI開発における安全性を高めるため開発企業向けの行動規範を公表へ、本格的な規制整備までのつなぎとして機能か - GIGAZINE

世界初のAI規制法にEUが合意、政策執行機関の委員長は「世界初のAI法」であることを強調 - GIGAZINE

世界初の「AI規制法」を欧州議会が賛成多数で承認 - GIGAZINE

アメリカ国防総省が主導する軍用AIプロジェクト「Project Maven」はすでに実用段階に、ただし敵によるデータ汚染の懸念も - GIGAZINE

in ソフトウェア, Posted by log1r_ut

You can read the machine translated English article here.