サイエンス

不健康な朝食は朝食抜きと同じくらい子どもの学校生活に悪影響を及ぼす


朝食は脳と体に1日のエネルギーを供給する大事な食事であり、子どもが朝食をとることの重要性は多くの親に理解されています。朝食の質が子どもの学校生活に及ぼす影響について調べた新たな研究では、「不健康な朝食」を食べた子どもは「朝食抜き」の子どもと同程度に、モチベーションや達成感に悪影響が及ぶことが示されました。

A Healthy Breakfast Each and Every Day is Important for Students’ Motivation and Achievement
https://www.researchgate.net/publication/379477897_A_Healthy_Breakfast_Each_and_Every_Day_is_Important_for_Students'_Motivation_and_Achievement


Our research suggests eating an unhealthy breakfast could have a similar effect on your child’s school day as having nothing at all
https://theconversation.com/our-research-suggests-eating-an-unhealthy-breakfast-could-have-a-similar-effect-on-your-childs-school-day-as-having-nothing-at-all-227675

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学で教育心理学教授を務めるアンドリュー・マーティン氏らは、生徒の学習方法を改善する方法として「朝食を食べること」に焦点を当てました。「教師による教え方の質」や「根本的な学習スキル」といったものはコントロールが難しく、一朝一夕で改善することはできませんが、朝食を食べるだけなら簡単な上に学校側が介入することも可能です。

研究チームはオーストラリア研究評議会のプロジェクトの一環として、ニューサウスウェールズ州にある5つの私立学校に通う648人の高校生を調査しました。これらの学校のうち2校は男子校、2校は女子校、1校は共学だったとのこと。また、生徒は7年生~9年生(日本の中学1年生~3年生に相当)で、平均年齢は13~14歳でした。


まず、生徒はオンライン調査で「その日の朝、朝食を食べたかどうか」「朝食にどんなものを食べているのか」といった質問に回答しました。続いて、理科の授業に対するモチベーションや自信、学習への集中度といった項目に自己評価で回答し、シラバスの内容に基づいたテストを実施したとのこと。

研究チームはオーストラリアの食事ガイドラインに基づいて、朝食に果物や野菜、乳製品、タンパク質、全粒穀物や水といった健康的な食品を摂取する頻度のスコアを作成。さらに、甘い清涼飲料水や加工肉、ファストフード、不健康なパンやスナック菓子など、不健康な朝食をとる頻度についても調査し、生徒がどれほど健康的な朝食を食べたのかをスコア化しました。


分析の結果、研究当日の朝に「健康的な朝食を食べた生徒」は、理科の授業に対してより高いモチベーションと達成感を示すことがわかりました。これは、理科の授業に自信を持ち、集中して取り組んだことを意味します。そして健康的な朝食を食べた生徒は、テストでより高い成績を取る傾向もみられたと報告されています。

一方で、「朝食を食べなかった生徒」は、モチベーションや達成感が低いこともわかりました。これ自体は予想外ではなかったものの、「不健康な朝食を食べた生徒」が朝食を食べなかった生徒と同等のモチベーションと達成感の低さを示したことは、研究チームにとって驚きだったとのこと。

また、過去に理科の成績が良かった生徒でも、朝食を食べていなかったり不健康な朝食を食べていたりすると、モチベーションや達成感が低い傾向もみられました。これらの結果は、不健康な朝食を食べることは、朝食をまったく食べないのと同じくらいモチベーションと達成感を損なう可能性があることを示唆するものです。

今回の研究では、不健康な朝食を食べることで授業へのモチベーションが下がる具体的な理由はわかっていません。しかし研究チームは、不健康な朝食では心や体に適切な燃料が供給されず、学問に取り組むスイッチがオンにならないのではないかと考えています。

なお、今回の研究では対象が私立学校の生徒に限られていたため、朝食を食べることの社会経済的な側面についてはさらなる研究が必要とのことです。


マーティン氏らは、生徒に健康的な朝食を食べさせる方法として以下の方法を提案しています。

・学校で健康的な朝食、あるいは軽食を提供する。
・健康的な朝食の重要性について教育する。
・健康的な朝食の重要性や食事のアイデア、子どもへの食べさせ方について親に情報を提供する。

なお、学校が子どもに朝食を提供する場合は、社会的スティグマから無料での朝食を嫌がる子どもや、体形を気にして学校で食事をしたがらない子ども、そして宗教の関係で一部の食品を食べられない子どもにも配慮が必要とのこと。

マーティン氏らは、「これらの障壁を効果的に管理すれば、毎日健康的な朝食を食べることで学業に良い成績をもたらし、生徒の学校生活に達成可能な変化をもたらすことができると判明しました」と述べました。

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in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

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