ただ今、移動中です~これだけ違う動物たちの動き

チーターからテナガザル、ダチョウ、人間まで「動き方」はこう進化した

2020.05.31
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
誌面で読む
シロテテナガザル Hylobates lar
シロテテナガザル Hylobates lar
この記事は、雑誌ナショナル ジオグラフィック日本版 2020年6月号に掲載された特集です。定期購読者の方のみすべてお読みいただけます。

陸上の動物たちは、移動するために数えきれないほどの方法を進化させた。食料や水を探したり、危険を避けたりするために効率的に動き回る方法は、体の大きさや環境によって異なる。

ひれと足で動く動物たち

魚類のなかには、ひれを使って体を持ち上げ、倒れるように前進するものがいる。四肢動物の肢は先祖となった魚のひれが進化したものだ。足は水中で発達したが、食料や身の安全を求めて陸に上がって歩いた魚がいたのかもしれない。その後、自然選択によって、腕や脚、足や手は多様化し、細分化されていったのだ。

トラフサンショウウオ Ambystoma tigrinum

幼生のときは水中で過ごし、成長すると4本の脚で陸上を動き回るという生活環は、歩行様式がどのように進化したかを示す一例だ。

グレイスフルトビハゼ Periophthalmus gracilis

トビハゼは胸びれと腹びれを使って頭を上げた姿勢のまま移動する。爬行(はこう)様式と呼ばれる移動法だ。

4本脚で動く動物たち

軽快に動くトガリネズミから動きのゆっくりしたゾウまで、四肢動物の体はその力学的、機能的特徴に対応するように形成されている。体が大きくなれば、筋肉が大きくなるが、骨格への負担も増える。小さな動物は一般的に動きが素早いが、エネルギー消費は効率的ではない。脚の構造の違いは妥協の産物といえる。

チーター Acinonyx jubatus

柔軟な脊椎のおかげでチーターの歩幅は大きい。尾と鋭いかぎ爪によって、安定して方向を変えられる。

アフリカゾウ Loxodonta africana

ゾウは走れないが、左右同じ側の脚を動かす側対歩で速く歩ける。足の裏にクッションがあり、かかとが着かない構造になっている。

キリン Giraffa camelopardalis

キリンの頭と首の重さは、体重の1割を占めている。長い首を曲げ伸ばしすることで、目の高さを一定にし、バランスを保っている。

ケヅメリクガメ Centrochelys sulcata

甲羅をもつ植物食のカメは速さよりも安定性が大事。急斜面を登ることもできるし、足同士が離れて安定しているのでひっくり返ることもまずない。

次ページ:2本の脚(腕)で進む動物たち

ここから先は、「ナショナル ジオグラフィック日本版」の
定期購読者*のみ、ご利用いただけます。

*定期購読者:年間購読、電子版月ぎめ、
 日経読者割引サービスをご利用中の方になります。

おすすめ関連書籍

2020年6月号

第2次大戦終結から75年/氷とコウテイペンギン/動き回る動物たち/女性政治家たちの苦闘/米西海岸 スケボー天国/

推定6600万人もの死者を出した第2次世界大戦の終結から75年。特集「大戦の記憶をつなぐ」では、米国、ヨーロッパ、ロシア、日本で、存命の数少ない戦争体験者から当時の貴重な証言を聞きました。このほか、温暖化が進む南極でコウテイペンギンの現状をレポートした「氷とコウテイペンギン」、グラフィックで楽しむ「動き回る動物たち」など5本の特集を掲載。

定価:1,210円(税込)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
誌面で読む