サイエンス

若い世代のほうが脳が大きく認知症のリスクが低い可能性がある


75年かけて蓄積されてきたMRI画像を用いた研究により、世代によって脳の大きさが変化していることが示されました。具体的には、1930年代生まれの人よりも、1970年代生まれの人の方が脳容量が6.6%大きく、脳容量が大きくなることによって加齢性認知症のリスク低下が期待されています。

Trends in Intracranial and Cerebral Volumes of Framingham Heart Study Participants Born 1930 to 1970 | Neurology | JAMA Neurology | JAMA Network
https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2816798


Human brains are getting larger. That may be good news for dementia risk
https://health.ucdavis.edu/welcome/news/headlines/human-brains-are-getting-larger-that-may-be-good-news-for-dementia-risk/2024/03


Younger Generations Have Larger Brains. Is That Healthier? : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/younger-generations-have-larger-brains-is-that-healthier

研究はカリフォルニア大学デービス校アルツハイマー病研究センターが行ったもので、論文が2024年3月25日付けの「JAMA Neurology」に掲載されました。


マサチューセッツ州東部の都市フレーミングハムでは、1948年から「フレーミングハム心臓研究(FHS)」と呼ばれる研究が70年以上にわたり継続的に行われていて、1999年から2019年にかけて、平均年齢57歳の参加者3226人のMRI撮影が行われました。

カリフォルニア大学デービス校のチャールズ・デカルリ氏らは、FHSで取得されたMRIの画像で、1930年代生まれの人のものと、1970年代生まれの人のものを比較。その結果、脳の容量が着実に増加していることがわかりました。

具体的には、1930年代生まれの人の脳容量は平均で1234mlでしたが、1970年代生まれの人の平均は1321mlで、6.6%増加していました。表面積や灰白質、海馬でも同様の傾向が見られました。


デカルリ氏は、今回の研究で観察されたような脳容量の増大は、脳の発達や健康の改善を反映している可能性があると説明。また、脳構造が大きくなることで、脳の予備力にも余裕が出て、アルツハイマー病や関連する認知症などの加齢に伴う脳疾患の晩年の影響が緩和される可能性があると述べています。

なお、デカルリ氏らの研究を支えたのは70年以上にわたって行われてきたFHSですが、参加者は非ヒスパニック系の白人がコホートの大部分を占めているため、アメリカの人口全体を代表する結果にはなっていないとのことです。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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