動物たちにとって、食物を見つけるのは簡単ではない。鋭い感覚に優れた身体能力、そして運も必要だ。
飢えを避けるために個性的な戦略を進化させてきた生き物もいる。食物を体内に蓄えるのだ。
おそらく最もわかりやすいのは、シマリスだ。その大きな頬袋に、集めた木の実や種を入れている。シマリスの仲間25種は、長い冬に備えて脂肪を蓄えるのではなく、膨らむ頬に餌を貯め込む。(参考記事:「【動画】リスはこんなに面白い、4つの知的行動」)
「食物を貯蔵するというのは、かなり高度な習性です」と米ノバサウスイースタン大学の海洋生態学者トレイシー・サットン氏は話す。氷点下になる気温やはるかな深海など、「食物がわずかな環境に生息する動物にとって、生態学上の重要戦略なのです」
こうした適応について研究することは、野生生物がいかに環境変化に対処するかを知る手がかりになる。
食料を常に携帯する面白い動物たちを紹介しよう。
オニボウズギス
深海魚のオニボウズギスは、自分よりはるかに大きな獲物を捕食し、まるで食料品袋のようにぶら下がった胃の中で、餌を消化しながら持ち運ぶ。
オニボウズギスが生息するのは深海。食物が乏しいため、おそらく「食べられる時に食べる」戦略で、体に収まりきらないほど食べるのだ。また、生物の少ない深海では、脅威にさらされる恐れなく、時間をかけて大きな獲物を消化することができると、サットン氏は言う。
これまで、生きているオニボウズギスをとらえた映像はなく、将来映像にとらえられることを願っているとサットン氏。死後に標本を調べることがほとんどであり、「私たちの深海の知識は、ほぼ法医学的なものです」
「たとえ泳ぎ方などの単純なことでも、自然の行動を観察できれば、その空白を埋める助けになるのです」
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