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TikTokは「TikTok禁止法」をめぐる法廷闘争に敗れた場合「事業の売却よりもアメリカでのサービス終了」を優先するとの情報


アメリカ議会で策定が進められていた、TikTokの中国親会社であるByteDanceに対してTikTokの売却を命じる法案が2024年4月23日に上院で可決され、翌24日にはジョー・バイデン大統領がこの法案に対して署名しました。これを受けてTkTokは最短9カ月、最長でも12カ月以内に事業をアメリカ企業に売却することが義務付けられます。この法案に対し、ByteDanceは法的な異議申し立てを行うことを伝えていますが、関係者によると、もしもByteDanceが法廷闘争に敗れた場合「事業の売却よりもサービス終了を選ぶ」方針であるとのことです。

Exclusive: ByteDance prefers TikTok shutdown in US if legal options fail, sources say | Reuters
https://www.reuters.com/technology/bytedance-prefers-tiktok-shutdown-us-if-legal-options-fail-sources-say-2024-04-25/


Biden signs TikTok ‘ban’ bill into law, starting the clock for ByteDance to divest it - The Verge
https://www.theverge.com/2024/4/24/24139036/biden-signs-tiktok-ban-bill-divest-foreign-aid-package

ByteDance Confirms No Plans to Sell TikTok Amidst U.S. Ban Concerns • iPhone in Canada Blog
https://www.iphoneincanada.ca/2024/04/25/bytedance-confirms-no-plans-to-sell-tiktok/

What Is TikTok Worth? Some Say $20 Billion, Others Say $100 Billion - WSJ
https://www.wsj.com/tech/what-is-tiktok-worth-guesses-range-from-20-billion-to-over-100-billion-e7d61a0f

How TikTok’s Chinese owner tightened its grip on the app
https://www.ft.com/content/0e040c03-e979-4acd-a6aa-6298301dcc42

今回成立した法案は、「外国の敵が管理するアプリケーションからアメリカ国民を守るための法案」と呼ばれるものです。2024年4月20日にアメリカ下院を通過したこの法案は4月23日に上院において賛成多数で可決。翌24日にはバイデン大統領がこの法案に署名しました。

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この法案では、TikTokの親会社であるByteDanceに対して9カ月以内のTikTokおよびTikTok傘下のアプリケーションの売却が義務付けられており、売却に応じなかった場合はアメリカ国内のアプリストアおよびウェブホスティングサービスの利用を禁止されることになります。

TikTokの広報担当者のアレックス・ハウレック氏は声明で、「この法律が秘密裏に作成され、拙速に下院を通過し、最後にはより重大で絶対に可決しなければならない法律と抱き合わせで可決されたのは、これがまさしくアメリカ人にとって好ましくない禁止法だからです。世界の自由を前進させることを目指していると主張する政策の一環として、1億7000万人のアメリカ人の表現の自由の権利を踏みにじる法律を議会が可決するというのは、悲しくも皮肉なことです」と述べており、また、ByteDanceは法案が可決された場合、法的な異議申し立てを行う予定であることをかねてより従業員に伝えていました。

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専門家は「TikTokが禁止法への対抗訴訟に踏み切った場合、TikTokが中国共産党のプロパガンダの道具になっていることや、プライバシーの懸念があることを主張して政府当局が裁判に勝つことは、言論の自由を保障する合衆国憲法修正第1条に反することから困難だろう」との見解を示しています

一方でByteDanceの関係者は「法廷闘争に破れた場合、TikTokを売却するよりもアプリの閉鎖を選ぶでしょう」と推測しています。その理由として、TikTokに使われるアルゴリズムはByteDanceの運営全体の中核をなすもので、売却することでこのアルゴリズムがライバル企業に移ることを危惧しているとのこと。また、TikTokの知的財産ライセンスは中国のByteDanceに登録されているため、アルゴリズムだけを親会社から切り離して売却することが困難であることも指摘されています。


そのため、ByteDanceにとって重要なアルゴリズムが搭載されたTikTokを他企業に売却することを好まず、アメリカ国内でのサービス停止を選択するというわけです。

一方で別の関係者は、TikTok独自のアルゴリズムを除外した事業の売却に向けた議論がByteDance社内で進んでいることも報告しています。ByteDanceでは、TikTokのアメリカ事業における株式の過半数を他企業に売却する話し合いが進んでいるとのことで、売却の際にはTikTok独自の動画レコメンデーションアルゴリズムは除外されるそうです。


しかし、売却の際のネックとなるのはTikTok独自のアルゴリズムの有無だけでなくその価格です。ByteDanceの幹部はかつて、TikTokのグローバル事業は中国企業全体の価値の約半分に相当する1000億ドル(約15兆円)以上と報告していており、関係者によるとByteDanceはアメリカ事業を売却する際の価格について「200億ドル(約3兆1000億円)から」と提示しているとのこと。海外メディアのWall Street Journalは最終的な売却価格が1000億ドルを超える可能性を挙げ「テクノロジー業界ではこれまでこのような高額な事業の販売が行われたことはありません」と指摘しています。

アメリカのTikTok事業はアメリカ国内のオフィスから運営されていますが、2022年以降ByteDanceの中国本社からの圧力が強まり、アメリカ人従業員よりも中国人従業員を評価する動きが見られているとのこと。TikTokの関係者は「アメリカ人よりも中国人または北京語を話すスタッフを優先して雇用するように指示がありました」と報告しているほか、一部のアメリカ人労働者に対し、従業員の評価を操作して意図的なリストラを促進したり、長時間にわたる労働や不透明な業績評価システムが展開されていることも指摘されています。こうした動きについてByteDance幹部の考えに詳しい関係者は「幹部はアメリカ人従業員の生産性が中国人従業員よりも低いと考えている」と話しています。これらに加え、社内では性差別や性的少数派への差別が多数発覚しており、多くの差別関連の訴訟や苦情に見舞われているとのことです。

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in ネットサービス, Posted by log1r_ut

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